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2023年08月29日21:48

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8/28 幽霊画展@全生庵

そういえばずいぶん長い間全生庵の「幽霊画展」に行っていないね、と話した。30年くらい前は、圓朝忌8月11日前後のわずかな期間しか公開していなかったし、無料だったと記憶している。その頃は本堂?の座敷で圓朝を偲んで落語を聞く会もあって参加したこともあった。

多くの美術館が休館の月曜日、久しぶりに行ってみようか、とに相成った。

幕末から明治に活躍した初代三遊亭圓朝は、人情噺や怪談噺が得意な天才的落語家。怪談噺のために、幽霊画を多数収集した。東京台東区谷中にある全生庵は圓朝の菩提寺で、幽霊画コレクションは全生庵に寄贈されたという。

久々に見てみたら、やっぱりすごい。2015年の東京藝大美術館「うらめしや〜、冥土の土産展」にも多く貸し出していたものね。結構多くの人が来ていた。
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円山応挙《幽霊図》
幽霊に足がない、というスタイルを作ったのは円山応挙だという。応挙の幽霊図は多数あって真贋はっきりしないらしいが、《江口君図》と似た気品は印象的だ。このスタイルをそっくり真似て、もう少し目元をキツくして顔を怖くした作者不詳の《幽霊図》もあることから、このスタイルは当時はやったんだろうなぁ。だって綺麗だもん。
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渡辺省亭《幽霊図》
美しい幽霊といえば、省亭もだ。煙もうもうの火鉢の前で泣き崩れる女が幽霊かどうかは、この消え入りそうな薄墨と着色で感じる。
30年前は渡辺省亭の名は知らなかった私。
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鰭崎英朋《蚊帳の前の幽霊》
26歳の作。白い着物が行燈の光で浮かび上がり、幽霊の切なさ、無念さが伝わってくるよう。鰭崎英朋のことも当時は知らなかった。
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池田綾岡《皿屋敷》
菊の襖で、番町皿屋敷のお菊さんとわかる。袂の向こうにぼんぼりが透けて見えることから幽霊とわかる。
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鏑木清方《幽霊図》
こちらもお菊さん。皿屋敷が流行りすぎて、お菊という名は悲しい運命の下女の総称になったとか。顔は見えないが、茶を献上する手が異様なほど細く血の気がないことから、幽霊と察せられる。
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菊池容斎《蚊帳の前に座る幽霊》
蚊帳越しの顔の方がくっきり見える不自然さから、幽霊とわかる。
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画家たちは様々な工夫をして、生身の人間と幽霊をかき分けていたのね。

尾形月耕《怪談牡丹灯籠》
怪談牡丹灯籠は、圓朝オリジナルの大ヒット作。淡墨でささっと描かれた感じがいい。
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池田綾岡《雨中幽霊図》
この辺りから一眼で幽霊とわかる絵になってきたでしょ。立ち上がる燐火が怖い。
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中村芳中《枕元の幽霊》
芳中らしくないような絵だけれど、枕元にこのヒトいたら嫌だなー
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広重《瞽女の幽霊》
三代目広重と見られる。水面を漂う幽霊に背筋が凍る。
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柴田是真《桟橋の幽霊》
へぇ、柴田是真か〜と思ったが、この墨の濃淡の使い分け、なるほど。足を掴まれて川の中へ引き摺り込まれるのだ、怖っ!
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松本楓湖《花籠と幽霊》
向こうの部屋から怒りに任せて花籠を投げつける。襖の線により花籠がこちらに飛んでくるような錯覚を覚える。掴んだ髪とさも悔しそうな顔、散る花、怨念が迸る。
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川上冬崖《生首を抱く幽霊》
高橋由一の西洋画を指導したこともある画家。そうそう、高橋由一の日本画の幽霊画もあった(画像なし)。
嬉しそうに男の生首を抱く幽霊、体の線がくの字であるあたりも幽霊ぽい。
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伊藤晴雨《怪談乳房榎図》
これも圓朝創作の怪談噺。滝壺の中で赤子を抱く幽霊の顔が恐ろしい。今回の中で、形相の凄まじさではこれが一番かな。画像はないが、応岱《夫婦幽霊図》や文隆《画中幽霊図》もかなり怖い顔だった。
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一見幽霊ではないのも…

鈴木誠一《雪女図》
鈴木其一の次男だけあって雪かかる南天が洒脱だが、背後には雪女のシルエット。
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光村《月に柳図》
これもどこが幽霊?少し離れてみると、月が目、柳が髪の毛、雲が横顔の輪郭となる、騙し絵のよう。
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歌川国歳《こはだ小平次》
こはだ小平次といえば、北斎「百物語」のこの絵↓を思い出すが、こちらのは、もう少し人間ぽい、ギョロ目で出っ歯。でもやっぱり蚊帳の上から覗かれたらギョッとするね。
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最後は圓朝《髑髏自画賛》
受付で、この髑髏が散らしてある黒Tシャツが売っていて、なかなかお洒落だった。

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外はやっぱり暑いので、有名なかき氷や「ひみつ堂」に行ったら、炎天下長蛇の列。あっさり諦めて、昔ながらの「花屋」でクリームみつ豆。


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8月31日まで

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