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味は千差万別! スーパーで買える定番「キムチ」8商品をプロがガチ比較

夏は、食欲を刺激する辛いものが食べたくなる季節。いっぽう冬は、辛いもので身体の芯から温まりたくなります。そして「肉の日」(29日)は、ほぼ毎月やって来る。ということで今回は、焼肉に欠かせない辛い前菜であり、鍋では調味料としても活躍してくれる「キムチ」を食べ比べます。

キムチといっても、白菜キムチや大根のカクテキ、キュウリのオイキムチなどがありますが、今回は定番の白菜キムチをピックアップ。身近なスーパーで入手しやすい商品を中心に、辛み/甘み/酸味/うまみ/味の濃さの5項目の採点付きで評価しました。

スーパーで入手しやすい商品を中心に8種類をセレクト!

スーパーで入手しやすい商品を中心に8種類をセレクト!

なお、キムチは酸味やうまみが熟成度合い(製造日からどれぐらい経っているか)で変わるので、寝かすほど酸味やうまみが増します。今回食べ比べた8品はすべて同一の日に買い集め、なるべく差が出ないようにしていますが、味の変動が生じることをご了承ください。

キムチの定番8商品をガチ比較!

(1)東海漬物「こくうま」

「こくうま」は、良質な国産白菜を原料に、日本人の味覚にこだわった、コク、うまみ、辛みのバランスの取れたキムチです。唐辛子とイカとかつおのエキスに加えて、ホタテエキスやカキエキス、醬油などが加えられていて、「ご飯に合う」がコンセプトになっています。

内容量:320g、エネルギー:49kcal(100g当たり)

内容量:320g、エネルギー:49kcal(100g当たり)

ファーストインプレッションは、豊かなうまみに起因する味の濃さ。「こくうま」とはシンプルな表現ですがまさにそのとおりで、ストレートなしょっぱさではなくコクがあって、いわゆるグルタミン酸系のボトムのある、芯が通った味の濃さです。

辛さが強めなところも味の濃さに影響しています。特に余韻として増していく辛さが印象的。甘みや和風だしではない方向性で日本人が好みそうな味を狙った、完成度の高いキムチです。比較的辛さは強めながら、人気が高いのもうなずけます。

ネーミングどおり、うまみが濃く、完成度の高さを感じます

ネーミングどおり、うまみが濃く、完成度の高さを感じます

(2)ピックルス「ご飯がススムキムチ」

本商品は、かつお節などの魚介のうまみと、ヤンニョム(韓国の辛み調味料)がご飯によくからみ、“ご飯が進む”キムチです。一般的なキムチに比べて辛さは控えめ。辛い食べ物が苦手な人でもおいしく食べられます。また、独自の植物性乳酸菌を配合しているのもポイント。

内容量:200g、エネルギー:50kcal(100g当たり)

内容量:200g、エネルギー:50kcal(100g当たり)

実際に食べてみると、甘みが際立っていて、かつおのダシ感も豊か。とろみが強めなのも特徴で、ネーミングどおりにご飯にからみそうです。その点で、あえて似ている料理をあげるとすれば「べったら漬け」。

ただ、韓国人が食べたら違和感があるだろうなと思うレベルで、かなり日本人向けな気がします。子どもにはいいかもしれません。ほどよい酸味とあいまって、フルーティーなニュアンスを醸し出しているので、一般的には「キムチはワインにあまり合わない」とされていますが、これは比較的ワインともマッチするキムチだと思います。

辛さ控えめで甘みの強い、日本人の味覚に寄り添ったキムチ

辛さ控えめで甘みの強い、日本人の味覚に寄り添ったキムチ

(3)フードレーベル「牛角 韓国直送キムチ」

本場韓国から直輸入した、焼肉専門店「牛角」ブランドのキムチ。味の決め手は唐辛子とニンニク。氷温熟成を行ったこだわりのタレにより、辛さの中にも甘みと深みのある濃厚な味わいを引き出しました。

内容量:330g、エネルギー:82kcal(100g当たり)

内容量:330g、エネルギー:82kcal(100g当たり)

辛みが弱めで甘みは豊か。総じて味は濃いめで、焼肉にも負けないパワーを感じさせるところは、さすが「牛角」のキムチです。

トレイではなくフタ付きボックス型を採用しているからか、汁が多めでヤンニョムもたっぷり。ところどころに肉厚な葉もあって、バラエティに富んだ食感も楽しいです。比較的カロリーが高めで、賞味期限の長さも気になりますが、少しずつ食べたい人にはいいかもしれません。

ガッツリした料理と合わせても存在感を失わない、しっかりした味わい

ガッツリした料理と合わせても存在感を失わない、しっかりした味わい

(4)モランボン「韓キムチ」

白菜、唐辛子、塩辛など、主要な原材料は韓国農水産物を厳選し、本場韓国ならではの技術で作り上げたモランボンの「韓キムチ」。アミ塩辛とイワシ塩辛のコクと、白菜のシャキシャキした食感が特徴で、植物性乳酸菌が生きた、本格的な熟成キムチです。

内容量:400g、エネルギー:60kcal(100g当たり)

内容量:400g、エネルギー:60kcal(100g当たり)

全体的にあっさりめで、その分だけ酸味がやや立っている印象です。辛みはそこそこあるものの、キレがあるのでグイグイ攻めてはきません。葉が小さめなのが少し残念なポイントです。

こちらも、先述の「牛角 韓国直送キムチ」と同様に賞味期限が割と長め。フタ付きボックスは、賞味期限が長くなる傾向にあるようです。

乳酸菌の酸味を感じさせる、キレのあるタイプ

乳酸菌の酸味を感じさせる、キレのあるタイプ

(5)美山「イチオシキムチ」

国産白菜を始め、厳選した原料と自社製造のヤンニョムを使用し、リンゴの甘みと塩辛のうまみを重視した味付けが特徴の「イチオシキムチ」。「プレミアム植物乳酸菌LB27」が1,600億個も入っているので、健康志向の人にもオススメです。

内容量:200g、エネルギー:49kcal(100g当たり)

内容量:200g、エネルギー:49kcal(100g当たり)

「ご飯がススムキムチ」を思わせる少年っぽいキャラクターがパッケージに描かれていますが、まったくの別会社です。ただ、味の方向性は辛さ控えめ&甘さ強めで近しいものを感じます。こちらのほうが甘みは強過ぎず、より万人受けしそうです。

乳酸菌と書いてありますが、そこまで酸味は強くなく、全体的にクセがなくて食べやすい仕上がり。汁が多く、さらにとろみもあって、好みは分かれるかもしれませんが、日本には好きな人が多そうです。

辛み、甘み、酸味のどれも突出していない、バランスのよい味わい

辛み、甘み、酸味のどれも突出していない、バランスのよい味わい

(6)イケガミ「宮廷キムチ」

伝統製法の手作業にこだわり、新鮮な国産白菜と、天日塩を使用したキムチ。白菜1枚1枚に振り塩をして漬け込み、アミエビやイワシの塩辛をていねいに挟み込んで作られています。

内容量:200g、エネルギー:64kcal(100g当たり)

内容量:200g、エネルギー:64kcal(100g当たり)

塩味と酸味が前に出ていて、甘さはほぼなく、辛さはほどほど。独特なボディ感のあるうまみが効いていて、好き嫌いが分かれるかもしれません。あえて日本の漬物をあげるとすれば、ぬか漬けのような立ち位置です。

葉は肉厚な印象で食べ応えがあります。商品名は「宮廷」ですが、“リッチ”や“上品”といった高級感はそこまで突出していないと思われます。

甘さは控えめ。クセのある味わいにハマる人、ハマらない人がはっきりと分かれそう

甘さは控えめ。クセのある味わいにハマる人、ハマらない人がはっきりと分かれそう

(7)秋本食品「王道キムチ」

新鮮な国産白菜と、大根、玉ねぎ、生姜、唐辛子など、10種類の具材を使用。白菜の葉1枚1枚に手塗りして重ねて作る、韓国伝統の「重ねキムチ」です。乳酸発酵を安定させることでゆるやかに酸味が増して、独特のうまみを醸し出します。

内容量:200g、エネルギー:61kcal(100g当たり)

内容量:200g、エネルギー:61kcal(100g当たり)

しっかりとした辛みと、凝縮感のあるうまみ。汁も少なく、ていねいに重ねながら漬け込んだ仕上がりになっています。そして、葉も肉厚かつ大きめ。

パッケージには「重ねキムチNo.1」と書かれており、「重ねキムチ」というジャンルがあることを知りませんでしたが、No.1の名に恥じぬ、納得できるクオリティの高さです。本場というか自家製感というか、この正統派な味わいにハマるファンは多いと思います。

素朴ながらも本格的なおいしさは、まさに手作りの味

素朴ながらも本格的なおいしさは、まさに手作りの味

(8)成城石井「白菜キムチ」

チーズケーキ、フォー、いちごバター、モーモーチャーチャーなど、数々の名作をラインアップする成城石井。同社のキムチもファンが多く、本稿としては外せない1品です。韓国随一の産地・英陽(ヨンヤン)の唐辛子を使用したヤンニャムで、国産白菜を漬けています。

内容量:250g、エネルギー:64kcal(100g当たり)

内容量:250g、エネルギー:64kcal(100g当たり)

第一印象は、ヤンニョムの多さと、深紅なルックスの鮮やかさで、よい素材を多く使っていることは一目瞭然。とはいえ、赤色の濃さに反して辛さはそれほどではなく、むしろ辛さは控えめです。

フルーティーで自然な甘みと、ダイナミックなうまみが強く、素材のよさを良質な調味料で引き出しているのが、目だけでなく舌でもよくわかります。濃厚ではないながらも味の厚みは豊かで、キムチ的な主張は弱いかもしれませんが、説得力のあるおいしさ。葉の食べ応えも抜群です。

良質な素材ならではのうまみが際立つ、重厚感のある味わい

良質な素材ならではのうまみが際立つ、重厚感のある味わい

【まとめ】市販キムチも個性があって千差万別!

ダシやうまみを強調した日本人向けの商品から、乳酸菌発酵が強めの本格派まで、食べ比べてきました。市販されているキムチは、よくよく比較してみると個性があって千差万別。筆者が独断で選んだNo.1商品を紹介します。

・個人的オススメNo.1:東海漬物「こくうま」
・高級感No.1:成城石井「白菜キムチ」
・本格度No.1:秋本食品「王道キムチ」
・甘さNo.1:ピックルス「ご飯がススムキムチ」

焼肉の日の箸休めに、終わらない夏の暑気払いに、冬はチゲの素材として、キムチは欠かせない存在です。ぜひ自分好みの1品を見つけて、おいしいおうち時間を過ごしましょう!

豚キムチ炒めなどの定番料理も、キムチを変えれば味わいが変わります! ぜひお試しを

豚キムチ炒めなどの定番料理も、キムチを変えれば味わいが変わります! ぜひお試しを

中山秀明
Writer
中山秀明
食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映画雑誌の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。電動シェーバーやロボット掃除機といった白物家電のほか、加熱式タバコやホビー、フード、文房具、スポーツ、ファッションを担当しています。
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