「一番増産が難しいのは・・・、非常に高度な冶金技術が必要な砲身」

ウクライナ軍は先月だけで、これまでで最多の900以上のロシア軍の砲身を破壊した。

政治軍事アナリスト オレキサンドル・コワレンコ氏
「ロシア軍の攻撃の質はすでに下がっている。ウクライナ軍の平均射程30kmに対してロシア軍は射程15km。精度も違う。ウクライナ軍はロシア運より精度が高く、射程の長い兵器を使って対砲兵戦を始めている。」

兵器の消耗は止まらない。一方で増産はできるものとできないものがあるという。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「ロシアがこの1年半、“頑張るぞ”と言って増産できるものとできないものがある。増産し易いのは大砲の弾。ショイグ国防大臣が8倍って言ってるくらい比較的簡単であろうと…。ロシアの軍需産業は戦時動員のための準備が義務付けられているので普段使わない工作機械も資材もある程度持ってる。逆に一番増産が難しいのは西側の技術に頼るハイテク製品。それと、非常に高度な冶金技術が必要な砲身なんかなんです。(中略)ただあと1年くらいは予備を引っ張り出してくることでもつ。ロシアの在庫の力は侮れない。あと1年持たせれば、砲身の新しい生産ラインを作れるかもしれない。なのでロシア軍がもの凄く苦しいことは間違いないが、これで瓦解寸前とは思わない…」
ロシアにも2か所、砲身を作れる工場があるというが、冶金技術から見て質の高い砲身を作ることが可能かは甚だ疑問だと堤伸輔氏は言う。

国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤伸輔氏
「砲身の寿命1500発から2500発というのは、(高度な冶金工学に基づく)精巧な金属で造られたモノであって、レベルの低い作り方では…。でっかい鉄工所があればいいってものじゃなく、小さい溶鉱炉でいいから精度の高い金属を作らなきゃいけない。つまり、精度の低い砲身では寿命はもっと短いかもしれない。それを使わなければならないロシア兵は相当恐怖心を持って撃ってるんだろうなぁと…」

(BS-TBS 『報道1930』 10月6日放送より)