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職員への安全配慮義務違反とは?罰則や事例、訴えられた際の対応を解説

職員への安全配慮義務違反とは?罰則や事例、訴えられた際の対応を解説
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介護事業所を運営する上で、職員の存在は欠かせません。

そして、職員を雇用し、事業を運営していれば、職員が業務中に怪我をしたり、病気になることもあります。

雇用主は、職員に働いてもらって利益を得る以上、職員の安全や健康に配慮する義務があり、その義務に違反すれば、損害賠償責任等、様々な責任を負う事になります。これが、「安全配慮義務違反」です。

近年、職員から、「職場でパワハラにあったせいでうつ病になった」などとして、労災の申請や損害賠償を求められるケースが多くみられます。

介護事業所としても、どのような時に、どのような理由で責任を負うことがあるかについて、しっかり理解していなければ、職員からの訴えに対して適切に対応ができず、初動を誤って紛争が激化したり、逆に応じなくてもよい訴えへの対応に、担当者が疲弊してしまうこともあります。

そこで、この記事では、雇用主が負う安全配慮義務の内容の他、どのような場合に安全配慮義務違反を問われるのか、また、安全配慮義務に違反したときの具体的な責任や事例について解説します。

これに加え、安全配慮義務違反にならないための対策の他、職員から安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を受けたときの対応、弁護士等の専門家へ相談するタイミングやメリットについても解説しますので、現に職員からの請求に悩んでいる事業所の皆様は、ぜひ参考にしてください。

それでは、見ていきましょう。

 

1.安全配慮義務違反とは?

まずは、安全配慮義務違反の意義について説明します。

最初に、そもそも「安全配慮義務とは?」について説明した上で、「安全配慮義務違反」についてを解説していますので、順番に見ていきましょう。

 

1−1.そもそも安全配慮義務とは?

安全配慮義務とは、広く「特別の社会的接触関係」にある当事者間における付随義務のことをいいます。

そして、労働契約法第5条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定しており、労働契約における安全配慮義務を明文化しています。

労働契約法第5条については、以下の条文を参考にご覧ください。

 

▶参照:「労働契約法第5条」の条文はこちら

 

 

もっとも、安全配慮義務は、契約関係の有無に拘わらず発生するため、元請企業と下請企業従業員、派遣先企業と派遣労働者など、直接の労働契約関係がない当事者間であっても、労働者の生命・健康にかかわる指揮命令や管理監督が行われている場合には、当該「使用者」(元請企業、派遣先企業)は、労働者(下請企業従業員、派遣労働者)に対して安全配慮義務を負うことになります。

 

1−2.安全配慮義務違反とは?

そして、使用者が、この安全配慮義務に違反したこと、具体的には、本来実施すべき職員の労務管理を怠った結果、そのことにより職員が、病気になったり、怪我をしたり、最悪の場合には命を落とす様なことがあれば、これに対する責任を問われることになります。

このような、「本来実施すべき職員の労務管理を怠ること」が、「安全配慮義務違反」であり、安全配慮義務違反に基づいて、以下で説明するような損害賠償義務を負うことになるのです。

 

2.安全配慮義務違反の法的根拠

では、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求は、どのような根拠から発生するのでしょうか。

 

2−1.債務不履行責任(民法415条)

いわゆる「安全配慮義務違反」の根拠となるのは、民法415条が定める債務不履行責任です。

 

▶参照:民法415条の条文

(債務不履行による損害賠償)

第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

・参照元:「民法415条」の条文はこちら

 

 

労働契約法によって安全配慮義務が明示される以前、業務中に損害を被った労働者が、使用者に損害賠償請求をする根拠としては、以下で解説する「不法行為責任」でした。

もっとも、不法行為による損害賠償請求権の時効が3年であることや、労働者側が使用者の過失の存在を立証する責任を負わないといけないという問題があり、充分な労働者の救済が図れませんでした。

そこで、判例が認めたのが、労働契約上の信義則(民法1条2項)に基づき、労働者の生命や健康を危険から保護するよう配慮すべき義務、すなわち「安全配慮義務」です。

その結果、使用者がこの安全配慮義務に違反すれば、債務不履行責任を負うこととなりました。

現在では、労働契約法5条で明示されるに至りました。

以下で、「債務不履行責任(民法415条)」に関する裁判例もご紹介しておきます。

 

▶裁判例1:最高裁昭和50年2月25日(民集29-2-143)

・判事事項:国の国家公務員に対する安全配慮義務の有無

・使用者が負う「安全配慮義務」の根拠と内容:

「思うに、国と国家公務員(以下「公務員」という。)との間における主要な義務として、法は、公務員が職務に専念すべき義務(国家公務員法一〇一条一項前段、 自衛隊法六〇条一項等)並びに法令及び上司の命令に従うべき義務(国家公務員法 九八条一項、自衛隊法五六条、五七条等)を負い、国がこれに対応して公務員に対し給与支払義務(国家公務員法六二条、防衛庁職員給与法四条以下等)を負うこと を定めているが、国の義務は右の給付義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が 国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び 健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。) を負つているものと解すべきである。」

 

・参照:「最高裁昭和50年2月25日(民集29-2-143)」の内容はこちら

 

▶裁判例2:最高裁昭和59年4月10日判決(民集38-6-557)

・判事事項:宿直勤務中の従業員が盗賊に殺害された事故につき会社に安全配慮義務の違背に基づく損害賠償責任があるとされた事例

・使用者が負う「安全配慮義務」の根拠と内容:

「ところで、雇傭契約は、労働者の労務提供と使用者の報酬支払をその基本内容とする双務有償契約であるが、通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労務の提供を行うものであるから、使用者は、右の報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負つているものと解するのが相当である。」

 

・参照:「最高裁昭和59年4月10日判決(民集38-6-557)」の内容はこちら

 

 

2−2.不法行為責任(民法709条(民法715条))

判例が「安全配慮義務」を認める以前は、不法行為に基づく損害賠償請求により救済が図られていました。

 

▶参照:民法709条(民法715条)の条文

(不法行為による損害賠償)

第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(使用者等の責任)

第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

・参照元:「民法709条(民法715条)」の条文はこちら

 

 

具体的には、使用者の過失により、職場環境等に問題がある状況を作ったことを不法行為と捉え、これに基づいて損害賠償請求をするという方法です。

現在でも、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の際には、債務不履行のみならず、不法行為責任も併せて追及をすることが通常です。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

現在、「安全配慮義務」は、労働契約上の義務であると同時に、不法行為法上の注意義務をも構成すると解されており、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の際には、債務不履行のみならず、不法行為責任も併せて追及をすることが通常です。

 

以下でも説明をしますが、債務不履行に基づく損害賠償請求と、不法行為に基づく損害賠償請求との大きな違いは、以下の3点です。

 

  • 1.消滅時効の年数(債務不履行の場合は5年、不法行為の場合は3年)
  • 2.請求できる損害項目(不法行為の場合は、弁護士費用を一部請求可能)
  • 3.過失の有無についての立証責任(債務不履行の場合は使用者、不法行為の場合は労働者)

 

なお、令和3年4月に民法が改正されるまで、債務不履行の時効は10年でしたが、5年に短縮されたことから、この点での差は民法改正に伴い小さくなりました。

 

 

3.安全配慮義務違反の要件

以下では、債務不履行責任(民法415条)及び不法行為責任(民法709条(民法715条))に基づく損害賠償請求の要件について解説します。

 

3−1.債務不履行責任(民法415条)の場合

債務不履行責任に基づいて損害賠償請求をする場合の要件は、以下のとおりです。

 

  • 1.ある法律関係に基づき特別な社会的接触関係に入ったこと
  • 2.「1」によって生じる安全配慮義務の存在
  • 3.「2」の義務違反
  • 4.損害の発生及び額
  • 5.「3」と「4」の因果関係

 

具体的には、「1.ある法律関係に基づき特別な社会的接触関係に入ったこと」については、労働契約の存在によって当然に認められます。

そして、「2.「1」によって生じる安全配慮義務の存在」「3.「2」の義務違反」について、労働者には使用者の安全配慮義務の具体的内容を特定し、かつ、義務違反の事実を主張立証する義務がありますが、これに対して、予見可能性がないこと、回避可能性がないこと、不可抗力であることなど、使用者に、当該義務違反に対する過失がないことについては、使用者側が主張、立証する必要があります。

とはいうものの、「3.「2」の義務違反」の判断の中には、実質的に過失の有無の判断が含まれることから、この点については大きな差ではないとも言えます。

 

3−2.不法行為責任(民法709条(民法715条))の場合

不法行為に基づいて損害賠償請求をする場合の要件は、以下のとおりです。

 

  • 1.故意又は過失があること
  • 2.他人の権利又は法律上保護される利益を侵害したこと
  • 3.「1」と「2」の因果関係
  • 4.損害の発生及びその額
  • 5.「2」と「4」の因果関係

 

「1.故意又は過失があること」については、具体的には、「2.他人の権利又は法律上保護される利益を侵害したこと」の行為についての過失の存在、すなわち、予見可能性があること及び結果回避可能性があることの主張ですが、「1」「2」で主張立証すべき内容は、実質的には、債務不履行責任でいう「安全配慮義務」の存在とその義務違反と同義です。

そのため、実際の訴訟等では、債務不履行責任と不法行為責任が併記され、主張内容としては同一の事実を上げることが通常です。

もっとも、損害賠償の対象となる損害項目については、不法行為責任による場合には弁護士費用が含まれるという点で差があります。

 

4.介護現場で起こる安全配慮義務違反の種類と事例

介護現場には、職員が傷病を発症する原因となる様々な要因が潜んでいます。

以下では、介護現場で発生し、事業所が責任を問われ得る安全配慮義務違反の種類と事例について説明します。

 

4−1.長時間労働

長時間労働

介護現場では、利用者へのサービス提供の他、サービス提供の記録の作成、ヒヤリハット報告書の作成、その他行政への提出のための様々な書類の作成など、多くの業務があります。

人員等に余裕があれば、業務時間内にこれらの書類の作成等も可能ですが、1人の職員が複数の利用者の対応をしているのが通常である介護現場においては、必ずしも業務時間内にすべての業務を終わらせることは困難な場合もあります。

また、感染症の流行時、特に現在のように、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている状況では、感染症対策のために作業行程は数倍に増えますし、さらには、職員が感染症に罹患したことで、さらなる人員不足等も発生し得ます。

このような状況から、職員の勤務時間が長時間に及ぶと、職員は心身共に疲労し、過労による体調不良や、精神疾患を発症する可能性が高くなります。

一次的な長時間労働はやむを得ない場合もありますが、このような長時間労働が常態化し、事業所がこれを認識しながら漫然と放置していた結果、職員に傷病が発生した場合には、事業所は安全配慮義務違反を問われることになります。

 

4−2.ハラスメント

ハラスメント

近年問題となることが多いメンタルヘルス不調の原因となるのは、多くは職場でのパワハラ(パワーハラスメント)、セクハラ(セクシュアルハラスメント)などのハラスメントです。

 

(1)事業所内でのハラスメント

パワハラ(パワーハラスメント)、セクハラ(セクシュアルハラスメント)などのハラスメントが常態化した職場では、ハラスメントそれ自体による精神的ダメージの他、業務の中で困ったことがあっても相談をする相手がいなくなり、孤立してしまいます。

その結果、業務での問題を抱え込み、うつ病や適応障害などの精神疾患を発症するケースがあります。

 

(2)利用者や利用者家族からのハラスメント

また、近年は、利用者や利用者家族からのカスタマーハラスメントにより、職員がうつ病や適応障害などの精神疾患を発症するケースもあります。

利用者や利用者家族から、クレームが入ること自体はある程度はやむを得ないものではあるものの、そのクレームの内容が、事業所や職員に無理を強いるものであったり、その要求の態様が、事業所に来て大声を上げる、職員を罵倒する、居座って帰らない、執拗に電話をしてくるなど、行き過ぎたものである場合には、事業所として職員を守らなければなりません。

このようなカスタマーハラスメントへの対応を特定の職員等に任せ、それにより当該職員が精神疾患を発症するなどした場合には、事業所として、安全配慮義務違反の責任を負うことになります。

なお、カスタマーハラスメントへの対応に関しては、以下の記事でも詳しく説明していますので、併せてご覧下さい。

 

▶参照:カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?対応方法などを事例付きで解説

 

 

4−3.介護事故、虐待対応などのアクシデント

 

職員にとって、介護事故や虐待発生などは大きなインパクトがあります。

介護事故や虐待そのもののインパクトもそうですが、介護事故や虐待事件が事業所内で発生すれば、当該利用者の安全確保、医療機関との連携、利用者家族への説明、行政対応、警察やマスコミ対応など、多くの作業が発生します。

特に、介護事故を起こしてしまった本人である職員は、利用者の症状や容態によっては大きな衝撃を受け、責任を感じ、精神的に大きなストレスを抱えることになります。

このような状況となった職員を放置し、体調不良や精神疾患を発症してしまったような場合、事業所に安全配慮義務違反が認められる可能性があります。

 

4−4.感染症への罹患

介護サービスは、利用者との直接的な接触が多い業務です。

そのため、一度施設等で感染症が発生してしまうと、職員は感染症対策に忙殺されますが、その中で、職員自身が感染症に罹患してしまうこともあります。

この時、事業所として、充分な感染症対策をとっている中での感染の場合には、必ずしも安全配慮義務違反とならない場合もありますが、事業所としての感染症対策が不十分で、職員が感染症に罹患してしまった場合には、安全配慮義務違反が認められる可能性があります。

なお、介護職員が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合の対応等については、以下の記事でも解説していますので、併せてご覧下さい。

 

▶参考:介護職員が新型コロナ感染!陽性者や濃厚接触者、職場の対応をケース別に解説

 

 

4−5.介助中の怪我や病気

その他、介護サービスにおいては、利用者の臥床介助、送迎の際の介助、歩行介助、など、利用者の体重を支えるような業務が非常に多いです。

そのため、介助に伴い、腰痛や腱鞘炎を発症したり、倒れそうになった利用者の体を支えた際に体を痛めるなど、怪我はつきものです。

このような業務に伴う損害については、次に解説する「労災」の対象となることが多いですが、このような怪我の発生が、例えば事業所の設備上の問題であった場合などには、事業所の安全配慮義務違反が認められる可能性があります。

 

5.労災との関係

労災との関係

職員が業務の中で怪我をしたり病気になったりした際に、安全配慮義務違反と併せて問題となるのが「労災」です。

むしろ、業務中の怪我や病気と言えば「労災」だと考えている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、安全配慮義務違反と「労災」との関係について解説します。

 

5−1.「労災」が認められる要件

「労災」とは、労災保険制度のことであり、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。

その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれており、一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。

具体的には、以下のような給付がされます。

 

▶参考:労災保険給付の一覧

労災保険給付の一覧表

労災保険給付の一覧表2

▶参照元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労災保険給付の概要」8及び9頁を抜粋(pdf)

 

「労災」が認められるには、業務と傷害等との間に、一定の因果関係があることが必要です。

一般的には、労働者に発症した疾病について、次の3要件が満たされる場合には、原則として業務上疾病と認められます。

 

  • 1.労働の場に有害因子が存在していること
  • 2.健康障害を起こしうるほどの有害因子にさらされたこと
  • 3.発症の経過および病態が医学的にみて妥当であること

 

詳しくは、以下の厚生労働省のパンフレットをご覧下さい。

 

▶参照:厚生労働省「労災保険給付の概要」

 

 

5−2.安全配慮義務違反との関係

「労災」が認められる条件を見るとわかるように、「労災」が認められるためには、事業所の「過失」等は必要ありません。

そのため、労災保険請求が認められれば、必ずしも事業所の安全配慮義務違反が認められる、ということにはなりません。

 

▶参考:労災が認められるケースと安全配慮義務違反が認められるケースの比較

労災が認められるケースと安全配慮義務違反が認められるケースの比較

また、「労災」が認められても、職員の被った損害すべてが補填されるわけではなく、支給される金額は限られています。

そのため、「労災」請求をした職員から、別途安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求がされるケースがあるのです。

 

▶参考:安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求額と労災給付額の範囲の比較

安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求額と労災給付額の範囲の比較

 

 

6.安全配慮義務違反が認められたらどうなる?罰則はある?

具体的に、安全配慮義務違反が認められた場合、事業所はどのような責任を追い得る
でしょうか。

ここでは、民事上の責任に加え、刑事上の責任についても解説します。

 

6−1.民事上の損害賠償責任

民事上の責任としては、先に解説した通り、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求義務です。

ここでは、具体的に請求される請求項目等について解説します。

 

(1)認められる損害項目

債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求において、請求される損害項目としては以下のようなものがあげられます。

 

  • 1.休職をしていた間の休業損害
  • 2.治療が必要となる場合は治療費、通院のための交通費、診断書等の文書代
  • 3.入通院慰謝料
  • 4.傷病によって後遺症が残存した場合は後遺症慰謝料
  • 5.後遺症や死亡によって労働能力が失われた場合の逸失利益
  • 6.傷病によって介護が必要となった場合の介護費用
  • 7.死亡の場合の死亡慰謝料、葬式代
  • 8.死亡の場合の親族固有の慰謝料

 

また、不法行為の場合は、先に説明した通り、

 

  • 9.弁護士費用(通常は請求金額の10%程度)

 

が、損害項目となります。

この中で、「3.入通院慰謝料」、「4.傷病によって後遺症が残存した場合の後遺症慰謝料」、「5.後遺症や死亡によって労働能力が失われた場合の逸失利益」、「7.死亡の場合の死亡慰謝料」、「8.死亡の場合の親族固有の慰謝料」などは、どのように算定するのかわからないかもしれません。

この時、参考にされているのが、公益財団法人日弁連交通事故相談センターが発刊する「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」という、交通事故事件の場合の賠償額等について定めた書籍です。

この中では、慰謝料の算定方法や、その基準等が掲載されており、交通事故以外の損害賠償請求の場面で参考にされにされています。

 

▶参照:公益財団法人日弁連交通事故相談センター「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」

 

 

もちろん、事故や傷病の内容はさまざまであるため、基準を用いるだけでは不正確であったり、考慮すべき事情を考慮できない場合もあります。

そのため、あくまでこの書籍で定められた算定方法を基礎として、実際の事情を加味して損害を算定することになります。

 

(2)過失相殺

事業所側の安全配慮義務違反が認められる場合であっても、その損害の発生等について、職員側にも何らかの落ち度(過失)がある場合があります。

その場合、裁判所は、事業所側の責任を認めたうえで、職員の過失を加味し、損害額を一定割合差し引くことがあります。このような処理のことを、過失相殺といいます。

これは、「損害の公平な分配」という不法行為におけるルールを体現したもので、ある人が受けた損害をどのように分配することが公平か、という観点から行われるものです。

そのため、裁判所は、法人側の安全配慮義務違反をかなり広く認める傾向があり、もっとも、その原因の多くが職員本人にもあるという場合には、5割を超える過失相殺をすることで、損害の分配を行うこともあります。

例えば、さいたま市の環境局職員が、職場のパワハラによって自殺をしたという事件(東京高裁平成29年10月26日判決(労判1172.26))においては、当該職員にうつ病の既往症があり、さいたま市としても、当該職員をクリニックへ受診させたり、休職をさせ、当該職員の家族等とも連携を取りながら無理に働かせないような措置を講じていた中で、職員の自殺という最悪の結果が発生しました。

さいたま市としては、これ以上ないほどに丁寧な対応を取っていたのですが、それでも裁判所は、さいたま市の安全配慮義務違反(健康配慮義務違反)を認めています。

もっとも、裁判所は、当外職員自身の既往症等を考慮し、なんと7割もの過失相殺がされました。

「東京高裁平成29年10月26日判決」の具体的な判決内容については、以下をご参照ください。

 

▶参照:「東京高裁 平成29年10月26日判決」の判決内容はこちら

 

 

このように、裁判所としては、雇用主側の責任を広く認めつつ、その賠償額については、過失相殺で調整をする、といった判断をする傾向にあるのです。

なお、職員の心理的要因を理由とする過失相殺については、「身体に対する加害行為と発生した損害との間に相当因果関係がある場合において、その損害がその加害行為のみによつて通常発生する程度、範囲を超えるものであつて、かつ、その損害の拡大について被害者の心因的要因が寄与しているときは、損害を公平に分担させるという損害賠償法の理念に照らし、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法七二二条二項の過失相殺の規定を類推適用して、 その損害の拡大に寄与した被害者の右事情を斟酌することができるものと解するのが相当である。」と考えられています(最高裁昭和63年4月21日判決(民集42-4-243))。

「最高裁昭和63年4月21日判決(民集42-4-243)」の具体的な判決内容については、以下をご参照下さい。

 

▶参照:最高裁昭和63年4月21日判決(民集42-4-243)の判決内容はこちら

 

 

その上で、この趣旨については、「労働者の業務の負担が過重であることを原因とする損害賠償請求においても、基本的に同様に解すべきものである。」としつつ、「企業等に雇用される労働者の性格が多様のものであることはいうまでもないところ、ある業務に従事する特定の労働者の性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでない限り、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等が業務の過重負担に起因して当該労働者に生じた損害の発生又は拡大に寄与したとしても、そのような事態は使用者として予想すべきものということができる。」として、「労働者の性格が前記の範囲を外れるものでない場合には、裁判所は、業務の負担が過重であることを原因とする損害賠償請求において使用者の賠償すべき額を決定するに 当たり、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等を、心因的要因としてしんしゃくすることはできないというべきである。」とされています(最高裁平成12年3月24日判決(民集54-3-1155))。

「最高裁平成12年3月24日判決(民集54-3-1155)」の具体的な判決内容については、以下をご参照下さい。

 

▶参照:最高裁平成12年3月24日判決(民集54-3-1155)の判決内容はこちら

 

 

(3)消滅時効

1.債務不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効の場合

債務不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、以下の通りです(民法166条1項)。

 

(1)債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間

または

(2)権利を行使することができる時から10年間

 

2.不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効

他方、不法行為の場合は、以下の通りです(民法724条)。

 

(1)被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間

または

(2)不法行為の時から20年間

 

なお、人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効については、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間となります(民法724条の2)。

どちらの法的構成をとるかにより、消滅時効の期間の長さが異なることに注意が必要です。

 

6−2.刑事上の責任

安全配慮義務違反について、事業所が問われ得る刑事責任としては、業務上過失致死傷罪(刑法211条)があり得ます。

 

▶参考:刑法211条の条文

(業務上過失致死傷等)

第211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 

・参照元:「刑法211条」の条文はこちら

 

例えば、事業所の経営者等が、職員の長時間労働や劣悪な勤務実態を認識していながら、これに対してなんらの措置も講じず、その結果当該職員が過労死してしまう、というようなことが発生した時、「業務上必要な注意」を怠ったとして、経営者等が業務上過失致傷罪に問われることがあり得ます。

また、労働安全衛生法は、20条以下で「労働者の危険又は健康障害を防止するための措置」について定めていますが、労働安全衛生法は115条の3以降で罰則について定めています。

例えば、労働安全衛生法20条ないし25条の2について、これに違反した場合は、労働安全衛生法119条1号により、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金を課せられることになります。

労働安全衛生法20条以下の詳しい条文については、以下をご参照ください。

 

▶︎参照:「労働安全衛生法」の条文はこちら

 

 

7.安全配慮義務違反と労働者からの訴えがあった際の対応

具体的に、職員の側から安全配慮義務違反に関する訴えがあった場合、どのような対応をとる必要があるでしょうか。

以下では、具体的な対応方法について解説します。

 

7−1.労働者から安全配慮義務違反を主張されるのはどんな時?

労働者から安全配慮義務違反の主張をされるタイミングとしては、一定期間の休職等を要する旨が記載された診断書と共に、職員本人、職員の家族、場合によっては弁護士から、「この傷病は法人の安全配慮義務違反によるものだ」などと指摘がされた書面が届いたり、電話や面談などで訴えられることが多いです。

この場合にも、大きくは以下のような2パターンがあり得ます。

 

  • 1.事業所が全く予想してない時期に突然訴えがされる場合
  • 2.訴え以前に、事業所と当該職員との間で、当該職員の問題行動やこれに対する事業所側の注意指導などが行われている場合

 

「2.訴え以前に、事業所と当該職員との間で、当該職員の問題行動やこれに対する事業所側の注意指導などが行われている場合」は、当該職員がさまざまな理由から問題行動を起こしており、この問題行動を指摘したり注意指導し、場合によっては配置転換等による改善を図ろうとした矢先などに発生することが多いです。

多くの場合は、事業所側の注意指導や配置転換等自体が違法であったり、パワーハラスメントにあたり、これにより精神疾患を発症したと主張します。

 

7−2.安全配慮義務違反への対応

では、このような職員からの訴えに対し、どのように対応すればよいでしょうか。

以下では、主には、近年問題となることが多い精神疾患を前提とする安全配慮義務違反の内容を念頭に、解説しますが、流れについては、その他の病気や怪我と大きく変わるところはありませんので、併せてご覧ください。

 

(1)調査

「1.事業所が全く予想してない時期に突然訴えがされる場合」「2.訴え以前に、事業所と当該職員との間で、当該職員の問題行動やこれに対する事業所側の注意指導などが行われている場合」、いずれの場合であっても、まずは職員側の主張の是非について検討をする必要があります。

「2」の場合は、問題社員に対する対応を正しく履践し、注意指導をしていたのであれば、既にそれまでの当該職員の言動は調査済みであり、事業所としての判断は容易かもしれませんが、「1」の場合は、ある程度の時間をかけ、丁寧に実施をしていく必要があります。

具体的には、当該傷病の具体的な状態や原因を、医師の診断書のみならず、診断書を書いた主治医への症状の照会、法人側の産業医への受診や面談の実施の他、職場環境に問題があったとの主張の場合には、主張される事情の有無を調査する必要があります。

職場環境の問題として主張されることが多いのは、長時間労働が常態化している、休憩を取ることができていない、特定の職員からハラスメントを受けている、などといった事情です。

この場合は、当該職員の勤務状況を、勤務表や残業の実績のみならず、実際の働き方を他の職員から聞き取るなどして実態面を調査する必要があります。

なお、ハラスメントがあったとの訴えの場合には、ハラスメントを行ったとされる職員や、その他の職員からの聞き取りが必要となりますが、その聞き取りは慎重に行う必要があります。

当該職員は、疾病が業務遂行可能な程度に回復した後、職場へ戻ってきます。その際、誰彼構わず聞き取りを実施したことで、当該職員に対する警戒や不信の目が向けられ、これによって職場復帰がスムーズに進まない可能性もあり、これが新たな火種になる可能性もあるからです。

調査によっても、職員の疾病の原因は明らかにならない場合もあります。

その場合には、認定できる事実とそうではない事実をしっかりと整理した上、次の職員との交渉に臨むことになります。

 

(2)職員との交渉

 

1.職場環境の問題が疾病の原因となった可能性がある場合

調査の結果、職員が主張するような事実が存在し、その事実が、当該職員の疾病の原因となった可能性がある場合には、以下で解説する労災申請への協力の他、これでカバーできない損害への対応や、原因事実の排除のための具体的な方策について説明し、理解を求めることになります。

労災でカバーできない損害の補填としては、例えば、そもそも休職中の給与については全額を支給するようにする、慰謝料額としてまとまった金額を支払うなど、当該疾病の重さや原因となる事実の深刻さ、さらに当該事実が疾病の原因にどの程度関わったかなどによって、判断をすることになります。

 

2.職員が主張するような事実の存在が認定できない場合

また、調査の結果、職員が主張するような事実の存在が認定できない、また、当該事実があったとしても、それが疾病の原因となったかどうかは定かではない(既往症等があり、必ずしも当該事実によって当該疾病が発生したり悪化したとは言い難い場合など)場合には、事業所として、取り得る選択肢として2つ考えられます。

 

方法1:
私傷病による休職として扱う方法

1つは、事業所側に安全配慮義務違反の事実は認められないとして、職員からの要求に応じず、私傷病による休職として扱う方法です。

うつ病等の精神疾患の場合の休職手続については、以下の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

 

▶︎参考:うつ病で休職!判断基準や期間、手続きや注意点など対応方法を徹底解説

 

 

方法2:
「見舞金等の形で一定の金額を支払う」といった折衷的な対応をする方法

もう1つは、事業所側に安全配慮義務違反があったか否かは別として、見舞金等の形で一定の金額を支払う、などといった折衷的な対応をする方法です。

法人によっては、私傷病休職の場合に一定の見舞金を支払う旨、就業規則に定めている場合もあるかもしれませんが、基本的には事業所側に責任はない前提で、職員が治療に専念し、安心して帰ってこられる状況を作ることも必要です。

どちらの方針を取るかは、事業所の資力や、当該職員とのこれまでの関係性、今後の職員の動向(職場復帰するのか、退職するのかなど)などによって、ケースバイケースでの判断が求められます。

そのため、決断をする際には、弁護士などの専門家への相談が非常に重要となります。

 

(3)傷病手当、労災申請への協力

職員が疾病により休職をする場合、私傷病休職であれば傷病手当の支給、業務に起因する事故を原因とする場合は労災申請による労災給付を受けることになります。

いずれの場合であっても、事業所による書類の作成等が必要となるため、職員から要望があれば、誠実に対応するようにしましょう。

なお、労災申請の場合、書類の作成には応じる必要がありますが、その原因として、事業所としては認定できない事実等が記載されているような場合には、労働基準監督署が正確な判断ができるよう、必要書類と共に、事業所としての認識や見解を上申書の形で提出しておくことが必要です。

なぜなら、事業所が必要書類を作成するにあたって、職員が事実と異なる記載をしているにもかかわらず、これにあえて何も触れず、漫然と書類を作成していれば、いくら労災申請と安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求が異なる手続だと言っても、事業所側の見解を推認する1つの要素となり得るからです。

手続には誠意をもって応じる必要がありますが、特に事実等に争いがある場合には細心の注意を払い、必ず専門家へ相談するようにしましょう。

 

(4)職員との合意

職員との間で、発症した疾病に関して折合いがついた場合は、合意書を作成し、お互いの権利義務を明確にしておくことが肝要です。

具体的には、合意書には、以下のような要素を必ず取り入れてください。

 

▶参考:合意書の記載例

① この合意書が、当該職員のどのような疾病や事故に関する合意であるかを特定する内容。

例)

・○年○月○日付診断書に記載された疾病
・○年○月○日に発生した○の事故により発症した傷病

 

② 事業所が当該職員に対して行う給付の内容。

例)

・事業所は職員に対し、表記【疾病・事故】に関する【損害賠償金・慰謝料・解決金・見舞金】として、金○円を、○年○月○日限り、職員の給与振込口座に振込送金する方法で支払う。ただし、振込手数料は事業所の負担とする。

 

③ 清算条項

例)事業所と職員は、事業所と職員との間に、表記【疾病・事故】に関し、本合意書で定める他なんらの債権債務関係がないことを相互に確認する。

 

 

また、仮に職員が、当該疾病や事故を契機に退職する場合には、これを退職に関する内容を盛り込むことも考えられます。

なお、退職合意書については、別途作成しても問題ありませんが、職員が退職をする状況は、傷病の程度が重いか、または、事業所との信頼関係が失われている場合が多いと思われます。

そのため、合意書等の書面の取り交わしは、可能な限り1度で済ませる方が良いため、合意書の中に退職に関する条件等も盛り込むことをお勧めします。

休職後、職場に復帰する場合には、例えば傷病の原因が職場環境にあった場合、これを改善することや、配転等の措置をとることを記載することも有益です。

 

(5)法的手続への対応

安全配慮義務違反の有無や、これに基づく損害賠償額などで折り合いがつかない場合は、職員側から、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求訴訟が提起されることがあります。

訴訟となった場合、裁判所からの書類等を見落として第一回口頭弁論期日などを欠席してしまうと、そのまま敗訴となり、職員側からの請求がそのまま認められてしまう危険もあります。

交渉状況にもよりますが、紛争が激化してきたような場合には、裁判所からの郵便物等を絶対に見落とさないようにし、速やかに労働訴訟に詳しい弁護士へ相談するようにしましょう。

 

8.安全配慮義務違反を予防するためには?

事業所としては、まずは安全配慮義務をしっかりと果たし、職員が業務をしやすい環境を作ることが重要です。

以下では、安全配慮義務違反を防止するために行うべき対策について解説します。

 

8−1.パワハラ・セクハラなどのハラスメント防止対策

パワハラやセクハラなどをはじめとするハラスメントは、職場環境を悪化させ、職員へ精神的ダメージを与えるだけではなく、業務の中で困ったことがあっても相談をする相手がいない、という状況を生み出し、職員を追い詰めることになります。

事業所としては、ハラスメントを防止するため、以下のような対策が考えられます。

 

  • 1.ハラスメント規程を置く
  • 2.ハラスメント研修を実施する
  • 3.ハラスメントの相談窓口を設置する

 

まず、ハラスメントを禁止する規程を置くことは重要ですが、規程を置いただけでは、その内容を見ていない職員や十分に理解しない職員も出てきます。

そこで、規程について、その存在をしっかりと周知した上で、定期的なハラスメント研修を実施することが重要です。

中には、自分の行動がハラスメントにあたることに気付かない職員もいます。また、研修を受け、気を付けようと思っても、時間が経つとそのことを忘れてしまう職員もいます。

そのため、研修は1度だけでなく、定期的に繰り返し実施することが重要です。

また、事業所外部や、事業所内部であっても、現場とは異なる部署に、ハラスメントの相談窓口をおくことも有効です。

ハラスメント窓口を置くことで、法人として、さまざまなハラスメント事案を初期段階で知り、早期に対応することが可能となる場合があります。

もっとも、ハラスメント窓口は、ハラスメントを訴えた職員から「自分が言ったと言わないで欲しい」などの要望があることもあります。しかしながら、調査にあたって、特にセクハラなどの場合には、ハラスメントをしている本人が、誰が伝えたかわかってしまうケースも多いです。

そのため、ハラスメントの相談窓口を設けるにあたっては、相談を受けた内容をどう扱うかなどのルールをしっかり設け、職員の理解の下、行う必要があります。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

ハラスメントの報告があった際、職員から「自分が言ったと言わないで欲しい」と言われた場合であっても、事業所として事情を知ってしまった以上、なんらの対策も講じないわけには行きません。

 

当該職員からの訴えを元に調査し、例えば他の職員からの複数の証言や防犯カメラ映像等の他の証拠が押さえられた場合であれば良いのですが、ハラスメントが2人きりの時に行われていて、被害者である当該職員しか状況を説明できない場合や、その他にも、当該職員が報告者であるとわかってしまうケースの場合、事業所はハラスメント相手方から事情を聞いたり、注意指導をすることもできず、十分な措置を取ることが困難となります。

 

そのため、事業所としては、ハラスメントの報告を受けた場合には、当該職員に対し、まずは報告をしてくれたことに対し感謝を伝えた上で、事業所として見過ごすことができない問題であること、問題を解決するために協力してほしいことを誠実に説明し、本人の立場等を最大限守ることを約束して理解を得、対応をする必要があります。

 

それでもなお、ハラスメントの相手方に自分のことを知られたくないとの申し出がある場合には、事業所として、その後の状況を注視し、ハラスメントの証拠を収集していく必要が出てきます。

 

ハラスメントへの対応は、職場での人間関係に直結する非常にデリケートな問題で、初期対応が非常に肝心です。

 

ハラスメントの発生が疑われる場合には、すぐに弁護士に相談し、慎重に対応するようにしましょう。

 

8−2.労働環境の整備

職員が怪我をしたり病気になるのは、労働環境に原因がある場合がほとんどです。まずは、職員の労働環境を見直す必要があります。

例えば、特定の職員に時間外労働が増えていないか、サービス残業がないか、休憩が取れているかなどの確認、職場の備品や設備が壊れていたり不具合があり、怪我や病気を引き起こす状況となってないかのこまめなチェックなどを、定期的に実施をしていく必要があります。

もちろん、設備等の修繕や改善には費用がかかりますが、これを実施しないことにより複数の職員が傷病を発症すれば、多くの費用がかかるだけではなく、他の職員の離職や事業所の信頼低下などにも繋がります。

労働環境の整備は、職員を雇用して業務を行う事業所の義務なのです。

 

8−3.定期的な健康診断や面談

これらに加え、実際に職員の健康状況を把握するため、定期的な健康診断、ストレスチェックなどを実施することが必要です。

さらには、職員との面談を実施する中で、今悩んでいることや困っていることがないかなどをしっかり聞き取ることで、事業所では把握できていなかった問題点を知ることができることもあります。

例えば、施設において人員基準は満たしているものの、実質的にはその人数での対応は困難であり、職員が全員疲弊している状況などは、実際に現場にいる者でなければわかりません。このような状況が続けば、当然職員の中には体調不良やメンタルヘルス不調を起こす者も出てきます。

定期的な面談等を実施されている事業所も多いかもしれませんが、これを形式的なものとせず、事業所の運用改善の場と捉えて真剣に取り組むようにしましょう。

 

【弁護士畑山浩俊のワンポイントアドバイス】

ハラスメントが横行した雰囲気の悪い職場や、劣悪な環境のなかで勤務していれば、困ったことがあっても職場の同僚や上司に相談ができず、疲労やストレスなどにより、その矛先が利用者に向くことは十分にあり得ます。

 

その結果、利用者への心理的、身体的虐待が発生し、それを認知しても誰も報告等をしないという悪循環が生じ得るのです。

 

事業所としては、事業所内で発生するさまざまな事象をバラバラに考えるのではなく、統一的に理解し、対応をしていく必要があるのです。

 

なお、高齢者虐待が発生する原因については、以下の記事でも解説をしていますので、併せてご覧下さい。

 

▶︎参考:介護現場の高齢者虐待とは?種類や発生原因、適切な対応方法を詳しく解説

 

9.安全配慮義務違反を放置したらどうなる?

事業所に安全配慮義務違反があった場合、「相手が何も言わなければ放置していい」と言うことにはなりません。

以下では、安全配慮義務違反を放置した場合に発生する問題点について解説します。

 

9−1.職員の離職

まず、事業所の安全配慮義務違反により傷病を患った職員がいた際、事業所として、安全配慮義務違反の可能性を認識しながら、当該職員が責任追及しないことをいいことに、なんらの措置も取らずに、漫然と欠勤や有給休暇扱いとするような場合、職員としては、「この事業所は自分を守ってくれない」と感じるのは必然です。

そうなれば、当該職員としては、事業所に勤務し続けることに不安を感じ、離職してしまう可能性も大いにあります。

また、当事者である職員だけでなく、この状況を知っている現場の他の職員も、事業所が職員の傷病に対してなんらの措置も取らなかったり、その原因を放置したりしている状況を目の当たりにすれば、「自分も同じような目に遭うのではないか」と不安になり、離職を選んでしまうことも考えられます。

もちろん、事業所として、責任の有無がはっきりせず、直ちに対応ができない場合もあると思います。

しかしながら、そのような場合でも、傷病を患った職員への誠意ある対応や、調査を尽くすことはできます。

職員の離職は、事業所にとっては死活問題です。1つの事象を、その場限りのこととして見落とさず、事業所全体の問題として対応していく必要があります。

 

9−2.職員からの損害賠償請求

職員の中には、ただ離職するだけでなく、事業所に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求してくるケースもあります。

事業所が当該職員に対し、誠実に対応している中での請求であれば、調査も実施し、安全配慮義務違反に関する証拠なども整理されているかも知れませんが、当該職員が休職したり離職をしたことをもって、その後の調査も実施せずに放置していると、突然の請求に対して、十分な対応ができない場合もあります。

事業所としては、その傷病の発生が、事業所の安全配慮義務違反による可能性があると判断した場合には、漫然と放置せず、調査等を尽くしておかなければ、職員からの損害賠償請求に対応ができません。

 

9−3.安全配慮義務違反が疑われたらすぐに弁護士に相談を!

事業所としては、職員が発症した傷病に関して、そもそも安全配慮義務違反が問題となるのか、調査や何らかの対応をすべきなのか否か等、悩むことがあると思います。

その時、相談すべきは、労働問題に詳しい弁護士です。

弁護士は、雇用主側による安全配慮義務違反について、裁判例や実際に対応したケースなど多くの事例や知識を有していることから、発生した事象から、それが安全配慮義務違反を問われる得る状況かどうか、法的には安全配慮義務違反を問われないとしても、職員からの請求が考えられるケースかどうかなど、多方面からの分析や判断が可能です。

そのため、事業所としては、1つ1つの事象に立ち止まって悩むことなく、初期段階で適切な対応を自信を持って行うことができます。

安全配慮義務違反が疑われるケースが発生した場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。

 

10.安全配慮義務違反に関して弁護士法人かなめに相談したい方はこちら

介護業界に特化した弁護士法人かなめによるサポート内容のご案内!

弁護士法人かなめでは、介護業界に精通した弁護士が、以下のようなサポートを行っています。

 

  • (1)安全配慮義務違反への対応サポート
  • (2)職員への窓口対応
  • (3)法的手続への対応
  • (4)労働判例研究ゼミ
  • (5)顧問弁護士サービス「かなめねっと」

 

10−1.安全配慮義務違反への対応サポート

職員が業務中に怪我をした、精神疾患の診断書を提出して休んだなど、安全配慮義務違反が問題となりうる事案が発生した際、その初期対応を誤ると、職員の離職や損害賠償請求の法的手続への対応、他の職員への影響など、多くの問題が発生し得ます、

弁護士法人かなめでは、職員からの訴えや、安全配慮義務違反が疑われるような事故等が発生した初期段階から相談を受け、その対応方法について助言し、サポートすることができます。

 

10−2.職員への窓口対応

事業所が誠意を持って対応していても、安全配慮義務違反の有無に法的な争いがあり、折り合いがつかないようなケースもあります。中には、相手方が弁護士を代理人として立て、法的な観点からさまざまな要求をしてくる場合もあります。

弁護士法人かなめでは、事業所での対応が困難となるようなケースで、事業所の代理人として窓口を務めることで、事業所の負担を軽減することができます。

 

10−3.法的手続への対応

安全配慮義務違反の有無や、その損害賠償額に争いがあり、任意の交渉では折り合いがつかなくなった場合、職員側から安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求訴訟を提起されるケースがあります。

弁護士法人かなめでは、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求が法廷闘争となった場合にも、代理人として対応し、訴訟追行をさせていただきます。

 

(1)ご相談方法

まずは、「弁護士との法律相談(有料)※顧問契約締結時は無料」をお問合わせフォームからお問い合わせください。

 

弁護士法人かなめの「お問い合わせフォーム」はこちら

 

 

※法律相談の申込みは、お問合わせフォームからのみ受け付けております。

※法律相談は、「① 弁護士法人かなめにご来所頂いてのご相談」、又は、「② ZOOM面談によるご相談」に限らせて頂き、お電話でのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

※顧問契約を締結していない方からの法律相談の回数は3回までとさせて頂いております。

※介護事業所の経営者側からのご相談に限らせて頂き、他業種の企業様、職員等一般の方からのご相談はお請けしておりませんので、予めご了承ください。

 

(2)弁護士との法律相談に必要な「弁護士費用」

  • 1回目:1万円(消費税別)/1時間
  • 2回目以降:2万円(消費税別)/1時間

 

※相談時間が1時間に満たない場合でも、1時間分の相談料を頂きます。

 

10−4.労働判例研究ゼミ

弁護士法人かなめでは、普段の労務管理の参考になる労働判例を取り上げ、わかりやすく解説する労働判例研究ゼミを不定期に開催しています。

ゼミの中では、参加者の皆様から生の声を聞きながらディスカッションをすることで、事業所に戻ってすぐに使える知識を提供しています。

詳しくは、以下の弁護士法人かなめのWebサイト内の「労働判例研究ゼミ」ページをご覧下さい。

 

▶参考:「労働判例研究ゼミ」についてはこちら

 

 

10−5.顧問弁護士サービス「かなめねっと」

弁護士法人かなめでは、「10−1.安全配慮義務違反への対応サポート」から「10−4.労働判例研究ゼミ」のサポートを含んだ総合的な法的サービスを提供する、顧問弁護士サービス「かなめねっと」を運営しています。

弁護士法人かなめでは、トラブルに迅速に対応するためチャットワークを導入し、事業所内で何か問題が発生した場合には、速やかに弁護士へ相談できる関係性を構築しています。

具体的には、弁護士と介護事業所の関係者様でチャットグループを作り、日々の悩み事を、法的問題かどうかを選択せずにまずはご相談頂き、これにより迅速な対応が可能となっています。いつでもご相談いただける体制を構築しています。

法律家の視点から利用者様とのトラブルをはじめ、事業所で発生する様々なトラブルなどに対応しています。

直接弁護士に相談できることで、事業所内社内での業務効率が上がり、情報共有にも役立っています。

顧問弁護士サービス「かなめねっと」について詳しくは、以下のサービスページをご覧ください。

 

▶参照:顧問弁護士サービス「かなめねっと」について

 

 

また以下の記事や動画でも詳しく説明をしていますので、併せてご覧下さい。

 

▶︎参照:介護施設など介護業界に強い顧問弁護士の選び方や費用の目安などを解説

 

 

 

 

(1)顧問料

  • 顧問料:月額8万円(消費税別)から

 

※職員従業員の方の人数、事業所の数、業務量により顧問料の金額は要相談とさせて頂いております。詳しくは、お問合せフォームまたはお電話からお問い合わせください。

 

11.まとめ

この記事では、事業所が負う安全配慮義務の内容の他、どのような場合に安全配慮義務違反を問われるのか、また、安全配慮義務に違反したときの具体的な責任や事例、職員から安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を受けたときの対応、安全配慮義務違反にならないための対策などについて解説しました。

その中でも、安全配慮義務違反の訴えがあった場合の調査については、慎重かつ丁寧に行う必要があり、聞き取りの範囲や方法については、非常に気を配る必要があり、そのため、専門家への相談は不可欠となります。

そのため、弁護士等の専門家へ相談するタイミングやメリットについても解説していますので、現に職員からの請求に悩んでいる事業所の皆様は、ぜひ参考にしてください。

安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求に対しては、初期対応が非常に重要です。速やかに弁護士に相談することを心がけて下さい。

 

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この記事を書いた弁護士

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畑山 浩俊はたやま ひろとし

代表弁護士

出身大学:関西大学法学部法律学科卒業/東北大学法科大学院修了(法務博士)。
認知症であった祖父の介護や、企業側の立場で介護事業所の労務事件を担当した経験から、介護事業所での現場の悩みにすぐに対応できる介護事業に精通した弁護士となることを決意。現場に寄り添って問題解決をしていくことで、介護業界をより働きやすい環境にしていくことを目標に、「介護事業所向けのサポート実績日本一」を目指して、フットワークは軽く全国を飛び回る。
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中野 知美なかの ともみ

弁護士

出身大学:香川大学法学部法律学科卒業/大阪大学法科大学院修了(法務博士)。
介護現場からの相談を数多く受けてきた経験を活かし、一般的な法的知識を介護現場に即した「使える」法的知識に落とし込み、わかりやすく説明することをモットーとしている。介護事故、カスタマーハラスメント、労働問題、行政対応など、介護現場で発生する多様な問題に精通している。

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