窯だより バックナンバー 2020年 9~12月





もう あと2時間足らずで令和2年も幕を下ろします。

コロナに翻弄された1年でしたが、有り難いことに僕の生活は「密」に遠く離れた環境。

胸一杯に大気を吸う当りまえが、なんと贅沢なことだったかと、しみじみ思うばかりです。

さて、年が明けて2月末からの髙島屋大阪店での個展準備で、慌ただしい年越しとなり、

正月気分を味わうのは「年越しそば」と「おせち」ぐらい。

で、まぁ、皆さま、今年一年たいへんお世話になりました。

誠にありがとうございました。どうぞ、良いお年をお迎えくださいませませ。

よろしくお願いいたします。

克童拝

2020.12.31



   

先日、東京藝術大学の教授を勤め上げた、高校時代級友の「豊福 誠 退任記念展」へ行った。

コロナ禍での上京は何だが、秦野から芸大へのアクセスは、

小田急線と千代田線が乗り入れているので極めてシンプル、一直線なのだ。

その上「メトロはこね号」なる特急ロマンスカーを利用でき、

旅行自粛で一車両乗客たった数人と、楽ちん&安全なのである。

根津駅から登って展覧会を観て、何故か此れまでスルーしてた、

上野のお山を観光して不忍池に下山、湯島駅から帰路についたのでした。

それにしても、今まで上野には数えきれぬほど足を運びながら、

行くところは博物館と美術館ばかり。

こんな興味深い場所とは全く知らなかったです。

上野東照宮、五重の塔、お化け灯篭、上野大仏レリーフ、大佛パコダ、

摺鉢山前方後円墳跡、清水観音堂、不忍池弁天堂、と。 へぇ~!おぉ~!

豊福君の退任記念展も良かったし、上野の山の名所旧跡も楽しんで、

なんだか、とっても幸せ気分でロマンスカーに。

ビールで喉をうるおしながら、丹沢に戻ってきたのででございます。

   

2020.12.16



   

「秋の夕日に照る山もみじ~♪」なんて童べ歌を口ずさびながら歩く山道。

「・・♪赤や黄色の色様々に~」、

そう、紅葉には赤、黄色がありますね、なんで?

そんな疑問に答えてくれる親切なカンバン『紅葉のひ・み・つ』が、

散歩コースに立っておりました。

ふむふむ、なんでも樹木が寒さと乾燥から身を守るため葉を落とす護身術、

その落葉までのプロセスにカラクリがあるらしいです。

ほう、光合成と緑色の色素クロロフィル、赤い色素アントシアン、

黄色の色素カロチノイドが重要アイテムなのですな。

て、ことですが説明するのは難しいんで、

興味ございます方はカンバンをズームしてお勉強してくださいませ。

光の反射で、ちょっと見ずらいけれど、ごかんべんあれ。

ではでは、失敬。

   

2020.12.2



  

個展でしばらく留守した丹沢を歩けば、都会で忘れていた秋の深まりに包まれ、ちょっと 幸せな気分です。

赤や黄に染まり始めた樹々の葉色、空高く雲龍を描く白雲の群がり、山奥に ピーッ と響く鹿の声。

「奥山に もみぢ踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき」

百人一首にある猿丸太夫の歌が染みる、そんな季節。

そう、牝を呼ぶ声は哀愁を帯び、鳥に似て、

鹿の別名を「紅葉鳥・もみじどり」ということを思い出した、散歩道。

     

2020.11.15



   

お陰様で日本橋三越本店での『中島克童 陶展』が無事終了いたしました。

コロナ禍の開催ではございましたが、

改めて「工芸と暮らし」を再考する貴重な機会となりました。

やはり、都心は想像以上に閑散としていました、

新しい銀座線・渋谷駅をゆったりと乗車し、

昼は三越屋上に期間企画で造られた”Oggi Park”にて

ピクニック気分でオニギリを頬張るリラックス・ランチを。

いつもは味わえない、スロー個展だったのでした。

   

2020.11.7



  

日本橋三越本店での『中島克童 陶展』開催まで、あと僅かとなりました。

皆様へのご案内を昨日発送、そろそろお手元に届くかと思います。

それにしても、2年以上前からの企画でありながら、

今年に入ってからの新型コロナで個展の方向性、

作品構想も大きく変化する大変な準備期間となりました。

さて、そのようなことにより今展は案内DM掲載作品の他、

ウィズコロナの自宅で過ごす暮らしを彩る器をいろいろと出展いたします。

どうぞ御高覧いただきますよう宜しくお願い申し上げます。

会場・会期など詳しくは「予定のページ」をご覧ください。

尚、会期中は全日程在廊いたします。

2020.10.16



    

上左の写真は工房近くから眺めた丹沢表尾根東部で、中央の少し低いのが「二ノ塔」である。

その頂きの手前下に なんと”日本武尊”ヤマトタケルノミコトの”足あと”があるのだという。

丹沢に暮らすこと37年、目と鼻の先、たった4kmの場所に、

そんな大それたものが存在しようとは・・・、まったく知らんかった。

足アトの由来を調べてみると、

なんでもタケルノミコトが東征の折に水を求めて岩を踏み締めた跡とのこと。

まぁ、岩に付いている足形の窪みであるが。

タケルノミコトに絡む話は神奈川に割と多い、三浦半島や茅ヶ崎などにも。

一月後に迫った個展が終わった暁には、

「古事記」、「日本書紀」のヒーロー、

ヤマトタケルノミコト伝説に ゆったり浸る山歩きをしてみたいものである。

  

2020.9.30





一年のほとんどを洋上で暮らす知人がいて、

近くに上陸すると途中寄港した土地の珍しい酒を携えてぶらりと山に現れる。

世界の酒に詳しい彼の話しは相当おもしろいのだが、そんななか驚きの酒があることを知った。

それは「人糞酒」、人間の大便を材料としたもので、韓国の『トンスル』なる代物である。

ハングルで「スル」は酒だから、「トン」はウンチってことですね。

さすがに氏も飲んだこと無いと言ってましたが。

うん、まぁ、いつか機会がありましたら飲んでみたいやら・・・、

薬にもなるそうだけど・・・。

  

2020.9.15



   

中国・河南省汝州市に豪華な新博物館「中国汝瓷博物館」が竣工した。

”汝瓷”は”汝窯青磁”のこと、北宋宮廷の御用品として焼造し中国陶磁の至宝と称される。

宋代五大名窯「汝・官・哥・定・鈞」の筆頭に列するが、

その遺品は全世界に70数点と極めて少ない。

文献に”宮中の禁焼”とあることから北宋の都”開封”に窯が置かれたはず、

と永年探索すれど所在不明、何百年も謎のままであった。

それが、1900年代も終わろうとする頃になって開封から200キロ遠く離れた、

宝豊県清涼寺と汝州市張公巷で伝世汝窯の特徴を持つ陶片が発見され、

2000年以降大々的な発掘調査が行われたのだった。

日本でも2009年に大阪で「北宋汝窯発掘調査成果展」と「国際シンポジウム」を開催、

汝窯の謎めく青磁の魅力に興奮した記憶が懐かしい。

ところで今回の汝州市に先駆け、宝豊県では2017年に「清涼寺汝窯博物館」を開館、

世界の陶磁界の話題をさらっている。

さて、「中国汝瓷博物館」のコロナ禍でのこのタイミングは、どうなのであろうか。

ま、しかし、中国配信のこのネットニュースは”竣工”であって、

展示”開館”の時期には触れていない。

 

2020.9.2



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