自分が感じたことのない感情を抱けるかもしれないと思って

公開中の映画『そして、バトンは渡された』、永野さんは映画化以前から原作のファンだと伺いました。この作品のどんなところに魅力を感じられたのでしょう。

まず原作を初めて読んだ時から、人が育っていく中で環境が変わっていくことだったり、関わっていく人が変わっていくことが、こんなにあったかく描かれる作品があるんだなというのが新鮮で。 率直に、素敵だなと思いました。 私自身は1人の母親と1人の父親のもとに生まれて、ずっとそこで育ってきたけれど、映画化の話を聞いて、この物語の世界に入った時にはなんかこう…今まで感じたことがない感情を抱けるかもしれない、って思ったんです。

映画は、原作とラストが違うんですよね?

原作と脚本で違うところはもちろんあるんですけど、どちらにも同じ思いを感じました。 「バトンを渡された」のバトンって何だろうっていうところを、丁寧に演じたいなと思いましたね。 いろんな人の目線で描かれる作品がひとつになっていくのが、きっと見ていてスピード感もあって楽しいだろうな、って。 お芝居する側としても、楽しいと思えるだろうなと思いました。 だから、作品のタイトルを聞いただけですぐに「やりたい!」って言ったんです(笑)。

いろんな父親との関わりを、優子役として楽しめるというか。

もちろん成長していく過程で不安もあるし、なんで自分なんだろう、って思う時もありますが…人よりも密にいろんな人と関わってるからこその成長って、きっとあるんだろうなと思いますし。

そもそも優子役を、永野さんはどんな人物だと捉えて演じられたのでしょう。

私と年齢は近いけど、強いな、すごいなって思いましたね。 すごくまっすぐで、自立していて。 あとは、人の顔色を伺うのが得意な子ですかね。 最初はきっとできなかったけど、いつしかそれが自分の長所になってたし、ずっと「長女」的な感じでい続けようって思った子なんだろうな、というのは感じました。 近くにいたら、友達になりたいなと思いました。

観客としてはすごくハマり役に見えましたけど、ご自身の中で優子と似てるところはあると思います? 

…似てるところはあるな、と思いますね。 環境は違うけど、小さい頃からどこかで自立したいと思っていましたし。しなきゃな、とも…。 何事にもまっすぐ取り組みたい、っていう思いは、ずっと今も持ってます。 全く一緒ではないかもしれないけど、通じるところはありますね。

自立したいというのは、子役やモデルのお仕事で大人に囲まれる経験が多かったからですか?

そうですね。 小さい頃から、同世代の人たちよりもはるかに大人の人と関わる時間が長かったので。 その中で、少しずつ周りの会話が理解できるようになってきても、やっぱりそこに自分の年齢が追いついていなかった。 置かれてる場所と年齢が追いつかないって、こんなに難しいんだなって思ってたんですよね。

大人たちが考える以上にわかってるのに、みんな子供扱いしてくるな、みたいな感じですか。

そうです。もちろんそこに救われてるところもいっぱいありましたけど。 「子供でも言ってることはわかってるし、やりたいこともわかる」っていう思いが、ずっとあったので。 そういう意味では、ずっと自立したい、早く大人になりたい、早く年を重ねたい、って思っていて。 その感覚は、優子ちゃんが「早くこの家を出て一人暮らししたい、今までお世話になったから迷惑かけないように生活したい」って、どこかで多分ずっと思い続けてきた気持ちに近いと思うので。 環境は違えど、理解はできるなと思います。

では、撮影に際して準備に苦労されたことがあれば、教えてください。

ピアノを弾くシーンですね。ピアノは、ほんとに初めてで『ねこふんじゃった』も弾けなかったんです。 楽譜を読むこともできなければ絶対音感もないから(笑)、聴いて弾けるか、って言われたら弾けないし、鍵盤にも慣れてない。 ほんと、ゼロからのスタートだったので時間はかかりましたね。 ただピアノを嫌いにならないで楽しみながら練習する、ということを先生が徹底してくださったので。 今も、もっと弾けるようになりたいなと思ってピアノは続けていて。 オフには映画で指導してくださった先生のもとに通ってます。

オフというと以前はサーフィンが趣味だと伺いましたけど、最近運動は何かされてます?

体力づくりのために、ジムに通える時は通ってます。 メインは体幹トレー二ングですけど、撮影でスタジオに入ると動くことが少なくて体が固まっちゃうので、最初の30分はストレッチを多めにやって。 可動域が狭まってるのを広げて慣らしてから、筋トレ系をやる感じです。

美容や健康のために食べるようにしているものはありますか。 

去年の自粛中は、ほんとにずっと納豆を食べてたんですけど。 …あ!夏の終わりくらいから浅漬けをはじめました。浅漬け用にする瓶も買って。

漬ける液も自分で作ってるんですか?

買いました(笑)。 今漬けてるのは、きゅうりとオクラとキャベツとブロッコリー。 野菜が食べられるので、いいですね。ハマったら、そのうち漬ける液を作るところから始めようと思ってます!(笑)

プロフィール

1999年9月24日、東京都生まれ。2009年デビュー。主な出演作にNHK連続テレビ小説『半分、青い。』、ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』、映画『君は月夜に光り輝く』『地獄の花園』『キネマの神様』など。

お知らせ

🄫2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会

主演映画『そして、バトンは渡された』が全国公開中。血の繋がらない親に育てられ4回も苗字が変わった優子は料理上手な義理の父親、森宮さん(田中圭)と2人暮らし。母親からの手紙をきっかけに 、 家族の命をかけた《せつない噓》 を知り、 想像を超える愛に気付く感動作。

構成/菅野美咲(本誌) 取材・文/江尻亜由子 撮影/新田桂一(ota office) スタイリング/岡部美穂 ヘアメイク/KUBOKI(Three PEACE)
ブラウス39600円、スカート51700円(共にミュラー オブ ヨシオクボ TEL/03-3794-4037) ブランリング 24200円、リング〈K18YG〉379500円、リング〈K10YG〉330000円(以上全てチェリーブラウン TEL/03-3409-9227) パールイヤリング 75900円(カオル/カオル ルミネ有楽町店 TEL/03-6269-9305

永野芽郁さんの更に詳しいインタビューは、2021年11月号の『HOT PEPPER Beauty』 にも掲載されています!街頭ラック等でGETしてね!