タレント 桜金造 さん 56
一病息災
[タレント 桜金造さん]脳出血(4)リハビリ支えた前妻に求婚
大学病院は1か月で退院し、本格的なリハビリは、転院した病院で始まった。
リハビリはきつい。つえを使って歩いたり、片手で着替えたり。歩行に必要な筋トレもある。1日、7時間取り組む日もあった。
そんな苦しいリハビリを支えてくれたのも鶴子さん(55)だった。
リハビリの病院に入院していた5月、そんな最愛の人の母が他界した。
告別式。病院に入院してから初めての外出だった。
「何も恩返しできなくてすみません」
柔らかな笑みをたたえる遺影の女性に頭を下げた。
大事な娘と離婚してしまったうえに、病気で面倒をかけている。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「あなたに代わり、今度こそ、この人を幸せにしたい」
心の中でつぶやいた。
すると、天国から「いいんじゃないの」と言ってくれた気がした。
数日後、自身がボーカルを務めるバンドのライブイベントに出演した。入院中だが、特別な許可をとった。
「もう一度、結婚してください。お願いします」
鶴子さんをステージにあがらせて、公開プロポーズをした。「はい」。目を潤ませて答えた鶴子さんに結婚指輪を渡し、キスを交わした。体はうまく動かなくても、この先の人生は、この人を全力で支えていこうと誓った。
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