悪夢を食べてくれる妖怪獏ばく
こんにちは。妖怪画家ヨハクです!
私は妖怪や和のモチーフの絵やイラストを描いています。
今回は悪夢を食べることで有名な妖怪獏について調べてみました。
いつ誰が教えてくれたのかは忘れましたが、なぜか獏という名前を聞くと像みたいな見た目で悪夢を食べてくれる妖怪だと知っていました。
それくらい有名な夢食いの妖怪獏ですが、テレビかネットではじめて動物の獏を見た時に衝撃を受けたのを覚えています。
さてこの動物の獏と妖怪の獏は見た目も似ている気がしますが、どちらが先なのでしょうか。
気になったので調べてみました。
妖怪獏の見た目
中国の古い薬学書『本草綱目』李時珍 著(1578)によると、妖怪獏は次のような見た目をしています。
妖怪獏(ばく)は小さい頭、短い脚で短毛であり光沢があるとされています。
体毛の色や模様に関しては、白黒のまだら模様であるとか、クリーム色であるとか、青白い色をしているだとか色々言われています。
光沢があって反射で七色に見えているのか、様々な色の個体がいるのかなどは分かりません。
また獏の体のパーツは象のような鼻、犀に似た目、牛のものと同じようなしっぽ、そして短い脚は虎のようで胴体は熊に似ていると言われています。
そういった点でこの妖怪獏は鵺や龍などと同じように様々な動物があわさったような見た目をしているキメラタイプの妖怪という事になります。
キメラとはギリシア神話に出てくる顔がライオンで胴体が山羊、しっぽが蛇で口から火を吐くとされる想像上の生き物です。
これらから考えると、どうやら妖怪の獏は動物の獏は違うもののようです。
動物のキリンも妖怪の麒麟と似ているためにキリンという名前になったとされていますが、おそらく獏も伝説の中の妖怪の獏と似た動物に獏と名付けたのでしょう。
中国での獏
この獏は中国から来た妖怪なのですが、妖怪というより縁起の良い聖獣であったといいます。
獏の毛皮を飾ったり(存在しない生き物なのにどうやって毛皮を用意したのだろう?)、獏の絵を描いたりすることで、邪気を払うと信じられていたそうです。(いつか獏の毛皮風のラグを作ってみたい)
というのも昔は、病気などは妖怪や精霊が引き起こすと考えられていたので、その妖怪や精霊を食べる獏を祀っていれば病気さえも防ぐと考えられていたからです。
妖怪や精霊を食べて病気から守ってくれるという獏の話が日本に伝わったとき、なぜか獏は悪夢を追い払うとか悪夢を食べる妖怪だとか言われはじめたようです。
(獏奇という神様が夢を食べたという情報が混じったという説があるそうです。)
なので獏は中国が発祥だが”夢を食べる獏”というのは日本独自の妖怪ということになります。
まとめ
中国の伝説上の獏は、象のような鼻、犀に似た目、牛のものと同じようなしっぽ、そして短い虎のような脚、胴体は熊に似た、わりとずんぐりむっくりな見た目の短毛の動物であるとされていて、体毛の色については様々言われています。
中国では獏は妖怪というより聖獣として扱われていて獏の毛皮や、獏を描いた絵を飾ると病気を引き起こす精霊や妖怪を食べてくれると信じられていました。
また日本に獏が輸入されたときに、ほかの話が合体して獏は悪い夢を食べる妖怪として広まっていったのだといいます。
江戸時代にはいい夢が見られるようにと、獏の絵が描かれた枕があったらしいです。
動物の獏は麒麟同様、妖怪の話が先で、それに似た動物だとして同じ名前が付けられたようです。
妖怪イラスト、記事 / 妖怪画家ヨハク (YOHAKU Yokai Art)
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