経営戦略の定石
グロービス経営大学院の青井博幸さんの経営戦略のお話を聞き、経営戦略の定石を体系的に学ぶことが出来ました。
▼学び
何をやり、何をやらないのかを決める
▼ 目次
○経営戦略とは何か
○経営戦略の全体像を知る
○事業の経済性を理解する
○事業環境を分析する
○自社を分析する
○戦略の定石を知る
○全社戦略を理解する
▼講義ノート
○経営戦略とは何か
戦略 ⇔ 戦術
- 大局的 ⇔ 居所的
- 目的・方針 ⇔ 手段
- 長期 ⇔ 短期
戦略とは
- 戦を略すこと(孫子)
- 何をやり、何をやらないのかを選択(マイケルポーター)
経営理念
- 自社の存在意義や果たすべきミッション(基本的に不変)
ビジョン
- 将来実現すべき姿を具体的に示したもの(中長期)
経営戦略
- 構造化されたアクションプラン
ポイント
- 全体最適のために戦略が必要。
- 経営戦略は、経営理念・ビジョンを踏まえて策定する。
○経営戦略の全体像を知る
経営戦略の構造
- 企業の存在意義 > 経営理念・ビジョン
- アクションプラン > 全社戦略・事業戦略
経営戦略策定のプロセス
正しい策定プロセスを経ると一定レベルの経営戦略を立案可能
経営理念 >ビジョン >環境分析 >戦略代替案の創出 >戦略の選択 >戦略の実行 >戦略のレビュー
○事業の経済性を理解する
経営戦略では、経済性を高めることが重要
事業の経済性とは
- 儲けにつながるコスト削減の仕組みのこと
規模の経済性
- 単位当たりの固定費低減
規模の不経済
- 生産現場の混乱、生産キャパオーバー、品種・地域の増大拡大
経験曲線
- 経験を積むことによってコストが下がっていく(累積)
密度の経済性
- 共有することでコストを下げる
- 例)近接した店舗で同一配送、共同キッチン
範囲の経済性
- 既に持っている資源を活かして別の領域に展開する
○事業環境を分析する
事業環境を分析し、戦略立案の前提を確認する。
外部環境と内部環境を統合的にみて、成功要因を探る。
代表的なフレームワーク(外部環境分析)
PEST分析(マクロ環境)
- 政治・経済・社会・技術
- 要素間の繋がり、長期的な視点を持つ
- 自社にとって重要な要素を見る
5つの力(業界の収益性)
新規参入業者
↓
売り手の交渉力 → 業界内の競争 ← 買い手の交渉力
↑
代替製品・サービス
アドバンテージ・マトリクス(競合企業間の格差)
- 優位性構築の可能性/競争上の戦略変数でマトリクスを作る
代表的なフレームワーク(内部+外部環境分析)
3C分析
- 市場・顧客(Customer)
- 競合(Competitor)
- 自社(Company)
SWOT分析
- 強み・弱み・機会・脅威
○自社を分析する
バリューチェーン(価値連鎖)とは
製品やサービスが顧客のもとに届くまでの活動を価値の連鎖(バリューチェーン)と捉え、どの活動・機能で付加価値が生み出されているか分析する手法
(参考)マイケル・E・ポーターの概念図
バリューチェーン分析によって
どの活動が高いを付加価値を生み出しているのか、どこにコストがかかっているのかを知ることができる
バリューチェーンの再構築とは
技術革新や市場の変化で従来の仕組みやルールが変わること
選ぶ、束ねる、省く、加える
4つのパターンで自社影響・新規参入・再編を探る
○戦略の定石を知る
他社に対していかに競争優位を築くかが重要
ポーターの3つの基本戦略
コスト・リーダーシップ戦略
競合他社よりも低いコストを実現する
①大規模な設備投資、量産体制
②早期にシェア獲得
③事業経済性が増し、高い利益率確保
④利益を再投資
例)ユニクロ、ニトリ、マクドナルド
差別化戦略
自社の製品を差別化して業界の中でもユニークさを創造
例)スターバックス(豆の品質・くつろげる店舗)
集中戦略
特定の顧客層・製品・市場に経営資源を集中する
例)コスト集中:スズキ
差別化集中:アシックス
注意点:選択を間違えると市場から消える(ブラックベリー)
コトラーの市場地位に応じた戦略
- リーダー(シェア一位)
- チャレンジャー(攻撃的・二位)
- ニッチャー(独自の生存戦略を持つ)
- フォロワー(独自の生存戦略を持たない)
リーダー(全方位型戦略)
シェアの維持、拡大
市場規模の拡大(周辺需要の取り込み)
チャレンジャー(対リーダー、差別化戦略)
直接対決、背面攻撃、後方攻撃
フォロワー(模倣・追随戦略)
リーダーやチャレンジャーの政策を観察・迅速に模倣
ニッチャー(集中戦略、製品市場特定)
特定分野に資源を集中
専門性やブランド力を維持
○全社戦略を理解する
事業ドメインを決める
どの領域で戦うべきか、あるいは戦わないでおくか
顧客基盤、自社の製品サービス、市場の成長性
からドメインを広げる
コア・コンピタンスを見極める
顧客に対して、他社には真似のできない
自社ならではの価値を提供する企業の中核的な力
経営資源を適切に配分
ヒト・モノ・カネ・情報
事業ポートフォリオ
- 事業の魅力度
市場規模、成長性、産業の収益性、収益変動リスク
- 競争上の優位性
市場シェア、相対的な収益性、各機能の優劣
- 事業間のシナジー
既存資源の流用、本業の強化
事業ライフサイクル
導入期、成長期、成熟期、衰退期
- ポートフォリオ・マトリクス(BCG-PPM)
市場成長率と相対マーケットシェアの二軸マトリクス
金のなる木、花形、問題児、負け犬
▼出典
グロービス学び放題 経営戦略
(参考書籍)MBA経営戦略