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ウクライナでの戦争が長期化する中、侵攻したロシアとの連携を強化する中国の対応が注目されている。
この2年間、米欧は「権威主義から民主主義を守る戦い」と位置づけ、ロシアへの制裁やウクライナへの武器支援を続けてきた。
だが、昨秋にイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が始まると、パレスチナ自治区ガザ地区への攻撃を容認した米欧の「二重基準」に国際的な反発が広がった。
対露制裁に加わらない新興・途上国の発言力が高まり、こうした国々と共同歩調を取る中国に有利な状況が生まれている。
ウクライナ危機で中国は中立姿勢を強調する。だが、米主導の国際秩序に対抗するうえで重要なパートナーであるロシアの弱体化を食い止めるのに腐心してきたのが実態だ。
経済面の関係緊密化も顕著だ。中国税関当局によると、2023年の両国の貿易総額は前年比26・3%増の2401億ドル(約36兆円)で過去最高となった。中国による原油や天然ガスの輸入がロシアの戦費調達につながる構図だ。
米欧は、中国企業の技術がロシアの継戦能力を支えているとの見方を強めている。軍民両用の物資が輸出され、精密兵器に使われているとの指摘もある。
中国の王毅共産党政治局員兼外相は今月17日、ウクライナのクレバ外相と会談した際、米欧の疑念を払拭(ふっしょく)するように「紛争地域や当事者には殺傷力のある武器を売らない」と明言した。「平和を再構築するために建設的な役割を果たし続ける」とも述べた。
中国は核兵器使用に反対する考えを表明するなど、ロシアにくぎを刺す場面もある。そうしたバランス外交から透けて見えるのは、ロシアとの関係を維持しながらも、米欧との決定的な対立は避けたいとの思惑だ。
しかし、他国の領土を武力で奪う行為は国際法違反である。それを容認するような振る舞いをすれば、国際社会の非難が中国にも向かうだろう。
中国は「大国の責任」を外交方針として掲げている。国益の追求に終始するのではなく、国際秩序の安定に貢献することこそが求められている。