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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

妊娠糖尿病 その後

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よく笑うようになりました

よく笑うようになりました

 息子は週末で生後まる3か月を迎えました。なんだかすごく大きくなっていて、出生体重3038グラムの2倍以上あると思います。最近では夜に連続で6~7時間寝てくれ、かなり楽チンです。娘も最近は以前に比べるとだいぶ聞き分けが良くなって、とても助かります。息子の離乳食やハイハイが始まるまでが、一時的な育児の楽チン期だと思うのでエンジョイしたいです。

「境界型」という結果にショック

 さて、今回も妊娠中に妊娠糖尿病になり、インスリン療法を受けていたのですが、先日、産後のフォローアップのため糖尿病内科を受診してきました。75グラムのブドウ糖を含む液(糖水)を飲む精密検査(ブドウ糖負荷試験)などの検査を行い、結果は割と悪くて、放置していると糖尿病になる可能性が高い境界型。完全に糖尿病予備軍でした。私の場合、祖父が2型糖尿病でインスリン療法をしていましたし、学生時代の臨床実習でもこの検査でひっかかっていたので妊娠糖尿病になることも、将来、耐糖能異常(境界型)が起こることも想定の範囲内でしたが、やっぱりちょっとショックです。

妊娠糖尿病になった人は、その後に糖尿病になるリスクがそうでなかった人の7倍以上も高いです。産後のフォローでその3分の1に血糖コントロールの問題がみられ、そのうちの15~50%が将来、糖尿病になります。また、妊娠糖尿病女性は出産後に高血圧や脂質代謝異常にもなりやすく、私はコレステロールが昔から高い上に、血圧も低くなく、心疾患のリスクも心配です。体格指数(BMI)は痩せ型なんですけどね。糖尿病内科の主治医の先生には、これから3か月に1度フォローをしていきましょうと言われています。

2型糖尿病への進展を予防するためには継続的なフォローアップが重要ですが、育児や環境の変化のため継続的な受診が難しいのも妊娠糖尿病女性のリスクを高めているそうなので頑張って受診しなくてはなりません。薬物療法は現状では必要ないとのことですが、ついつい 美味(おい) しいので食べてしまう炭水化物を () りすぎないようにしなくてはなりません。

食は尊厳 無理な食事療法は続きません

世間では極端な糖質制限を良しとする人もいるようで、私も糖質制限を勧められたりしましたが、糖質制限の人が実践している肉、卵、チーズのいわゆるMEC食をちょっと試してみたところ、食の楽しみがなくなって耐えられなくなりました。私にとって食生活は人生の楽しみのなかでも大きなウエートを占め、炭水化物は純粋に美味しいので、どか食いはいけませんが少しは食べようと思っています。2度の妊娠糖尿病患者生活を通じて、食は尊厳であること、そこを無視した食生活の指導は長く実践するのは無理だということを感じました。

母乳育児も糖尿病予防に

糖尿病への進展を予防するにあたって有効なのが母乳育児です。母乳育児は母体の血糖値低下や体重減少に効果的で、2型糖尿病の発症頻度も減少させることが知られています。また、母乳で育つことで1型糖尿病の発症頻度が低くなったり、糖尿病女性から生まれた子どもでは母乳で育った方が肥満や糖尿病発症が少ないという報告があったり、子どもにとってもメリットがあります。

私は特に母乳育児にこだわりがあるわけではありませんが、今回も長く母乳育児を続けられたら糖尿病予防の面でもいいと思います。ただ、最近は母乳をあげているせいか、お (なか) が減って減って仕方がなくバクバク食べているので、結果的に血糖値が低くなっているかどうかは分かりませんが。

 そんなわけで2度の出産を終えて、40代に突入したため、何も考えなくても健康体というわけにはなかなかいかないようです。高齢出産をしたため子どものためにも当分、健康でいたいので頑張ってフォローアップしていこうと思います。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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2件 のコメント

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同志ですね!

パリっ子

日にちがかなり経ってからのコメントすみません! 私も30代半ばから後半に掛けて二人出産し、二回とも妊娠糖尿病でした。 一人目は25週目に75g検...

日にちがかなり経ってからのコメントすみません!

私も30代半ばから後半に掛けて二人出産し、二回とも妊娠糖尿病でした。
一人目は25週目に75g検査で判明しましたが、二人目は妊娠判明と同時に、「一人目で妊娠糖尿病だったから今回もそうだろうから、75g検査は必要なし」とのことで、8週目から一日4回の血液自己検査と食事制限が始まりました。本当にきつかった。。。

私の場合は2回とも食事で血糖値コントロールが出来ていたので、インスリンは不要でした。
私は二人ともフランスで出産したのですが、こちらの糖尿病専門医には、妊娠糖尿病になってもインスリン治療まで必要になるのは10人に一人くらいです、基本的には食事制限で対応します、と言われましたが、日本の掲示板を見ると、日本は結構インスリン治療になる人も多い?という印象を受けましたが、どうなのでしょう?
糖尿病は人種差もあるようなので、単純に比較はできないのかもしれませんが。

あと、妊娠糖尿病で産後に本当の糖尿病になる確率ですが、15-50%と開きがあるのはなぜなのでしょう?調査機関による違い?それとも調査期間の違いでしょうか?正直、15%だったら、まぁ気をつけていれば大丈夫かな、という感じですが、50%はちょっと怖い数字ですよね。

私も産後は2回とも半年ごとに血液検査(空腹時血糖とHsb1c)を受けていて、今のところは正常ですが、ちょっとギリギリなので、気をつけないとと思っています。
本当はもっと運動をしたいのですが、幼児二人抱えて仕事(オフィスワーク)もしているので、なかなか難しいです。

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第2子妊娠中、次回糖負荷受けます

ななめ

タイムリーな話題で、思わずコメントさせて頂きます。 現在、第2子妊娠36週です。35週の検診で、胎児の推定体重が3000gを超えました。 夫も第...

タイムリーな話題で、思わずコメントさせて頂きます。
現在、第2子妊娠36週です。35週の検診で、胎児の推定体重が3000gを超えました。
夫も第1子も、ビッグベイビーだったのですが、妊娠糖尿病の可能性も考慮して、次回糖負荷検査を受けることになりました。

糖負荷検査は、今回で3度目です。糖尿家系のため、非妊娠時も受けたことがあります。
第1子の妊娠は、妊娠糖尿病には至りませんでしたし、非妊娠時も血糖値は正常です。

周りの方よりは、糖尿のリスクがあることを意識して生活をしているつもりですが、先生と同じで、食に対する思いは強く、炭水化物や甘いものを我慢してまで控えることは苦痛です。

検査結果がどうであれ、極力、糖質の摂取量は意識をして生活して、担当医の指示に従って生活していこうと思いますが、なるべく「ガマン」を強いられないよう上手く付き合っていけたらと思います。

先生の今後もとても気になりますので、参考までにまたその後のご様子を何らかの形で発信して頂ければ嬉しいです。

まずは次回の糖負荷検査の甘いサイダーとの戦い、頑張ります!

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