長期金利上限0.5%=日銀、大規模緩和を修正―事実上の利上げ、総裁は否定 2022年12月20日

 日銀は20日の金融政策決定会合で、現在の大規模な金融緩和策を一部修正し、長期金利の上昇を認める上限を従来の0.25%から0.5%に引き上げた。事実上の利上げと同じ効果を持つ。今回の修正について黒田東彦総裁は会合後の記者会見で「利上げではない」と述べ、「金融緩和の持続性を高めることで物価安定の目標の実現を目指していく」と狙いを説明した。
 政策の一部修正では、長短金利操作を柱とする緩和策の枠組みを維持しつつ、長期金利の変動容認幅を誘導目標「0%程度」の上下「0.5%程度」とし、従来の「0.25%程度」から2倍に拡大した。変動幅拡大は2021年3月以来。上限の引き上げを受け、金融機関が長期金利を参考に決める住宅ローン金利も今後、上昇する可能性がある。
 変動幅拡大は20日の東京債券市場で「青天のへきれき」(大手証券)と驚きをもって受け止められ、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りは午前中の0.250%から一時0.460%まで上昇した。最近の市場では、米欧の利上げに伴う金利上昇圧力の波及を日銀が国債の買い入れで抑え込み、新発10年債の取引が成立しない場面が目立っていた。
 黒田氏は、債券市場の機能を改善し、「金融緩和の効果が企業金融などを通じて円滑に波及していくようにする」と説明。大規模緩和から抜け出す出口戦略の一歩ではないとの認識を示し、「さらなる変動幅拡大は必要ない」とも語った。
 日銀は従来通り、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度で推移するよう長期国債の買い入れを行う構え。今回の修正に合わせ、国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を行う利回りを0.25%から0.5%に上げ、この水準を超える上昇を防ぐ。原則、毎営業日実施する。 

その他の写真

金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=20日午後、東京都中央区の同本店
金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田東彦総裁=20日午後、東京都中央区の同本店

特集、解説記事