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イルカ肉を美味しく調理してみる -下処理は入念に!-

■イルカ肉、いつも気になっていた存在

静岡県の沼津や三島、伊豆半島の地域では、イルカを食べる文化があるそうで、スーパーマーケットにはイルカ肉がよく並んでいる。

昔はイルカ肉は地産地消の存在だったらしいがスーパーでいつも売っているのは東北産である。しかし、わざわざ食用にするために獲ったのか、網に引っかかってたまたま獲れたものかは不明だが、東北産しか見かけたことがない。

静岡県で唯一イルカ量が許されている地域が、伊豆半島にある伊東という地域だそうで、こちらの地域に行けば地産地消のイルカ肉に出会えるかもしれない。

■パッケージを開けると濃い納豆の匂い

イルカ肉は臭いと言われるが、確かに売られているイルカ肉のパッケージを開けると確かに臭い。

納豆の匂いを何倍かに濃くした匂い、見た目もなんだかヌットリしていて粘っこい。普通に売られているイルカ肉なのだから腐っているわけではなさそうだが、少し不安になる臭さ。

新鮮なイルカ肉のはず…匂いは納豆臭い

ドス黒い赤身と白い脂身、そして脂身の表面に張り付くイルカの表皮が綺麗なグラデーションで、いろんな食感が楽しめそうで胸が膨らむ(味の期待はしていない)。

■水洗い、酒洗い、塩茹で、下処理は入念に

伊豆半島の伊東発祥の伝統料理であるイルカ肉の味噌煮を作っていく。

まずは、大量の血合を洗い流すために水洗いをする。この水洗いが曲者で、何度水に付けておいても、どんどん赤身から血が溢れ出てきてキリがない。

赤身を指で押すとプチプチという触感とともに血がジワッと出てくる。明らかに魚とは全く別の触感、かといって、他の何の肉と似ているかと言われると形容し難い。

イルカ肉を水洗いすると、どんどん血が流れ出てくる

しまいには、臭い消しの効果も期待して、日本酒を惜しげなく使って洗うことに。日本酒でガンガン洗い流しいるうちに、表面的な納豆臭さは消えた感じがした。

日本酒でイルカ肉を洗い流す

ついでに、塩茹でをするのが良いと味噌煮のレシピに書いてあったので、最後のトドメということで、20分ほど塩茹でした。すると、大量の茶色のアクが浮き上がってきて、鍋が吹きこぼれそうになって慌てて火を止める。

イルカ肉を塩茹ですると想像を絶するアクの量

肉を引き上げて、さっと水洗いすると、さも無難に食べられますよと言わんばかりのイルカ肉が現れる。塩茹でしたままのイルカ肉を食べる誘惑には乗らず、味噌煮に取り掛かる。

塩茹でが終わると無難に美味しそうに見える

■ネギと生姜たっぷりの味噌煮

味噌煮は至ってシンプルで塩茹でしたイルカ肉と臭みが取れることを期待してネギと生姜を大量に突っ込む、そして、味噌と酒、みりん、砂糖を適量で配合し、じっくりコトコト煮込む。

油断せずにネギと生姜を大量に入れてイルカ肉を煮込む

ネギがデロデロになって、汁がトロトロになるまで、ただ煮込む…

デロデロになるまでイルカ肉を味噌で煮る

肉が気持ちほろほろになってきたところで、火を止めていざ実食である。ただ、脂身だけは何のダメージも受けておらず形状維持しており、一抹の不安が過ぎる。

■赤身はポソポソ、脂身ジュワァ、皮コリコリ

赤身肉からまず食べると、ポソポソとした触感でササミを食べている感じ、味噌煮の味は全く染みていない。臭みは全くないので食べやすいのだが、旨味は全くない。

赤身はポソポソ

脂身を口入れると、全くトロけないので仕方なく奥歯でギュッと噛む。するとジュワァと臭みが広がり、口の中がヌメヌメする。ただ、最初に書いた納豆臭さとは別の臭さだったので、これは許容の範囲だと思った。

脂身の上にくっついているイルカの皮は何の味もせず、コリコリとして触感は良い。

脂身ジュワァと口いっぱいに臭みが広がる、皮はコリコリ食感が良い

■おわりに

牛や豚、鳥肉が当たり前に食べられる世の中となった今では、それらと比較して旨みがなく、前処理に時間のかかるイルカ肉をわざわざ食べようとする人々はいないと思う。

しかし、こうして昔は食肉の1つの選択肢として食べられていたイルカ肉を食べることで、現代でありふれて美味しく食べられるようになった牛豚鳥肉のありがたさを痛感できた。


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