アルパカ・リャマ・ビクーニャの生態!前歯がない?国旗に使われている?

アルパカ・リャマ・ビクーニャの生態!前歯がない?国旗に使われている?

今回は、南米アンデス山脈に生息するラクダの仲間、アルパカ・リャマ・ビクーニャの生態を学びます!
この3種の中で、日本で最もよく知られているのはアルパカではないでしょうか?日本でのアルパカ人気は、ある企業がCMのイメージキャラクターとして起用したことをきっかけに広がりました。

この記事では、南米のラクダ科3種の基本データから意外な特徴まで、その興味深い生態をお届けします。

【アルパカ】 社交性の高い平和主義者

モフモフの毛皮が特徴のアルパカ!ニットやコートの素材としてよく使われます。
まずは、体の大きさや生息地などの基本データから見ていきましょう!

種属哺乳網 鯨偶蹄目 ラクダ科
体長150-175cm
体重50-70kg
生息地ボリビア・ペルー・チリの山岳地帯
個体数約360万頭
種属哺乳網 鯨偶蹄目 ラクダ科
体長150-175cm
体重50-70kg
生息地ボリビア・ペルー・チリの山岳地帯
個体数約360万頭

アルパカは、体長・体重ともに私たち人間(成人)とほぼ同じくらいの大きさ。目線を合わせてコミュニケーションを取ることができます。たとえ言葉が通じなくても目を合わせるだけで親しみを感じられますよね◎

モフモフの毛皮に加えてまん丸キュートなお尻がポイントです。

アルパカの生息地域は、標高3,500~5,000mのアンデス山脈の高地。標高が高いため、時に寒波によって餌である牧草が凍りついてしまうことがあります。その時はアルパカたちも餌を食べることができません。
ペルーでは、大寒波によって約500頭のアルパカが餓死してしまったこともあるのだとか…。現在は野生のアルパカは存在せず、家畜として飼われています。

ここからは、アルパカの生態における特徴的な5つのポイントを説明していきます。可愛いらしい見た目に反して意外な行動も!

特徴①:臆病者の平和主義者だけど、好奇心は旺盛!

アルパカは基本的に、恥ずかしがり屋で臆病者。それなのに好奇心は旺盛です!!
この矛盾したギャップがまた可愛いですよね。人懐っこい性格のため、牧場や動物園では愛想を振り撒いてくれることもあるんだそう。

アルパカは平和主義者なので争いを好みません。そのため、滅多に喧嘩をすることはないし、むしろ人懐っこさ(社交性)を活かして他の動物や他の種と仲良くなることを得意としています。

そんな、おおらかな性格なので集団生活に向いており、群れの中では自分の立ち位置を理解して関係を築いていくようです。アルパカが愛される理由がよくわかりますね◎

特徴②:上あごの前歯がない

みなさんは、アルパカの口元をじっくりと見たことがありますか?
筆者はロバのように上下に生え揃った歯を想像していたのですが、実はアルパカの上あごに前歯はありません。下あごの前歯には6つの永久歯が生えています。

MonikaによるPixabayからの画像

こんな口で上手に餌を食べれるのかな…と少し心配になりますよね。でも大丈夫!
上あごの歯ぐきはとても硬くできているため、硬い歯ぐきと下あごの歯を使って問題なく食べることができます◎
実はアルパカに限らず牛や羊、鹿、キリンといった草食動物にも上あごの前歯はありません。興味のある方は、動物園などに行った際に食事の状況をじっくり観察してみてください♪

特徴③:3つの胃を持つ

アルパカは3つの胃をもつ反芻(はんすう)動物です。もちろん、このあと紹介するリャマ・ビクーニャなど、他のラクダ科も同様に胃が3つあります!
牛は胃を4つ持つことで有名ですが、アルパカも牛と同じように複数の胃を持つことで草の消化を円滑におこないます。

反芻の仕組み(ラクダ科)

反芻というのは、胃の中に入れた草を口に戻し再び噛んで、また胃に入れるというプロセスを繰り返して消化していくことです。この反芻の仕組みによって、食物繊維を豊富に含む草をエネルギーに変えることができるのです。

特徴④:強烈な臭いの唾液を吐く

アルパカは自分の身に危険が迫ると唾を吐く習性があります。唾を吐く理由はさまざまですが、たとえば次のような場合が挙げられます。
 ・食べ物や飲み物を取り合うとき
 ・妊娠中の雌アルパカに雄アルパカが近づくのを阻止するとき
 ・群れの序列や繁殖権を確保するために唾を吐いて威嚇するとき など

アルパカが唾を吐くシーンは、こちらの動画をご覧ください。

反芻動物であるアルパカの唾液には未消化の草が含まれるため、その臭いは強烈です。唾液をつけられたら最後…なんと数日間は臭いが取れないとか。唾液を浴びないように気をつけたいところです…。

特徴⑤:綺麗好き

唾液が臭いアルパカですが、実はとても綺麗好き!!アルパカは人間のように決められた場所でしかトイレをすることができません。

そのため、トイレがない場所ではおしっこもうんちも我慢してしまうそう…賢くて驚きです!!

【リャマ】 屈強な体で大きな荷物を運ぶ

続いては大きな耳が特徴的なリャマを紹介します!ここではリャマとしていますがラマと呼ぶこともあります。
まずは、体の大きさなどの基本データを見ていきましょう。

種属哺乳網 鯨偶蹄目 ラクダ科 リャマ属
体長120-250cm
体重70-150kg
生息地ボリビア・ペルーの山岳地帯
個体数約440万頭
種属哺乳網 鯨偶蹄目 ラクダ科 リャマ属
体長120-250cm
体重70-150kg
生息地ボリビア・ペルーの山岳地帯
個体数約440万頭

リャマの体は大きい個体で250cmと、アルパカの倍ほどの大きさです!アルパカと人間は同じようなサイズ感なので、リャマは相当大きいことが分かります。

見た目はラクダとよく似ていますが、ラクダのトレードマークであるコブはなく平らな背中が特徴的。毛の色は、白色、黒色、まだら模様など個体によって差があります。

アルパカと同じく、生息地域は標高2,000~4,000mのアンデス山脈の高地。草原やヤブの中などで群れになって生活をしています。
現在は野生のリャマは存在せず、家畜として飼われています。アルパカは毛皮が使われ、リャマは荷役として利用されることが一般的です。

ここからは、リャマの生態における特徴的な3つのポイントをお伝えします!

特徴①:屈強な体の持ち主

可愛らしい見た目のリャマですが、実はとても頑丈で屈強な体をしています。

Todd MacDonaldによるPixabayからの画像

標高4,000mと空気の薄い高地でも、重い荷物を引きながら1日に数十キロも歩くことができます。その荷物の重さは、最大で自分の体重の30%ほどになることも。なので、体重150kgの大きなリャマであれば50kg程度の荷物を運べるということです…すごい!!

特徴②:穏やかで人によく懐く

荷物を運搬する役割を担っていることからも想像できますが、リャマは穏やかで人によく懐くため、人間と信頼関係を結びやすい動物です。

アルパカも人懐っこいですが、リャマと比較するとやや臆病な性格であると言えるでしょう。

特徴③:水分をほとんど必要としない

リャマは、砂漠に住むラクダと同じように水分をほとんど必要としません。さらに、リャマは好き嫌いをせずにさまざまな種類の植物を食べます。この特性のおかげで、食べ物が少ない山岳地帯でも生き抜くことができるそうです。

一方のアルパカやビクーニャは、毎日水分を摂る必要があります!

【ビクーニャ】 ペルーの国獣!上質な毛を身に纏う

今回ご紹介した3種の中で唯一、野生で生息しているのがビクーニャ!アルパカやリャマとは異なり、人に慣れることがないため家畜には向かないと言われています。

種属哺乳網 鯨偶蹄目 ラクダ科 ビクーニャ属
体長100-130cm
体重40-65kg
生息地ボリビア・ペルーの山岳地帯
個体数約37万頭
種属哺乳網 鯨偶蹄目 ラクダ科 ビクーニャ属
体長100-130cm
体重40-65kg
生息地ボリビア・ペルーの山岳地帯
個体数約37万頭

ビクーニャは世界最小のラクダ科で、首はほっそりと長く繊細な見た目をしています。首の長いバンビみたいでとっても可愛いですよね。

生息地域は、標高3,500m以上のアンデス山脈の高地。視界がひらけた乾燥した草原を好み、家族単位で小さな群れをつくって暮らしています。
現在の個体数は約37万頭で年々増加傾向にあります。しかし、過去には人間によって乱獲されたこともあり、1960年代には一時期、1万頭以下まで生息数を減らしました。

【マメ知識】
ペルーの国章の中心にある盾には、国花であるカンツゥータ、豊穣の角から溢れ出す金貨、そしてビクーニャが描かれています。この3つのシンボルは、ペルーの3界(動物、植物、鉱物)の豊かさの象徴とされています。
公的な機関では、この国章が入った国旗を使用するそうです。

ここからはビクーニャの生態における3つのポイントをお伝えします!

特徴①:細く密集した毛

ビクーニャの毛は驚くほど細く、毛の平均直径は10〜14μm(マイクロメートル)です。μmは1/1000mmのこと!あまりにも小さい単位でイメージしづらいですが、とても柔らかい毛なんだろうな…とは想像できますね。さらに、ビクーニャは標高の高い寒冷地域に生息しているため、毛を密集させて寒い気候から体を守ります。

一般的に高級とされるカシミアの平均直径が14〜16μm。ビクーニャから作られる素材はカシミヤよりも繊維が細く、「神の繊維」とも言われるほど上質で特別なものです。

また、ビクーニャの毛の刈り込みは2年に1度しか許可されていない上に、1頭から取れる量は200〜300g程度と少なく希少性が高いのも特徴です。ちなみにアルパカは2年で約7kgの毛が取れます。

特徴②:肺活量が多く、足が速い

ビクーニャは標高3,500m以上と空気の薄い高原で生活しているにも関わらず、呼吸に苦しむことなく最高時速70kmの速さで駆け回ることができるようです!

危険を感じることがあれば、持ち前の足の速さを活かして敵から逃げることができます。

特徴③:笛のような鳴き声

ビクーニャは目と耳が優れており、遠くにいる捕食者にも気づくことができます◎
そして、捕食者を見つけると笛のような鳴き声で仲間へ警告を知らせます。ビクーニャの鳴き声は、こちらの動画をご覧ください。

まとめ

今回は、南米アンデス山脈に生息するアルパカ・リャマ・ビクーニャの生態をお届けしました!同じラクダ科でもそれぞれにユニークな特徴があって興味深いですよね。

ポッドキャストでも、アルパカ・リャマ・ビクーニャの生態を楽しく語っています♪
よかったら聞いてみてください。

さて、南米アンデス旅では本場のアルパカたちに会うことができるのか!?(特にビクーニャに会いたい!)旅レポについては別の記事でお伝えします!

追記:実際に2023年に行った南米アンデス旅の旅レポはこちらから!

参考にしたWEBサイト

JICA – アルティプラノ中南部地域総合開発プログラム準備調査 ファイナルレポート

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