当作一のマドンナは「ばってん婆さん=ばってん荒川」!東映東京「トラック野郎・男一匹桃次郎」 | 東映バカの部屋

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東映制作作品を主体として書いていますが、たまに他の話題も…一人でも多くの東映ファンが生まれる事を望みます!

皆様、こんにちは。

 

 

年末年始休暇最終日ですが、明日は夜勤の為夜更かし。加えて二連勤後は通常の三連休の為、気持ちは非常に楽です。

 

 

しかも、雪が無く暖かい年末年始は数年ぶり!身体にも優しい「良い冬」です。

 

 

 

さて本日は、放映情報としては何度か掲載しましたが作品に詳しく触れた事が無いこの作品…

 

 

おめでたい正月気分がまだ残っている方も多いと思いますので…それに相応しい作品を!

 

 

 

「トラック野郎・男一匹桃次郎」(「トラック野郎シリーズ」第六弾)昭和52年12月24日公開。ソクブン監督/掛札先生の共同脚本・ソクブン監督・東映東京製作。

 

 

音楽担当は津島利章(第三弾「望郷一番星」の菊池俊輔と当作以外の音楽は木下忠司が担当)。

 

 

VHS/DVD/ブルーレイ化作品で楽天ShowTime/GooglePlay/DMM.com/GYAOストア/ビデオマーケット(プレミアムコースの場合)/U-NEXT/YouTube内で有料動画配信が行われています。

 

 

 

 

 

※KINENOTEの作品案内は此方から

 

 

 

 

当作品は今月の東映ch「年末年始特別企画【一挙放送!トラック野郎スペシャルVol2】」内で放映の一作品として本日以降、1/9(月)20:00~22:00・1/16(月)13:00~14:50・1/23(月)22:00~23:50・1/29(日)20:00~22:00の四回放映されます。(字幕付きHD放映)

 

 

 

※東映chの作品案内・放映時間案内は此方から

 

 

 

●東映ビデオ公式・YouTube予告動画

 

 

 

 

 

 

併映作は「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(山口和彦監督・東映東京製作・せんみつ主演)ですが、これ迄ソフト化も放映も再上映も行われていない幻の作品!

 

 

日本映画専門chで数ヶ月前に「こちら葛飾区亀有公園前派出所」実写版の集中放映が有りましたが、そちらでも残念ながら放映されず香取版のみ…東映chにリクエストを送っても何の動きも無し…

 

 

「娯楽映画の第一人者」和彦監督にせんみつ版両津!脇を固めているのも邦衛さんや龍虎・荒井注・丹波の御大を始めとするGメン75の面々ですから絶対に此方の方が面白い筈!

 

 

どう見ても「両津の体型=せんみつが近い」ですし…東映としては「もう一つの松竹「男はつらいよシリーズ」への対抗作品」としてのシリーズ化も検討していた程、岡田会長も期待していた様ですが叶わず、せんみつは「トラック野郎・突撃一番星」(シリーズ第七弾)で三番星の玉として仲間入りしたのはよく知られている話…

 

 

恐らく原作者の秋本先生も「せんみつ版が作品としては上!」と考えていると思うのですが…何が放映・再上映出来ない理由なのか謎です。

 

 

 

当作品で使用された「一番星号」の絵は此方。(青島文化教材社製でバンダイが販売するプラモデルの箱絵)

 

 

 

 

 

 

名行灯を始め文字の雰囲気が一段と魅力を増し(名行灯は第八弾「一番星北へ帰る」迄使用)この字体は最終作「故郷特急便」迄使用されました。

 

 

途中、前面ほぼ中央の「御意見無用」の行灯が早い段階で「剣道一直線」に代わり(東映製作のドラマ「柔道一直線」のパクリか?「パクリの才能日本一の監督」ソクブン監督だし…)後方の扉の絵も中盤「桜島の絵柄に「我が胸の 燃ゆる思いに比ぶれば 煙は薄し 桜島山」の詩が書かれた物」に変更されます。

 

 

運転台上の飾りにスパンコールが使用されたのは当作品が最初です。

 

 

余談ですが…撮影現場迄の移動の際は警察からの要請の他に「混乱を避ける=人が集まり混乱を来す可能性」が有ったのでしょう…「飾りを全て外し、箱にブルーシートをかけていた」事が各書籍に掲載されている写真で確認出来ます。運転台の両側のドアは「移動用と撮影用の二種類を随時交換していた様子」も伺えます。

 

 

 

そして、第一弾「御意見無用」から一貫して松下家の子供達を演じてきた10人の子役達は当作が最後となり、第八弾「一番星北へ帰る」で総入れ替えされます。

 

 

又、テル美役の叶優子もこの作品が最後となり(病気の為次作品は降板。その後結婚引退したとのこと)第九弾「熱風5000キロ」ではこの役を亜湖が演じています。

 

 

 

 

佐賀・唐津を中心に熊本・鹿児島が舞台…剣士である女子大生に惚れた桃次郎が起こす騒動が毎度の様に「大馬鹿と涙」で描かれているのはお馴染みの流れ…

 

 

 

「スポーツマンキップ!」「クリーニング!」等々「言い違い」は勿論の事「スカート・割烹着姿のももえ(恐らく漢字で表記すれば「桃恵」)=文太さんの女装姿!」「菅原一門会の弟子・誠直也に投げ飛ばされる文太さん!」「マドンナの夏目雅子に「もう恋は終わったの…(恋の相手は「かおる」=シミケン)」と言われて返した文太さんの言葉は「かおるさん…まさかあなたそんな趣味を!」と同性愛と勘違い!」「文太さんがキンキンの事を「十人も子供が居る!」と浜木綿子の経営する居酒屋で言い放つと女中は「強いのね!」対してキンキン「普通だ!」更にキンキン「毎日南瓜(春川ますみの事)ばかり喰ってて見ろ!胸が凭れるぞ!」それを陰で聞かれていた為に自宅では家族裁判にかけられる!」等々…大馬鹿笑いはトラック同様満艦飾!

 

 

「夏目雅子の胸を触り捲る写真屋の南ちゃん」「髭の違反者講習講師の長門勇」「ドライブインを切り盛りする親子の湯原昌幸に野村昭子」「白バイ警官・桜野代紋=堺正章」「歌丸・小円遊の笑点コンビの「一升瓶の中身…桃次郎の小便争奪戦!」は序盤の笑わせ処!」「夏目雅子以上に魅力を感じた浜木綿子・お馴染みの叶優子」「トラック野郎仲間として出演している「西部警察」の鑑識員でお馴染みの武藤章生、台詞有り!」「最後は豚の運搬業に転じた「花電車福の神」(満艦飾の塵芥車)の運転手、左とん平!さすがだ…」等々脇も手抜かりなし!

 

 

 

 

 

 

しかし…この作品の「最大の功労者」かつ「真のマドンナは」…

 

 

九州が誇る「筋金入りの本物の喜劇人!」ばってん荒川!

 

 

しかも役名…ばってん婆さん!

 

 

女役ですからマドンナに入れても差し支えなし!(下の写真左。後方の行司は鶴光師匠)

 

 

 

 

 

 

一度通しで鑑賞した後に、この「餅啜り競争」の場面のみを、ばってん婆さんだけに注目して観てみて下さい…

 

 

カメラがどんな位置に配置されていても、例え遠くからの場面や後ろ姿しか映っていない場面でも「一切手抜きをせず役に入り切り大馬鹿に徹している姿勢」は頭が下がりますし、泣き笑いさせながら感心させる「合わせ技」はそう簡単に出来る事ではありません!

 

 

特に「目の動きと表情の変化」「文太さんを挑発する際の面白さ」は特筆モノ!

 

 

しかも「絶対に出しゃばらず周囲の出演者をきちんと立てながら一体感の有る場面を一緒に作り上げている」から素晴らしい!

 

 

夏目雅子の美しさなんぞ何処かへ吹っ飛んでしまいました、俺は…

 

 

 

そう云えば…BS・TBSでは「シミケンの出演場面もクレジットの表記も全て削除された物!」を放映した為、此方もブルーレイに保存していますが、途中で話の脈略が見えなくなるだけではなく、この時が初見の方々にとっては「夏目雅子の恋人の姿が全く頭に浮かばなかった方」が多かったであろう「珍品」!

 

 

そして「最後の暴走」は「特捜最前線」の劇中「正月の映画館」の場面で使用された事が有ります。(他に、第十弾「故郷特急便」は「はぐれ刑事純情派」の劇中「貸出用ビデオを鑑賞中」の場面で使用された事が有ります)

 

 

 

そう云えば…唐津から鹿児島空港迄の道程を「幾ら急いでも六時間はかかる」と云う夏目雅子に「俺のトラックなら四時間で十分だ!来い!」と走り出した一番星ですが…

 

 

編集の失敗ですね…序盤数場面「雪の下北」「はぐれ鳥」「剣道一直線」の行灯が壊れた状態で映っています。また、峠越えの場面の一部では、劇用ナンバー「横浜88 あ …1」が自動車検査証に記載されていた正規のナンバー「練馬88 て …2」で映っています。

 

 

しかし「物語が面白い」からこんな些細な事は不問…寧ろ「隅々迄楽しめる様に観客に配慮したソクブン監督の技量と器の大きさ」と考えます。

 

 

 

自らの思いを振り切り恋人の元に運び「大事な用(=求婚)って何だったんですか?」と問う夏目雅子に対し文太さんは「忘れちまったよ…」…

 

 

これが真の日本男児の姿です!失恋如きでメソメソしてはいけない!その場でスパッと忘れ、次に向かう事こそが「真の野郎の生き様」です!

 

 

今の日本の映像作品では出来ませんねぇ…こんな「スカッ!」とした「恋の結末」は。その点では「野郎になる為の良い教科書」です。

 

 

 

序盤、東京の市場で文太さんが車椅子姿の男性職員と絡む場面が有るのですが…車椅子の職員が文太さんに「同じワッパ仲間じゃないですか!」と言うと文太さんは「そりゃそうだ!」と荷抜きのサボンを手渡す…「野郎の関係と仲間意識を描いた」のみでそれ以外余計な味付けは一切していない場面。

 

 

こう云う「普通の感覚・普通の会話・普通の場面」が何故今の製作陣や出演陣には出来ないのか、演ろうともしないのか考えさせられます。

 

 

「押し売りの感動演出」「同情を引こうと捻じ曲げ飾る演出」より遥かに清々しく、観る側の気持ちに響きます。

 

 

 

他の出演者は…日尾先生(擬斗兼任)・佐藤晟也・団巌・市川好朗・加藤嘉・絃さん・須賀さん・宮崎会長・奈辺悟・清水照夫・沢田浩二・幸英二・宮城健太狼・亀山達也・城春樹・相馬剛三・司祐介・城恵美・相川圭子・山本智子・清水国明・清水クーコ(この二人はノンクレジット)…

 

 

そして、ライバル役には若山先生!

 

 

飾りの無い真っ黒なトレーラーで「子連れの旅」をする…現代版・拝一刀!

 

 

しかし最後は「子連れ狼」の名行灯を付け、一番星号の応援に向かいます!

 

 

若山先生の「重厚な芝居」「喧嘩の場面での迫力」「その中で見せる優しい表情」も必見です!

 

 

 

最後に…この下の写真のCDを聴きながら今回の帰省に臨みましたが…

 

 

 

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運転をしながら聴くにはもう最高です!

 

 

特に右の「文太・キンキン 歌え!!トラック野郎スペシャル」のDISC2は一番!

 

 

何せ「一番星号の暴走場面」の挿入曲が目白押し!自然とアクセルに力が入り…速度超過となってしまいそうになりました!

 

 

只、欠点もあり…

 

 

●一般道、特に長閑な国道や集落を走る時は似合いますが、高速道路走行中は余り似合わない。(これは作品から考えても致し方無い)

 

 

●桃さんと同じく「糞小便の我慢大会」となってしまいます!「トラック野郎」といったらこれも楽しみの一つですから当然…実際相当我慢して、ケツを抑えて道の駅の便所に駆け込んでみましたが、気分は桃次郎!

 

 

次回は「野糞と一升瓶小便」に挑戦しようかなぁ…勿論、ケツは「葉っぱで拭け!」