2023/4/26

【国会審議中】GX推進法案は「石炭延命法案」だった

NewsPicks 副編集長 / 科学ジャーナリスト
政府が推し進める「グリーントランスフォーメーション(Green Transformation:GX)」の実現に向けた二つの重要な法案が今、国会で審議中なのをご存じだろうか。
GXとは簡単に言えば、地球温暖化を食い止めるための「脱炭素化」を進め、かつ「産業競争力の向上」との両立を図る試みだ。
法案の一つは、GXの基本的な枠組みを決める「GX推進法案」、もう一つは「GX脱炭素電源法案」である。
国際社会の中で遅れが指摘されてきた日本の脱炭素政策がついに本格的に動き出すのか……と思いきや、肝心の法案の中身については懸念や批判の声も多い。
中でも気になるのは、「逆に日本は世界の動きに取り残される」という指摘だ。
いったいどういうことなのか。
日本のこれからのエネルギー政策と産業構造に大きく影響する二つの法案。
特集「知ってる? GX法案の真相」では、識者の見解とともに法案に垣間見える政府の「本音」と「実情」を読み解いていく。
1回目の本記事では、GX推進法案について諸富徹・京都大学教授(環境経済学)が解説する。
INDEX
  • ついにカーボンプライシング導入へ
  • 時を刻む「気候の時限爆弾」
  • 法案の致命的な問題
  • 局面がすっかり変わった
  • 勝負は2020年代に決する
  • 「アンモニア混焼」で孤立する日本
  • 政府が石炭を手放せない理由
  • 産業界にも変化