俳優 萩原流行(はぎわらながれ)さん 59
一病息災
[俳優 萩原流行さん]夫婦でうつ(4)適度な距離感で共に歩む
妻のまゆ美さん(60)とともに、うつの症状と付き合う生活は、今も山あり谷あり。
「一緒に頑張っていこうというより、流れに任せていこうという気持ち。2人でいたい時は一緒にいるし、距離をとる時はそうするという感じで」。無理なく、適度な距離感を保つのが流儀だ。
2匹の愛猫が、そんな2人を和ませてくれる。オスのター坊と、メスのチャチャ。「ター坊はまゆ美さんにくっついて回ってる。チャチャは僕にべったり」。まゆ美さんが発症したころからずっと、自宅で猫を飼っている。最初に飼った小鉄は、ぎくしゃくした夫婦の関係を取り持つ存在で、子どものいない2人にとって「かすがい」だった。「存在自体で、殺伐としがちな家をあたたかくしてくれた。感謝しています」
それぞれのペースで、2人は歩を進める。中国の歴史研究や語学で息抜きするまゆ美さん。自分自身は、役者の道を自分なりに歩む。「芝居をしている間は、ほかのことは忘れていられる。そういうものを持つことが、病気とうまく付き合うのに必要なんじゃないでしょうか」。心身の調子を見ながら、これからも役者を続けるつもりだ。「2013年は、一つでも多くの舞台を踏もう」。新年に当たり、思いを新たにしている。
(文・高梨ゆき子、写真・藤原健)
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