脳梗塞で休養の1年間 LE VELVETS・佐賀龍彦 “右手足が動かない”状態からの進歩を「楽しんでいた」

藤丸 紘生 藤丸 紘生

 今年、結成15周年を迎えた4人組男性ボーカルグループ・LE VELVETSが、15周年記念コンサート「billboard classics LE VELVETS 15th ANNIVERSARY Premium Symphonic Concert 2023」(3月17日、東京芸術劇場 コンサートホール。4月1日、京都コンサートホール 大ホール)を開催する。メンバーの佐賀龍彦(42)は脳梗塞による休養から昨年復帰。活動再開まで約1年の時間を要したが、佐賀は「『なんでこんなことになっちゃったんだろう』っていう感覚は全然なかった」と振り返る。佐賀と佐藤隆紀(37)にこれまでの歩みを聞いた。今回はその佐賀龍彦編。

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 佐賀が休養を発表したのは2021年9月。前年に未破裂脳動脈瘤が見つかり、日常生活や仕事に支障はないものだったが、不安を払拭するために、カテーテル手術を受けた。治療自体は成功したものの、その過程で軽度の脳梗塞を併発。気付けば「右手と右足が動かない自分がいて」と振り返った。悲観的になって、何かを恨んでもおかしくない状況だが、佐賀に当時の心境を聞くと意外な言葉が返ってきた。

 「『なんでこんなことになっちゃったんだろう』っていう感覚は全然なかったですね。その時を楽しんでいた。いや、おかしいな。楽しんでいたっておかしいな。でも、本当にそうでしたね。『なんで恨まないんだ』とか言われたんですけど、そんなことやっている場合じゃなくて『こっちが頑張った方が』っていうような感覚でしたね」

 当時の気持ちに寄り添いながら、言葉を紡いだ佐賀。デビューから苦楽をともにしてきた佐藤は、佐賀について「何かを頑張って成果を出していくっていうこと自体は好きなんでしょうね。昨日できなかったことが今日できるようになるっていうのが“楽しい"みたいなものはたぶんあるんだと思います、根底に」と語った。

 右手と右足が動かない状態から「人さし指が最初に動いたんですけど『おぉ、動いた!』ってお医者さんに喜んで報告しました。服も当時は着られなかったんですけど、『昨日はこう着たから、今日はこう着よう』みたいなことも、徐々にできるようになっていく」と昨日より今日、今日より明日と少しずつ進歩していく自分を楽しんだ。そして「今でも『今日は良くなっているんだろうか』って思いますけど、良くなってるんですよ、本当にちょっとずつ」と楽しみ続けている。

 その一方で「活動を1年間空けてしまったことは、自分では全然楽しいことではない」と語った。昨年7月にナレーションの仕事で活動再開。9月には「徹子の部屋」に出演、10月にはコンサートにも復帰した。新曲の歌詞を覚える作業などには、いまだ影響が残っており、現状の自身の状態を「70%」と評価。「あと30%くらいは頑張っていかなきゃいけないなと思いますね」と話した。

 15周年コンサートは、第1部で「クラシックの世界」、第2部では近年、メンバーそれぞれが活躍する「ミュージカルの世界」を届ける構成。佐賀の地元である京都公演もあり「僕の復活も見てもらうことができると思います。またひとつ大きくなって、このコンサートをお客さまに届けられるというのがうれしい」と思いを寄せた。

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