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悲運!メジャー初昇格を果たしたヤンキース新人がデビュー戦開始直後に負傷退場→長期離脱へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ヤンキースの中でも有望選手の1人だったダスティン・ファウラー選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

もう悲運と言うしかないだろう。

今年MLB公式サイトで、ヤンキースの有望若手選手第8位に選ばれていたダスティン・ファウラー選手が29日、待望のメジャー初昇格を果たした。左投げ左打ちの若干22歳の外野手で、シーズン開幕を迎えた3Aでは.293、13本塁打、43打点、13盗塁という輝かしい成績を残し、文句なしでメジャーに迎えられた。

早速この日行われるホワイトソックス戦に「6番・右翼」で先発デビューを飾ることになり、まさにファウラー選手にとって野球人生最良の日になるはずだった。

しかし開始直後、ファウラー選手を悪夢が襲った。

1回裏2死。3番ホゼ・アブレイユ選手が放った飛球が右翼フェンス間際に飛んでいった。俊足を飛ばし打球を追うファウラー選手は打球に集中しすぎたのか、スピードを緩めることなくフェンスに激突。フェンスも低かったこともあり、そのまま勢いよく上半身が観客席に飛び込んでしまうほどだった。

結局打球は観客席に飛び込みファウルになったためファウラー選手は守備位置に戻ろうとしたのだが、右脚を着こうとした瞬間倒れ込むような仕草をみせると、もう2度と右脚をつくことができなかった。

ジョー・ジラルディ監督やトレーナーがすぐさま駆け寄り負傷状況を確認したが、重傷なのは明らかだった。そのまま担架で運ばれグランドを離れるしかなかった。

負傷退場後近くの大学病院に運ばれ検査を受けた結果、右脚膝蓋腱(しつがいけん)の断裂と診断。そのままホワイトソックスのチーム医師の執刀で緊急修復手術が行われることになった。現時点でチームから復帰時期等の詳細は発表されていないが、長期離脱は決定的。あまりに大きな負傷のため、果たして負傷前の状態に戻るかどうかの不安も残るところだ。

MLB公式サイト(動画付き)によると、緊急昇格のためファウラー選手は試合開始2時間30分前に球場に到着する慌ただしさだったという。

「今は興奮しているし、圧倒されている。スプリングトレーニングの時もそうだが、この場にいれることがとにかく嬉しい。とにかく落ち着くようにしなくちゃね」

試合前には初昇格らしく初々しいコメントも残してもいた。あまりに残酷なデビュー戦となってしまった。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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