向井亜紀さん「がんはいつか自分のところにもやって来る。検診で見つかれば、それは大成功」
日経Goodayスペシャルセミナー「がん検診の現在と未来」トークセッションより
氏家裕子=ライター
2016年9月20日に開催された日経Goodayスペシャルセミナー「がん検診の現在と未来」のトークセッションのコーナーに、タレントの向井亜紀さんが登場。医療社団法人ミッドタウンクリニック理事で医師の森山紀之先生と共に、ご自身のがんの経験談を踏まえた病気との向き合い方を語ってくれました。向井さんのはつらつとしたトークに会場全体が引き込まれ、笑いあり、涙あり。改めてがんについて身近に考える貴重な機会となりました(進行役は日経グッデイセンター長・藤井省吾)。
それでは本日のステキなゲストをお迎えしましょう。タレントの向井亜紀さんです。向井さんは1964年生まれの埼玉県出身。学生時代からラジオのDJとして活躍されていました。1994年には、プロレスラーの高田延彦さんと結婚、2000年に妊娠されましたが、妊娠中に子宮頸がんを患っていることが判明して手術を受けられました。その後、2003年に米国にて代理出産で双子の男の子さんをもうけられましたね。
向井さん はい。中学1年生でもうすぐ中間テストなんですけど、男の子って全然勉強しないんですよね!(会場笑い)
「妊娠中に子宮頸がんが発覚、天国から地獄へ落ちたような気分だった」
バイタリティ溢れるお子さんのようですね。複数のがんと向き合ってこられた向井さんには、がんの早期発見や、がんとの向き合い方という点からお話しいただきたいと思います。まず妊娠中に子宮頸がんが見つかったのですが、どういう経緯だったんですか?
向井さん 結婚して6年が経った35歳のときにベビーができました。そのときに産婦人科で受けた子宮頸がんの検診で、クラス5(*1)という結果が出て、まぎれもないがんが発見されました。飛び火をしたり浸潤をしたりの可能性を考えないといけないがんの存在が、妊娠をきっかけに分かったんです。
私は、赤ちゃんができたという天国のような気持ちから、真っ逆さまに地獄に突き落とされたような気分になり、2週間以上激しく落ち込みました。私1人の体ではなくて、もう1つの命が宿っているのに、がんに負けてしまうのが本当にくやしくて、精神的にぺっちゃんこになりました。
森山先生、やはりがんの告知から2週間は“魔の2週間”と言われるように、どなたも精神的なダメージが大きいのでしょうか?」(詳しくは森山先生の連載記事「がんの告知と“魔の2週間”」参照)
森山先生 「大きいですね。ショックを受け、取り乱すのは当たり前です。特に向井さんはお子さんができたというタイミングだったので、なおのこと衝撃は大きかったと思います。この2週間をどう乗り切るかが最初のハードルですね」
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- 「検診に行かないのは自分の体に失礼」