今日はミッシェル・カミロの自作のピアノ協奏曲を目当てにサントリーホールへ行きました。このプログラムはコロナの影響でキャンセルされたことがありますが、やっとカミロ自身のコンチェルトを聴けて本当に良かったです。カミロの演奏に最初に触れたのは、2003年にNYでMETオペラを鑑賞した後に、ブルーノートNYで↓のCDでライブ録音されている演奏を生で聴いて衝撃を受けてから、彼の来日公演には毎回行くことにしております。このCDはカミロの入門編的な名盤としてオススメしたいです。

東京のブルーノートはパンデミックの影響で海外からのアーティスト公演が昨年まで殆どありませんでしたが、いち早くブルーノートが招聘したのは、ミッシェル・カミロで、昨年5月にライブをしました。彼の情熱的で完璧なテクニックの演奏は、69歳になっているのにも関わらず、絶好調でした。今日のカミロのピアノ協奏曲第2番は日本初演ということで、曲目解説に書いてあるように、カナリア諸島のテネリフェ島からインスパイアされた曲のようですが、灼熱の火山シーンを回想されるような情熱的な第1楽章からはじまり、最後は祝祭的に終わる第3楽章まで、カミロ・ワールド満載の素晴らしい演奏でした。この曲はカミロのようなラテン・ジャズの完璧なピアニストでないと弾きこなせいと思うと、かなり貴重な機会でした。カミロさんには毎年のように来日してもらいたいです。アンコールの「カリブ」も彼の曲で、ソロ・ライブでよく演奏される名曲です。


マサト指揮の最初の「ドン・ジョヴァンニ」序曲は、なぜカミロのコンチェルトの前に演奏されたのかは、不明です。あまり印象に残らない演奏でした。後半のモーツァルトのシンフォニーは、モーツァルトらしさがなく、眠くなる演奏です。周りのお客様で寝ている方も多く、セレナーデを聴いている感じで、モーツァルトのシンフォニー演奏としての味付けがよろしくありませんでした。マサトさんはバロック専門家だと思ってますが、パンデミックで海外指揮者の代役などで、古典派からロマン派まで芸の幅を広げていましたが、納得感がいくものはあまりありませんでした。昨年のN響Bプロのジュピターもイマイチだったと記憶しております。マサトさんは調布の音楽祭など様々なプロジェクトをてがけていてお忙しいとは思いますが、スコアの研究や指揮の勉強をもっとされた方が良いと思います。モーツァルトの後の最終曲がボレロであることも不思議ですが、こちらは本当に酷い演奏でした。ファゴット、ホルン、トロンボーンなど出てくる管楽器がミスって始まり、オケの基礎能力が問われるレベルです。小中学生に聴いてもらうのにちょうど良いかと感じました。コンマスは長原さんですが、この方のコンマスの演奏会はレベル低いことが多い印象があります(春祭のオケを含みます)。最近聴いたボレロは昨年7月のギルバート指揮・都響の公演でしたが、ギルバートの方が2倍以上オケから音を巧く出していた印象があります。あの時の盛り上がり方は素晴らしく、簡単に見えるボレロだからこそ、ごまかしがきかないのでしょう。指揮者の力量とオケの演奏能力がはっきり分かった公演です。

ということで、今回の演奏会は、カミロのパートとその他の演奏で評価を分けました。マサト指揮(バッハを除く)及び読響には2度と行かないと誓います!


(評価)

ミッシェル・カミロ: ★★★★★ カミロのコンチェルトの曲と演奏は圧巻でした!

その他の曲: ★ 話にならない酷い演奏でした!

*勝手ながら5段階評価でレビューしております

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★: 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演

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指揮=鈴木優人
ピアノ=ミシェル・カミロ

モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
カミロ:ピアノ協奏曲第2番「テネリフェ」(日本初演)
モーツァルト:交響曲第28番 ハ長調 K. 200
ラヴェル:ボレロ