定時制高校の卒業にかかる時間と卒業後の進路

定時制高校は1日あたりの授業時間が短いため、全日制高校と比べると卒業に時間がかかります。しかし、いまは単位制の定時制高校が増えているので、がんばって勉強時間を詰めれば、3年で卒業することが可能です。また、卒業後の進路についても考えておきましょう。

定時制高校は卒業に時間がかかることも

定時制高校は1日の授業時間が短いため、4年の学年制を基本としていました。しかし、最近の定時制高校では、単位制が主流です。もし、公立の定時制高校を3年で卒業するなら、単位制を採用している学校を選ぶことになります。単位制であれば、卒業に必要な74単位以上を修得すればいいので、1日に多くの授業に出席するなどして勉強の密度を上げることで、3年の卒業が可能になります。

近年、定時制高校は、統廃合化によって学校数が減少しています。公立定時制高校は自宅か勤務先の住所と同じ都道府県にある高校しか通えないこともあり、3年の卒業を希望しても、単位制の学校が該当地域になければ通うことはできません。

私立の定時制高校は学年制が主流ですが、3年制か4年制を選ぶことができます。3年制を選ぶと、午前中や午後の早い時間に登校し、日に5~6時限の授業を行うという、全日制に近い形の授業を受けます。しかし、私立の定時制高校は学費が高く、経済的な負担は小さくありません。

自宅や勤務先の近くに単位制の定時制高校がない、私立の定時制高校に通う金銭的な余裕がないといった場合は、4年制の定時制高校に通うことになります。3年の卒業を希望する場合は、通信制などのほかの学校を選んだほうがいいでしょう。

■卒業までにかかる一般的な年数

学校の種類 卒業にかかる年数
全日制高校 3年
公立定時制高校(学年制) 4年
公立定時制高校(単位制) 最短3年
私立定時制高校 3年、4年
通信制高校(単位制) 最短3年

就職?進学?定時制高校卒業後の進路

2016年度に定時制高校を卒業した人は、21,551人でした。そのうち、大学や専修学校などに進学した人は約40%、就職した人は40.8%でした。データから卒業者のうち、約40%が進学をしていることがわかります。

■定時制高校卒業者の進路

卒業後の進路 人数 割合
大学・短期大学 2,708人 12.6%
専修学校(専門課程) 3,958人 18.4%
就職者 8,720人 40.8%

文部科学省「平成28年度学校基本調査」より作成

定時制高校は「高校卒業の資格を得るための高校」で、卒業後に就職する人が多いイメージがありますが、実際には就職と同程度の人数が進学しています。定時制高校の勉強だけで大学へ進学するのは簡単ではありませんが、決して不可能ではありません。大学進学を検討している人は、進学予備校への入学なども検討しておくといいでしょう。

高校の卒業資格がほしいなど、確たる目的なく高校へ進学する人は少なくありません。しかし、高校はただの通過点であり、その先にも長い人生が待っています。卒業が近づいてから慌てて進路を決めると、中途半端なものになって、後悔する原因になります。できるだけ早い段階で進路を検討し、卒業後の準備に取り掛かりましょう。