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TBSラジオ『井上貴博 土曜日の「あ」』井上さんインタビュー

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 TBSラジオは4月2日から、同局の井上貴博アナウンサー(37)がメインパーソナリティーを務める新番組『井上貴博 土曜日の「あ」』 (土曜午後1時~3時、4月のみ3時55分まで)をスタートさせる。情報があふれる中、わからないことをリスナーの皆さんと一緒に立ち止まって考える場所をつくろうというプログラム。井上アナは平日夕の情報番組「Nスタ」の総合司会など、これまでテレビを中心に活躍してきたが、ラジオ出演を強く希望してきたという。初の冠ラジオ番組に懸ける思いとは。

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◆あえて恥をかき、上を目指したい

 ――初のメインパーソナリティですが、今の心境は?

 「ラジオをやりたい」と会社に伝えていた中で、冠番組としてスタートさせてもらえるのは、ものすごく光栄です。「局アナをもっと使ってくれ」「局アナで勝負させてくれ」と生意気をずっと言っていたんです。今回、同僚を巻き込んで企画を出して、会社も「井上は本気なんだ」というのをわかってくれたのですが、その時も心境は半分でしたね、「本当に俺がやって大丈夫かな」と(笑い)。会社に恩義を感じ、今回は本当にありがたいです。

 ――なぜラジオを希望していたのですか?

 「しゃべり手」や局アナとして、果てしなく上を目指したいと思っています。在京キー局の中で唯一、テレビ・ラジオ兼営のTBSに入ったからには、ラジオを絶対にやりたい。むしろ「やらなきゃだめだ」と思っていたんです。パーソナリティーとして、すべてを背負うところに面白みを感じますし、全部背負わないと自分も成長しないと思いました。ラジオでは「ジェーンスー生活は踊る」で火曜日パートナーを務めたことはありますが、Nスタの担当が決まり、1年あまりで降りました。当時は「続けたい」と猛反発しましたが、結果出してからにしようと受け入れました。もう5年たちましたね。

 ――放送が楽しみですね。

 ワクワクしているんですけど、ものすごく怖くもあります。テレビの3時間の生放送で自分が話す時間はおそらく数分です。でも2時間のラジオ番組となると、自分のしゃべりだけで、映像には逃げられない。本当の意味で自分が試されます。あけすけなく言うと「別にラジオをやんなくてもいいんだよな」って、今でもどこかで思っています。丸裸になって恥をさらして「やっぱり井上は使えない」ってなる恐れもある。別にテレビだけやっていく道もありましたが、自分を追い込む意味で、これは大変ありがたいチャンスをいただいた。もがきながら、精いっぱいぶつかろうと思います。

 ――テレビとラジオで生番組が週6日になりますが、大丈夫ですか?

 あまり後先は考えないようにしています。「なるようになる」と。どこかで自分の人生はロールプレイングゲーム(RPG)だと思っている部分があって、これでダメだったら、そのRPGがダメだったということでしかないと思います。あと、昔から「疲れる」という感覚が、あんまりわからなくて……ネジが抜けているんですよ。「寝不足はきついな」というのは、もちろんあるんですけど、仕事で回っている感じです。ストレスもめちゃくちゃたまるんですけど、それが嫌かというと、それを求めている自分もいるので、「ドM」なんでしょう(笑い)。

 ――仕事への高いモチベーションはどこからくるのですか?

 どの番組でもタレントや俳優の方々がメインの司会者を取っていく中、勝てないとは思いますけど、やはり局アナも同じ土俵に立って勝負はすべきだと思うんです。「局アナはアシスタントで、フリーになったら上がり」っていう文化をひっくり返したいという思いが根底にあります。テレビは嫌われていますが、「局アナって面白い仕事だね」と思ってもらい、子どもが憧れる職業ランキングに載るくらいのところに、もう1度持っていきたいです。実は僕自身、もともとテレビは嫌いでした。自分たちが世の中を回していると勘違いする人の集まりだと思っていた。今でもその思いはあり、だからこそ、内側から変えたいと思っています。

◆芸人さんと違う面白さで勝負したい

 ――新番組はどのような内容ですか?

 ネットを開けば最新情報が出ている情報過多の時代で、テレビでも新聞でも「追いつかないといけない」と尻を叩かれる感じが僕自身にはあります。この番組は、みなさんと立ち止まれる空間にしたい。「ドラえもん」の中に出てくる「空き地」のような感じの場所。パジャマ姿のままでもいいし、嫌になったら帰ってもいい。来ない日があっても、全然違う人と一緒でもありがたいです。あと、自分は今のテレビの批判だけで終始する伝え方はもう終えてもいいと考えています。提案して、どう変えていきたいのか。一歩先に行きたい。その仕掛けや、やり方をスタッフと模索しているところです。最新情報を伝える番組ではなく、タイトルだけで「これはニュースをやらないな」ってすぐわかり、ふざけている感じもあって「これ、いいな」と思っています。

 ――井上さんにあれこれ言いたい人を募集する企画もあると聞きました。

 この番組は若い人にも関心を持ってもらいたい。ラジオリスナーの年齢層はご高齢世代が中心ですが、先々には若い人にも聞いてもらわないといけない。動画投稿のアプリ「TikTok(ティックトック)」やサイト「ユーチューブ」で当たる人は10~20代ですが、テレビの制作者は40~50代中心で、ラジオも若くて30代後半です。我々が面白いと思うことは若い世代は絶対つまらない。彼らが面白いと感じることや彼らが今、何を考え、悩んでいるのかを聞かせてほしいと僕自身は強く思います。高尚なことではなく、気になっているアイドルについてでもいいんです。

 ――取り上げてみたい話題は?

 僕が今、ぱっと思いつかないような話題をリスナーの皆さんに教えてもらったり、スタッフから出してもらったりしていきたい。また、ラジオだからこそ出演してくださるゲストがいらっしゃれば、いろんな話も伺いたいと思っています。テレビは時間が限られ、対談をしても、内容を相当切らないといけないですから。

――メインパーソナリティーとして、参考にしたいような番組はありますか?

 今はとにかく番組を問わず、数を聞こうと思っています。深夜番組で芸人さんらが話す番組はものすごく面白い。でもその面白さとは違うところで勝負をしたい。「局アナだと、こういうことができるんだ」という部分がどれだけ出せるかが、勝負だと思っています。局アナの番組がどこまでいけるのか。走りながらのスタートですが、リスナーの皆さんにアイデアをいただきながら、具現化していきたいと思います。

◆テレビより「自分」出したい

 ――ラジオの魅力をどう考えていますか?

 仕事仲間に話す言葉や内容と、地元の友人に使う言葉や内容は違いませんか?テレビとラジオはそんな感じの違いがあると思っています。エゴかもれませんが、ラジオでは踏み込んだ話もしてみたいし、優等生発言なんてしたくない。「自分にはこんな駄目な部分あるんです」ということも言ってみたいと思います。テレビだと尺やメディアの特性から、そこまで踏み込めないことがありますが、ラジオはできるんじゃないかな。その魅力はとても大きいです。あと、テレビは時計替わりだけど、ラジオは「この人の話を聞いてみよう」と思って付けている気がします。リスナーの皆さんが受け止める準備をしてくださっている感じが、とてつもなく魅力的。「世間的に言うと受け入れられないかもしれないですけど、僕はこう思うんですよね」という話をした時のリスナーの皆さんの反応に興味はあります。

 ――TBSの安住紳一郎アナもテレビの帯番組とラジオの掛け持ちですが、意識は?

 意識する次元ではなくて、あの人に関するテレビ、ラジオ、新聞、雑誌など全メディアを誰よりも見ています。もうストーカーで、気持ち悪いと思います(笑い)。でも入社した時から、安住さんがずっとTBSのトップで、あの人を脅かす存在にならないと話にならないと思ってきました。安住さんは自分の10歳上ですけど、誰よりも睡眠時間を削り、自分を追い込んでやろうとしているタイプ。だから、自分は「その何倍もやらないといけない」という大きなモチベーションになっています。

 ――Nスタに出演する作家・今村翔吾さんが1月に直木賞を受賞した際、放送中に涙する意外な一面もありました。

 最近、涙もろいですね。「何こんな泣いているだろう」と自分でもびっくりでした。高校スポーツだけは異常に弱く、見ているだけで泣くことはあったのですが、最近は家族モノなど作り込まれたドラマでも泣いちゃうまでに広がっていますね。でも、喜怒哀楽みたいなものもラジオなら、より出せるのかなと思いますね。テレビは「泣いている場合じゃない」ってブレーキを当たり前にかけますが、ラジオはより近くでリスナーの方が聞いてくださっているという感覚がありますから。

 ――テレビよりも素の井上アナが見られそうですね。

 そうですね。なるべくテレビでも自分を出そうと実験していますが、一方で、これからバラエティーなど次の舞台で勝負していくとなった時に、全部出し切ってしまった人間に面白味はゼロだと思う節もあって「あまり出したくないな」という気持ちもあったんです。いろんな「ギャップ」を出さなきゃいけないし、自分では出したい。今回は、いよいよある程度、出させてもらえる場をいただけたかなと思っています。ようやくスタートラインかなと。ここから、どこまで突き抜けていけるか。こういうことを言いながら、また自分を追い込んでいます(笑い)。

【略歴】

 井上貴博(いのうえ・たかひろ)1984年8月生まれ。東京都出身。慶応大卒 。2007年入社。「はなまるマーケット」のリポーターを経験し、17年から「みのもんたの朝ズバッ!」を担当。みのさん降板後は総合司会を務めた。「あさチャン!」「ビビット」の進行を経て、17年から「Nスタ」総合司会。21年のオリコン「好きなアナウンサーランキング」で9位に初ランクイン。慶応高校時代は甲子園を目指した元球児で、慶大在学中も母校の学生コーチとして後輩と甲子園に出場。