最終回~ロシアの片隅・コミ共和国にて
2020年1月下旬。コロナ禍が世界に拡散する直前、厳寒の中にあるロシアの、三つの地方都市に出向いた。用務は、日本に関心を持つ現地の人たちに、日本の地域活性化について講義をすることである。主催者は、外務省の外郭団体「ロシア日本センター」。現地では熱心な聴衆と、素朴だが心温まる歓迎が待っていた。
北極圏に近い大森林地帯の共和国
日本政府関係の講演は、国内外問わず同じで、ハードスケジュールで低賃金だ。しかしロシア日本センター主催の現地講義は、聴衆が知的好奇心旺盛でアグレッシブに質問してくるため、ヘトヘトに疲れるものの話しがいがある。
過去にはサハリンのユジノサハリンスク(「サハリン『ユジノサハリンスク』旧樺太の地の今は」参照)やサンクトペテルブルクのほか、ボルガ川上流のニジニーノブゴロド、コーカサスに近いスタフローポリにも出向き、それぞれ得難い勉強をすることができた。
今回の講義場所は、カスピ海に近いアストラハン、シベリアに近いエカテリンブルク、そして、ここで取り上げる北極圏に近い森林地帯「コミ共和国」の首都シクティフカルの3都市だ。それぞれ朝10時から午後5時まで4コマも講義し、中日に飛行機で移動する(直行便はないので途中乗り換え)というプランで、街を勝手に歩いて見て回れるのは、合間のわずかな時間のみである。
エカテリンブルクのホテルを朝4時半に出たとき、気温はマイナス20度台だった。6時15分発の便で、サンクトペテルブルクで乗り換え、コミ共和国のシクティフカル空港に着いたのは午後1時前。地図で見るとたいへんな遠回りをしているが、陸路だと…
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