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大相撲の力士が本場所の取組前後に使う控室が支度部屋だ。7月の名古屋場所から新型コロナウイルス対策が緩和され、十両以上の関取への取材は支度部屋で行う形式が復活した。昨年5月の夏場所から大相撲を担当する記者(29)にとって、初めて知る世界だ。
「ザッ、ザッ、ザッ……」
「バチン!」
本場所初日の9日、会場のドルフィンズアリーナで支度部屋として使われている「第2競技場」に足を踏み入れた。取組を控える十両力士が足の運びを確認し、付け人と立ち合いの動作を確かめている。報道陣を含めて100人以上いるが、他には取組を映すテレビの音が聞こえる程度と静かだった。
部屋の構造に驚かされた。年3場所開かれる東京・両国国技館は東西それぞれに支度部屋があるが、名古屋は1部屋で東西を隔てるのはパーティション1枚。そこには水色、緑、オレンジなど、色とりどりの浴衣やタオルが掛けられている。取組を前に体と心を高ぶらせ、勝負が決した直後の感情が湧き出る空間を仕切る「軍事境界線」が簡易的な薄い壁で、その向こうには相手がいる。現実とのアンバランスさを感じた。
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