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被征服者たちに情けをかけるローマ皇帝マルクス・アウレリウスPhoto: Bettmann/Getty Images

被征服者たちに情けをかけるローマ皇帝マルクス・アウレリウス
Photo: Bettmann/Getty Images

ニューヨーク・タイムズ・マガジン(米国)

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Text by David Marchese

「歴史を学ぶ」「歴史に学ぶ」とは結局どういうことなのか? 学ぶ者たちはそれによって変わることができるのか? 古代ローマ文明の研究者メアリー・ビアードに引き続き聞く。


──歴史上の人物の考え方を理解するという研究をされていると、未来の人が私たち現代人をどのように評価するのかがなんとなくわかったりするのですか。

その質問は答えられたら賞金6万4000ポンド(1000万円)ものですね。

歴史の効用のひとつは、自分は道徳的に正しいのだという思いあがりでパンパンに膨れ上がっている私たち現代人の意識に穴をあけて、その尊大さをしぼませることです。

たしかに私たち現代人は、過去の人とくらべると、いろいろな意味でよくなっています。

でも、200年後の人が私たち現代人についてエッセイを書くとしたら、私たちのどこを嘆かわしく感じ、何を理解不能だと思うのか。そんな課題を学生にいつも出しています。


学生たちの答えはさまざまです。たとえば、現代社会にはお年寄りの廃棄場のような場所がありますが、どうしてお年寄りたちをそんな風に扱えたのだろうかといったことを言う学生もいます。

歴史を学ぶというのは、長期的な時間のなかに自分を置き、そのなかで等身大の自己の姿を認識する行為でもあるのです。
残り: 2448文字 / 全文 : 3117文字

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