ナスカの地上絵は誰がどうやって作った?その目的は?なぜ消えない?

ナスカの地上絵は誰がどうやって作った?その目的は?なぜ消えない?

地上絵は、ナスカ最大のミステリー

地上絵の謎については古くから様々な議論がされてきました。今回は、特に気になる「地上絵はなぜ消えない?」「なんの目的で作られた?」を中心に地上絵の魅力をお届けします。
yanakiji的には、地上絵が作られたのは『宇宙に向けたメッセージ&ナスカ人はアート好き』説を強く推したいです!!笑

ナスカの地上絵とは

ハチドリの地上絵

1939年に初めて発見されたナスカの地上絵。動物の絵や幾何学図形が地上に描かれていることで有名で、世界各国からこの地上絵を見ようと人々が訪れます。1994年には世界文化遺産に登録されました。

近年の研究で、これらの地上絵は拡大法を用いて描かれていることが明らかになりました。
原住民の中には、今でも地上絵を描ける人がいるそうです!!

地上絵が多く描かれた時代、ナスカ文化ってどんな文化?

ナスカ文化が栄えたのは、紀元前100年〜800年までの約900年間。
この文化の宗教的中心地はナスカ川流域の「カワチ遺跡」です。狩猟・農業・漁業、そしてアンデス文明の基盤である穀物の栽培が盛んに行われていました。(ポッドキャストでは「文化と文明の違い」にも触れているので、興味があれば聴いてみてくださいね!)

ナスカの土器は色鮮やかで美しく、動物や戦士、神様をモチーフにしたものが多く見られます。文字を持たなかったアンデス文明ですから、土器のデザインが意思疎通のツールとなっていました。それに、やっぱり絵を描くのが上手だったようです。

神聖な動物「コンドル」の地上絵

このようなナスカの思想は、パラカス文化から大きく影響を受けています。
パラカス文化が栄えたのはナスカより1,000年も前のこと。この時代から地上絵が描かれていました。

パラカスの時代に描かれたものは「パルパの地上絵」と呼ばれますが、ナスカが有名なことからしばしば混同してる人も多いみたい。

砂に描かれた絵なのに…なぜ消えない?

私たちが公園の砂場に絵を描くと次の日には消えちゃいます。奇跡的に数週間残ったとしても1,000年以上も消えないなんてことは想像できません!!!地上絵はどうして消えないのだろう…。
その理由を見ていきましょう。

理由1:雨が全く降らない!

なんと、、ナスカの年間降雨量が平均4mmというカラッカラの大地!それがもう1,500年くらい続いているのだそうです。そのため、地上に描いた絵が雨で流されてしまう心配がありません。

理由2:「いい感じ」に風が吹いている

地上絵が消えないのは、実は風が「いい感じ」に作用しているから!!
砂漠みたいな大地であれば砂で埋もれてしまうものですが…ナスカは絶妙な強さで風が吹いている。そのため、運ばれてくる砂を風が巧みに掃いてしまいます。

理由3:大地が固い

3つ目の理由は大地が固いこと!ナスカの大地には硫酸カルシウム(石膏に含まれる成分)が多く含まれています。霧も多い環境のため、硫酸カルシウムと水分がいい感じに混ざり合ってさらに強固な大地を作り出しているのです。この強固な大地のおかげで、描かれた地上絵が消えずに保たれます◎

理由4:動物に荒らされることがない

ナスカには動物がいないことも大きな点!動物の足跡などで地上絵が傷つく心配がありません。
もし、ナスカにバッファローやヌーの大群がいたらどうでしょう。あっという間にかき消されてしまいそうです…!

理由5:守り続けている人がいる

ドイツの数学者・考古学者である「マリア・ライヘ」さんは、地上絵の大切さを伝え、保全活動に力を入れてきました。ナスカ平原を縦断するパンアメリカンハイウェイ(南北アメリカ大陸の国々を結ぶ幹線道路網)で少し消えてしまった地上絵があるようですが、それでも最小限に抑えられたみたい。

1970年代後半にマリア・ライへさんはそのパンアメリカンハイウェイ脇に実費で展望台を建設したんです。結果的に飛行機に乗らずとも誰もが地上絵を見ることできるものとなりました。生涯にわたってナスカの地上絵を研究しただけでなく多大な貢献をしました。

パンアメリカンハイウェイ

時が経ち、その観光客も鑑賞できる展望台も劣化していきます。
そういう思いを持ったものが風化していくのは悲しいですよね、なんと、、、2020年に今度は日本人の有志や地元日系団体などの援助で、マリア・ライへさんが作った展望台の横に新しい展望台が完成しました!

yanakijiは2回そこを車で通ったのですが、体調が絶不調のため残念ながら登ることが出来ませんでした。でも運転席から両端に聳え立つ展望台は目に焼き付いていますし、日本人として誇りに思ってます。

きっと守る人がいるだけでは不十分なんでしょうね。
それを継承していき引き継いで守っている人がいるから、何千年も前の地上絵が今も残っているんです。

ちなみに、アンデスでは金細工がたくさん作られていたのですが、侵略者であるスペイン人が金を溶かし国に持ち帰ってしまいました。マリア・ライヘさんのように「人が守る」ことができれば、「人が壊す」こともできちゃう…。大事な文化はしっかり守っていきたいものですね。

どうして地上絵はつくられた?

続いて「地上絵はなんの目的で作られた?」という謎めいた問いに迫ってみましょう!ここでは9つの説をご紹介。

その1:雨乞い説

ペリカンの地上絵

ナスカは世界でも有数の乾燥地帯!雨が貴重な水源でした。
人が生きていくには水が不可欠ですが、自分たちの力ではどうすることもできません。そんな苦境の中で、ナスカの人々は雨を願って地上に絵を描いたと言われています。

しかし、雨が降らないことが、地上絵が後世に残る理由でもあります。ナスカ人の説なる願いに思いを馳せるとなんだか心が痛みます。

その2:方向を示すため説

台形の地上絵

2つ目は、遠方にある他の古代遺跡や国、山の方向を示すために作られたのではないかという説。
たしかに地上絵には直線や三角形の矢印が描かれたものも多い。この説を提唱した方によると、ナスカの台地から地球面における対蹠点(たいせきてん)が、アンコールワットを示しているそうです。
しかし、多くの幾何学線がどこかの方向を指しているとなれば少々強引な気もします…。

その3:社会事業のひとつ説

アンデス文明は文字を持たない文明です。そんな文明がどのように社会性を保ったか。
当時の記録は、キープという糸を使って残していた(結び目の数の組み合わせで数を示す)と言われています。しかし、天文学的観測と詳しく照合する必要のある暦は、キープで記録するには難しい…そこで大地を使う地上絵を採用!という説です。

文字はないけど、地球で一番大きな印を残しているのがアンデス文明の面白いところ☺︎

その4:宇宙人に向けたメッセージ!?説

宇宙飛行士の地上絵

4つ目は非現実的?「宇宙人に向けたメッセージ説」です。
実は地上絵には、成層圏に行かなければ見れない絵があります。宇宙人はちょっと非現実的な気もしますが…宇宙の何かに向けてのメッセージはあり得るかも。だって、こんなに高いところに向けたメッセージをわざわざ描く必要ないですもんね。
…と、そこで考えられるのが太陽信仰。yanakij的には、宇宙人じゃなくて太陽や星などの天体を神格化して、そこにメッセージを送ってたのではないかと考えてます!

その5:水の流れをコントロールするため説

台形の地上絵

5つ目は「水の流れをコントロールするため」に描かれた作図という説です。
山に流れ落ちる雨水を大地に注ぎ込むために、地上絵の直線や四角形が使われたとされています。しかし、「水路にしては線が浅すぎる」「線が多すぎる」という点からこの説はあまり支持されていないのだそう…。
それに、幾何学模様の他にもさまざまな絵があるので、全ての地上絵を説明する理由にするには難しい…。

その6:幻の湖から水をひくため!?説

この説は、蜃気楼で見える「幻の湖」から水を引くために描かれたというものです。この説が本当であれば、ナスカの水不足があまりにも深刻すぎて心が痛くなっちゃいます。でも何だかロマンも感じますよね。

その7:ナスカ人はアート好きだから!説

アオサギの地上絵

7つ目は、アートとして地上絵が描かれたのではないか、という説。
かなり個性的な絵が多いので、あり得そうな気がします!yanakijiが写真コンテストに応募するように、ナスカ人も地上絵コンテストとかやってたのかなぁ…。そう考えると楽しいですね。

その8:空から芸術鑑賞するため説

8つ目は熱気球説です。これは「ナスカ人はアート好きだから!説」にも通ずるかも。
織物が得意なアンデス。それを使って熱気球を作り空から芸術鑑賞していたんじゃないかという話…。もしかしたらコンテストの審査をやってたのかもしれませんね。
この時代に、さすがに空は飛べないか…!?

その9:天体観測説

最後は、地上絵の保護に尽力した、マリア・ライへさんの「天体観測説」をご紹介!

地上に描かれた図形や線は、星や太陽が関係しているという話です。
つまり、図形は地上に描かれた星座のようなもの。
一方の線は、夏至と冬至に太陽が沈む方向を指し示したもの。
平行ではない一連の直線は、数世紀にわたる夏至と冬至における日没の方向を示しているようです。

これらは、マリア・ライヘさん本人が実証し明らかにしました。
さらに、ホーキング博士も地上絵の線の方向についてコンピューター分析を実施。この分析によって、1年の太陽と月の動きと、線の方向が合致するものが多い(偶然と考えられる数の2倍に達する)という結果を得ました。

このことからナスカの地上絵には暦学的性質がある、とわかりました!乾燥した南海岸地域の人々にとって夏至と冬至は、雨季と乾季の始まり。農業や祭儀を行う時期の目印にしていたのではないかと考えられています。

ただ、これら以外に解明されていない線や図があります。そのため、この一説だけを支持する人は少ないみたい。

ナスカの地上絵を見る方法

最後に、地上絵を見る方法について以下の3つを紹介します!

 1.セスナに乗って上空から見る
 2.観測塔から見る
 3.地上から見る

1:セスナに乗って上空から見る

セスナ

地上絵を最も効果的に見るには、小型のセスナ機に乗って上空から鑑賞するのがベスト!
絵の一部だけでなく、全体像を見ることができます。

2:観測塔から見る

高台から鑑賞するために、観測塔に登る方法もあります。
高い位置からの視点で、絵の全体像をより理解しやすくなると思います!

3:地上から見る

地上絵を近くで見るために、Googlemapでスポットを検索して車で移動する方法もおすすめです!斜面に描かれた「猫の地上絵」などは、上空じゃなくても見れるようですよ。

猫の地上絵

まとめ

今回は、ナスカの地上絵について「地上絵はなぜ消えない?」「なんの目的で作られた?」を中心にお届けしました。それぞれ、いくつかの説をご紹介しましたが如何でしたか?まだまだ解明されていないことも多く、現実離れした内容もありましたね。
でも、この謎に包まれたところが地上絵の魅力。ナスカの地上絵を実際に訪れた方がいれば、ぜひ感想をお寄せください☺︎

【追記】2023/07/13にセスナで地上絵を見ました。よかったら以下の記事もご覧ください。
DAY18:ナスカの地上絵をセスナで上空から!対応ひどさに驚き

前の記事へ
個人(レンタカー)でオーロラを見に行く方法!オーロラ鑑賞の地図も公開
2023.06.19
南米アンデス旅行記
個人(レンタカー)でオーロラを見に行く方法!オーロラ鑑賞の地図も公開
次の記事へ
天空都市マチュピチュの謎に迫る!なぜあの場所に作った?世界も驚く建造技術とは
2023.06.21
南米アンデス旅行記
天空都市マチュピチュの謎に迫る!なぜあの場所に作った?世界も驚く建造技術とは

南米アンデス旅

南米アンデス旅

ウユニ塩湖、マチュピチュ、地上絵、ジャングルなどまさに冒険尽くし。南米3カ国をレンタカーで周遊!

こちらの記事も人気です