イラン核問題の「6カ国協議」って何? 7日からスイスで交渉
11月7日からスイスのジュネーブでイランの核開発問題をめぐる協議が開かれます。参加国は、イランと国連安保理常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国。イランが欧米との対話路線に転換したことで、事態打開への期待が高まっています。 核問題に関する協議といえば、「6カ国協議」というワードを耳にしたことがある人もいるのでは? ところが、今回のイランの場合は主に「イランと主要6カ国による協議」と報道され、いわゆる「6カ国協議」は北朝鮮の場合に使われています。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
核問題の話し合いにつく国々
どちらも核兵器の製造中止を求める外交会議ですが、交渉のテーブルにつく国が違います。 ■北朝鮮「6カ国協議」 北朝鮮とその近隣4カ国(日本、韓国、中国、ロシア)にアメリカが参加しています。6者会合や6者協議とも呼ばれます。中国が主催国となり、2003年8月からスタートしました。 ■イラン「イランと主要6カ国による協議」 当該国であるイランと、アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア、ドイツの計7カ国が参加。イランと6カ国による話し合いの体制は2006年から行われています。 ところでイランの核協議は、なぜ国連安保理常任理記事国にドイツを加えた形で行われているのでしょうか。それを知るには、イランの核問題をめぐる経緯を振り返る必要があります。
イラン核問題の流れ
もともと、イランの核開発はイラン政府の反体制派組織の暴露によって、大規模原子力施設の建設が発覚しました。これに対し、IAEA(国際原子力機関)理事会は、活動停止を求める決議を採択。イギリス、フランス、ドイツのEU3カ国 が外交的な解決を目指してイランと交渉し、2004年11月にウラン濃縮活動などの停止で合意しました。つまり、ドイツはイランに対して核開発中止を求める中心国の1つなのです。 ところが、2005年8月に イランで強行保守派のアフマディネジャド氏が大統領に就任すると、ウラン濃縮活動を再開。IAEA理事会はイランに対して活動停止を要請するものの、ウラン濃縮活動は発電や医療などの平和的利用と主張し、受け入れませんでした。その後、IAEA理事会が同問題を国連安保理に報告。以後、イランの核問題に対してはEU3カ国だけでなく、国連安保理常任理事国であるアメリカ、ロシア、中国も対応を協議することになったのです。 国連安保理は2006年から4度にわたる制裁決議を採択し、核開発に関する企業や銀行の資産を凍結することなどを決定。さらに、アメリカやEUはイランに対する独自の経済制裁を科しました。これらの圧力によって、イラン国内では原油収入が激減してインフレとなり、制裁の影響が国民生活に広がりました。