コメディアン 萩本欽一さん
一病息災
[萩本欽一さん]脳梗塞(3)坂上二郎さんはリハビリで復帰…「僕の笑いの人生をつくってくれた」
「そういえば、二郎さんもだった」
2022年7月、右腕にしびれが出て脳 梗塞 を疑った時、真っ先に、坂上二郎さんを思い浮かべた。お笑いコンビ「コント55号」の相方だ。人さし指と小指で飛行機のポーズをつくる「飛びます、飛びます」のギャグで知られる。
7歳年上の坂上さんとコンビを結成したのは、25歳の時。舞台を激しく動き回る「欽ちゃん」と、とぼけた「二郎さん」の絶妙な掛け合いで1960~70年代に国民的な人気を集めた。
その後、お互いに単独での仕事がメインになっても解散はしなかった。
2003年9月、坂上さんが脳梗塞で倒れた。ゴルフのプレー中で、左半身にマヒが残った。翌年に舞台での共演を予定していた。
「車いすでもいいから出てほしい」とお願いすると、坂上さんは、リハビリを経て舞台に復帰した。
最後に会ったのは10年の終わり。坂上さんは、その年の夏に自宅で倒れ、起き上がれない状態だった。
この時も共演の舞台が控えていた。出演できそうかを聞くと「大丈夫」と言う。
「『飛びます、飛びます』はできないでしょ」と返すと、坂上さんは急に起き上がって「飛べません」と言った。
11年3月10日、坂上さんの 訃報 を受け、声を詰まらせながら、報道陣にコメントした。「恩人で、僕の楽しい笑いの人生をつくってくれた」
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コメディアン 萩本欽一 さん(82)
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