3陣営、地方票争奪戦=組織引き締め、世論へ訴え―自民総裁選 2020年09月03日

 自民党総裁選(8日告示、14日投開票)に立候補する菅義偉官房長官(71)ら3陣営は3日、「地方票」獲得に本腰を入れた。全国一斉の党員投票は見送られたものの、ほぼ全ての都道府県連が独自の党員投票(予備選)を実施する方向。その結果は新総裁の「正統性」に関わり、敗れた陣営も「次」に影響するとあって、組織の引き締めや世論への訴えに懸命だ。
 菅氏は3日午後のフジテレビ番組で、新型コロナウイルス対応について「社会経済活動を両立させなければならない」と強調した。石破茂元幹事長(63)と岸田文雄政調会長(63)も民放番組に相次ぎ出演し、政策や人柄のアピールに努めた。
 総裁選は国会議員票394票と47都道府県連代表に3票ずつ割り当てられる地方票141票の計535票で争われる。議員票は菅氏が優勢。地方票は全体の4分の1だが、民意により近いとされる。結果判明後に行われる国会議員の投票に影響を及ぼす可能性もある。
 菅氏を推す二階俊博幹事長は3日の二階派例会で「地元の有権者と連携を取っていくことが一番大事だ」と述べ、党員の支持を固めるよう号令を掛けた。菅陣営は同日、選対準備会合を開催。本部長に小此木八郎元国家公安委員長(無派閥)、事務総長に山口泰明党組織運動本部長(竹下派)を選任するなど態勢づくりを急いだ。両氏とも菅氏に近い。
 陣営のある幹部は地方票について「石破氏4~5割、菅氏3~4割、岸田氏1~2割」と分析。「石破氏は地方でずっと前から活動し、菅氏は知名度があり、岸田氏は出遅れている」との見立てを披露した。
 石破陣営も選対会合を開き、地方票中心に巻き返しを図る方針を確認。石破氏は記者団に「党員、そして投票権はない国民に向け、精いっぱい訴える」と語った。新型コロナウイルスや台風の影響で活動しづらいとの懸念があり、派幹部は「相当やりにくい」と嘆く。
 岸田氏は3日に発表した政策集に、デジタル化を進めて地方の活力を引き出す「デジタル田園都市構想」を掲げた。記者会見で「地方の豊かな自然と都市を結び付けることで地方創生を考えていく」と訴えた。4日に福岡県を訪れて自身の後援会を発足させ、党員らに支持を直接呼び掛ける。 

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