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医療・健康・介護のコラム

[タレント 矢部美穂さん](上)学校ではいじめられ、母は4度離婚 カッターを手首に当てたが「大人の自分を見たい」と踏みとどまる

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 いじめによる子どもの自殺という悲しいニュースが絶えません。タレントの矢部美穂さんも北海道での子ども時代、クラス全員のいじめの対象になっていたそうです。親は離婚や再婚を繰り返しており、家庭環境も安定しませんでした。今では、いつも明るく前向きで、ファンをなごませてくれる矢部さんですが、そんな子ども時代を毎日どんな気持ちで過ごしていたのか、お聞きしました。(聞き手・藤田勝、撮影・小倉和徳)

[タレント 矢部美穂さん](上)学校でいじめられ、母は4度離婚 カッターを手首に当てたが「大人の自分を見たい」と踏みとどまる

クラス全員から「矢部菌」「汚い」と人扱いされず

  ――いじめられていたのは、いつごろ?

 小学校高学年ぐらいから中学卒業までです。高校は行ってないので、一番ひどかったのは中学時代ですね。

  ――具体的には、どんないじめでしたか。

 「矢部菌」とか「汚い」とか、「矢部美穂にさわると菌がつく」みたいな、もう人扱いじゃなくて菌扱い。陰湿な感じですね。当時はネットとか、携帯電話もなく、今のようなSNSでのいじめはなかったですが、言葉の暴力でした。学校の椅子のネームには「バカ」「死ね」とか書かれたり、授業中に消しゴムのかすをぶつけられたりもしました。

  ――なぜ、いじめられたと思いますか。

 今みたいに社交的じゃなく、勉強もできなかったので、学校という世界で自信を持てませんでした。何か得意科目があれば自分を表現できたかもしれませんが、学校では自分を表現するものがゼロに等しく、いつも下をむいて歩いて、何も発言しないおとなしい女の子でした。

  ――おとなしいから、いじめられた?

 おとなしいと、人と違うとみられてしまう。みんなが話しているのにだまっているとポツンと目立って、「あいつ、なんだ」ってなる。私の場合、特定グループじゃなく、クラス全員にいじめられていた感じなので、よけいに精神的にきつく、追い詰められる場面が多かったです。

 でも、家では4人きょうだいの一番上で、何でもズバズバ言って主導権もあったので、家の中の矢部美穂と学校の矢部美穂は全く違っていました。

  ――今は本来の矢部美穂さんですね。

 本来の矢部美穂プラス、芸能界に入ってひとりの人間として認めてもらうことができたので、家での矢部美穂とはまた違う自信が持てるようになりました。

親にばれないように学校を休む

  ――自殺を考えたこともあったそうですね。

 学校ではいじめ、家では母が離婚と再婚を繰り返していました。2番目の父には、その父側の子どももいて家の中は戦争のような感じで、子どもながらにどうしていいか……。でも長女なので、あまり学校に行ってないこととか、いじめられていることは恥ずかしくて言えませんでした。母に言っても信じてもらえなかったっていうのもあるし、「じゃあ言わないほうがいいのかな」っていう感じでした。

 そんな状況だったので、親にばれないように学校を休んで、日中を過ごす方法を編み出しました。ある意味、行動力があって、それができるかどうかで違ってくると思います。だれか相談できる人がいれば「死なないぞ」って思えるでしょうけど、そういうものがないとゼロになって、人間って死を選んでしまう。

 私の場合、ゼロになりそうなところで、逃げ道を作ってゼロにはならなかった。「死にたいな」とカッターを手首に当てたこともありましたが、「死んだら、この後の自分を、大人になった矢部美穂を見られないでしょ」という気持ちがあって、自分でやめました。

  ――もともと芯の強い性格だった?

 4人きょうだいの長女っていうこともあったかもしれないです。ひとりっこだったら、違っていたかもしれないですね。

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