犯行告げる映像などＮＢＣに送る　米銃乱射のチョ容疑者

　米ＮＢＣテレビは１８日、バージニア州ブラックスバーグのバージニア工科大で３２人を殺した後、自殺したとされる同大学４年のチョ・スンヒ容疑者（２３）から、犯行を告げるＤＶＤ映像、写真、文書を受け取ったと発表した。ニューヨークの本社に同日朝、届いたという。「時が来た。だからやった。やらなければならなかった」と語るビデオ、銃を構える写真、富裕層に対する強い憎しみをつづった文書の中身を、同日夕刻の番組「ナイトリーニュース」で放送した。

チョ・スンヒ容疑者が送った写真を掲載する米ＭＳＮＢＣのウェブサイト

　ＮＢＣによると、小包の送り状から、郵送の手続きは事件のあった１６日午前９時１分にとられていたことが分かった。ＮＢＣはチョ容疑者が午前７時過ぎの最初の発砲と、午前９時４５分の無差別銃撃の間にキャンパスの郵便局から郵送したとみられると伝えた。

　配達までに２日間かかったことについて、ＮＢＣは「誤った郵便番号などが記入され、修正したため」と説明した。

　ビデオや文書は事件を起こす理由について語っているが、混乱や矛盾、理解に苦しむ内容が多いという。ＮＢＣは送りつけられた原本を連邦捜査局（ＦＢＩ）に渡したという。

　ＮＢＣによると、送りつけられたのは写真と書き付けのあった２３ページの文書と、ＤＶＤだった。映像は２７のファイルで、計約１０分になる。写真は４３枚、文書は約１８００の言葉からなる。被害者意識にあふれ、富裕層に対する深い憎しみをつづった文書には、「我々殉教者、エリックとディランは何世代も何世代も」と９９年にコロラド州のコロンバイン高校で乱射事件を起こし、自殺した２人の容疑者に寄り添う内容もあった。

　ビデオでは、文書を読むように視線を下に向けた容疑者の映像が多く、こもった声で「お前たちがこれをさせた」と言っている。ＮＢＣは「お前たち」は不特定の他者を指しているのではないかとしている。なぜ同社に送られたのか説明はなかったという。

　一方、警察当局は１８日午前の記者会見で、０５年末に２人の女子学生から容疑者からのストーカー的行為の相談を受け、チョ容疑者から事情を聴いていたことを明らかにした。その後、自殺の心配があるとして、チョ容疑者は一時的に州内の医療施設に収容されていたという。女子学生はいずれも今回の被害者ではなかった。