YAMAP / ヤマップ

飛騨山脈(北アルプス)の山

  • 奥穂高岳

    標高 3190 m

    • 長野
    • 岐阜

    上高地・河童橋からの眺めがあまりに有名な北アルプス南部の盟主。南アルプスの間ノ岳と並んで日本第三位の標高を有し、剱岳、槍ヶ岳とともにアルペン的雰囲気を色濃く反映する山だ。南西は西穂高岳(2909m)、南東は前穂高岳(3090m)、北は涸沢岳(3110m)・北穂高岳(3106m)といった高峰に囲まれ、岩の王国の様を呈する。日本三大岩場のひとつ(他は谷川岳と剱岳)でもあり、北穂高岳滝谷、横尾谷屏風岩、前穂高岳東壁はクライマーたちのメッカとなっている。奥穂高岳への登山コースは幾本かあるが、一般登山者が苦労せず歩けるのは涸沢カールからのザイテングラート~奥穂高岳往復コースのみで、上高地~前穂高岳~奥穂高岳コースは「けっこうたいへん」、槍ヶ岳~北穂高岳~涸沢岳~奥穂高岳コースと西穂高岳~奥穂高岳は「かなり困難」となる。

  • 槍ヶ岳

    標高 3180 m

    槍ヶ岳は長野県と岐阜県の境界にある、日本で5番目に高い山。日本百名山の1つ。北アルプスで(というより日本で)穂高岳と人気を二分する鋭峰。周囲の山々からもそれとわかるシンボリックな姿をもち、燕岳からの表銀座コース、烏帽子岳からの裏銀座コースなど、北アルプス北部から南部の穂高岳方面へと続くコースのほとんどは槍ヶ岳で収束する。日本第5位の標高を誇るこの山の開山者は、江戸時代後期の浄土宗の僧、播隆上人。数年の準備期間を経て上人は1828年(文政11)7月、安曇野の中田又重郎を案内人に初登頂を果たしたが、より多くの人が登れるよう、その後何度も登って鎖などの設置を続けた。播隆上人については『槍ヶ岳開山』(新田次郎著)に詳しい。大正から昭和にかけての著名な登山家である加藤文太郎、松濤明が遭難死した山でもある。

  • ジャンダルム

    標高 3163 m

    ジャンダルム (Gendarme) は、飛騨山脈(北アルプス)穂高連峰・奥穂高岳の西南西にあるドーム型の岩稜。標高は3,163m。 名称はスイス・アルプス山脈のアイガーにある垂直の絶壁(高さ約200 m)の通称に由来するが、本来はフランス語で国家憲兵のこと。転じて山岳用語としては、尾根上の通行の邪魔をする岩をいう。奥穂高岳ジャンダルムは奥穂高岳の前衛峰として名付けられた。 中部山岳国立公園内の、西穂高岳と奥穂高岳との縦走路途上にある。南北3.5km、東西1.5km。大きく天を突く特異な形から山岳写真の被写体としてよく選ばれる。ジャンダルムの北側にも、ロバの耳、さらに北側に馬ノ背と呼ばれる急峻な痩せ尾根の難所が続く。ジャンダルムを含めこれらの名が付けられたのは、昭和になってからである。この奥穂高岳のジャンダルムが最も著名だが、他にも剱岳チンネのジャンダルムなど、同じような前衛峰にも同じ名が付けられている。岩壁は閃緑斑岩の柱状節理で出来ている。

  • 乗鞍岳

    標高 3025 m

    乗鞍岳は長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる日本百名山の一峰。標高2,702mの畳平までエコーラインとスカイラインの車道が通じており、バスでアクセス可能。ここを起点に登山をすれば標高差約320m・1時間30分ほどで山頂に立てる。バスは岐阜県側の平湯かほおのき平、長野県側の乗鞍高原から乗車できる(畳平まではマイカー規制がある)。乗鞍岳は最高峰の剣ヶ峰(標高3,026m)を主峰とし、朝日岳や摩利支天岳、富士見岳など23の山々の総称である。山名の由来は、なだらかな山容が馬の背に鞍を置いたように見えることから。畳平からのコースは危険箇所も少なく初心者でも歩けるコースだが、天候急変時の怖さは高山ならでは。備えは万全にして登山に臨みたい。日帰り登山者が大半だが、肩ノ小屋に宿泊してご来光を眺めるのもおすすめ。

  • 立山

    標高 3015 m

    日本百名山の立山は、北アルプス北部に位置する富山県が誇る名山で、主峰の雄山(標高3,003 m)、最高点の大汝山(3,015 m)、富士ノ折立(2,999 m)の3峰からなる連峰の総称である。富士山、白山とともに日本三霊山のひとつに数えられ、古くから山岳信仰の山として栄えてきた。標高2,425mの室堂から雄山山頂をめざすメインコースは難所が少なく、初心者でも歩きやすいので、ファミリー層も多い。山頂からは眼前にそびえる大汝山をはじめ、剱岳、薬師岳、後立山連峰など360度の展望が広がる。より歩きたい人は、室堂を起点に浄土山(2,831m)、立山、別山(2,880m)のいわゆる立山三山をめぐる周回コースを取るといいだろう。

  • 剱岳

    標高 2999 m

    富山県東部、黒部川を挟んで後立山連峰と対峙する鋭峰。あと1m高ければ3000m峰という惜しい山でもある。岩場の険しさから、空海をもってしても登れなかったとの伝説が残り、初登頂は明治期に達成された。その経緯に関しては新田次郎著の『劔岳・点の記』に詳しい。アルプス一ともいえる抜群のスタイルを持つ山だが、一般登山道は別山尾根と早月尾根の2コースのみで、いずれも日本の山々のなかでは難路として知られる。毎年のように滑落事故が発生し、また、登山者の集中する別山尾根ではクサリ場渋滞によって登山計画が狂ってしまうケースも少なくない。一方、日本では数少ない氷河のある山で、三ノ窓、小窓、池ノ谷の各雪渓が認定されている(他は立山、鹿島槍ヶ岳、唐松岳にある)。

  • 水晶岳

    標高 2986 m

    水晶岳(標高2,986m)は、北アルプス中央部最奥にそびえる岩峰。富山県富山市大山地域に位置し、黒部川源流域を取り巻く山群の最高峰である。山名は、上部の岩塊に水晶の結晶が見られるため。地形図では黒岳と併記されているが、これは周囲から見てこの山だけが黒々としていることから名づけられたもの。展望抜群の山頂は南北に2つのピークを持ち、南峰が三角点のある北峰より8m高い。主な登山口は高瀬ダム、新穂高温泉、黒部ダム、折立だが、いずれも山頂に立つには最低でも2泊を要するハードな行程だ。奥深い位置にある山だけに、近くにある同じ日本百名山の鷲羽岳(標高2,924m)とセットで登ると効率がよい。

  • 白馬岳

    標高 2932 m

    長野、富山、新潟の3県にまたがる白馬岳(標高2,932m)は、北アルプス・後立山連峰を代表する高峰のひとつ。主要な登山道は、猿倉から白馬大雪渓経由のコースと、栂池パノラマウェイを利用して白馬大池経由で山頂を目指す2本。前者は大雪渓での落石や転倒などの危険が潜むが、雄大な光景とコース途中に現れるお花畑は多くの登山者を魅了する。後者は危険な岩場がほとんどなく、北アルプス初心者でも安心なルートだ。また、7月中旬〜8月上旬には白馬大池の水辺にチングルマやハクサンコザクラなど高山植物の競演が楽しめる。山頂には新田次郎の小説『強力伝』の題材にもなった展望盤があり、杓子岳や鑓ヶ岳など山々の大パノラマを眺望できる。

  • 薬師岳

    標高 2926 m

    富山県にあり、北アルプス最奥部の山として登るのがたいへんな山のひとつ。その名は病苦から人々を救う薬師如来(薬師瑠璃光如来)に由来し、古くから山岳信仰の対象として知られてきた。たいへん大きな山容を持ち、東面には北から南へと順に、北カール、小説『劔岳・点の記』(新田次郎著)に登場する山案内人・宮本金作の名をとった金作谷カール、中央カール、そして南稜カールの4つの圏谷(カール)が並び、これらは薬師岳圏谷群として国の特別天然記念物に指定されている。最短路となる西面の折立からのコースはこれといった難所もなく、夏なら体力勝負で山頂に立てるが、豪雪地帯の山ゆえ冬期登山は厳しいものとなり、1963年(昭和38)には愛知大学山岳部の大量遭難が発生している。

  • 野口五郎岳

    標高 2924 m

    長野県と富山県の県境に延びる人気コース、裏銀座縦走路の前半部に位置する。そのユニークな山名は、長野県大町市の野口集落と“ゴーロ(大きな石や岩の堆積地)”の当て字である“五郎”を組み合わせたものといわれる。なだらかなスタイルを持ち、裏銀座縦走路のなかでは目立たない存在だが、コース中の山々の標高でみれば槍ヶ岳に次いで鷲羽岳とともに2番目の高さ。山頂の西側には五郎池が佇むカール地形も見ることができる。また、裏銀座縦走路を歩く登山者はたいてい、初日の烏帽子小屋のあとは野口五郎岳を越えて水晶小屋あたりまで足を延ばすが、山頂北側にある野口五郎小屋に泊まるスケジュールもおすすめだ。昔ながらの山小屋の雰囲気を味わえるだけでなく、混雑を多少なりとも避けることができる。

  • 鷲羽岳

    標高 2924 m

    長野県と富山県の県境に位置する北アルプス最奥部の山の一つ。西側の山腹には「黒部川水源地標」が立ち、ここ一帯が黒部川の水源とされている。南側の三俣蓮華岳から眺めると鷲が羽を広げたかのような姿を持つ鷲羽岳は、水晶岳(黒岳)などとともに北アルプスの最奥部にあり、山頂に立つのに時間を要する山だ。最短路は新穂高温泉から双六岳を経由するコースだが(通常、途中1泊)、烏帽子岳から槍ヶ岳へと続く裏銀座コースや黒部五郎岳を経て槍ヶ岳へと至る西銀座ダイヤモンドコースの縦走時に立ち寄る登山者が多い。山頂の北西には「最後の秘境」と呼ばれる溶岩台地、雲ノ平があり、数多くの高山植物や独特の景観を求めてのプラス1泊もぜひおすすめしたい。

  • 笠ヶ岳

    標高 2898 m

    岐阜県高山市にあり、県境に位置しない山としては岐阜県最高峰。その名のとおりの姿は、『日本百名山』の著者・深田久弥に「どこから見ても笠の姿を崩さない」と言わしめている。1683年(天和3)に円空上人が開山し、140年後の1823年(文政6)、播隆上人が再興した。播隆上人はその5年後に槍ヶ岳を開山している。山頂をめざすコースは2本。その1本、新穂高温泉から笠新道を登り、抜戸岳、笠ヶ岳山荘を経て山頂に至る道がメインコースだが、稜線まで急登が続く。もう1本のクリヤ谷コースは山頂に直登できるものの、笠新道より技術的に難しくなる。両コースとも体力勝負だ。新穂高温泉から鏡平、弓折岳を経て大迂回するコースは体力的には少し楽だが、1日余分にかかってしまう。

  • 鹿島槍ヶ岳

    標高 2889 m

    長野県と富山県にまたがってそびえ、白馬岳とともに後立山連峰の主峰の一座。南峰と北峰をつなぐ吊り尾根はこの山のシンボルでもあり、奥穂高岳~前穂高岳間の吊り尾根と同様に美しい姿を見せる。どこから登っても日帰りは難しく、南側からは爺ヶ岳、北側からは五竜岳を経由する1泊以上の登山となる。爺ヶ岳からはこれといった難所はないが、五竜岳からの場合は、槍・穂高連峰の大キレット、唐松岳の不帰ノ嶮とともに日本三大キレットのひとつである八峰キレットを通過しなければならない。剱岳の別山尾根などと同レベルの登山となるので、細心の注意を払って行動したい。なおこの山では、北峰の北壁に突き上げるカクネ里雪渓が日本では数少ない氷河として知られている。

  • 赤牛岳

    標高 2864 m

    黒部川の最上流域にそびえる、北アルプス最奥の山のひとつ。やや赤茶けて見える山肌と牛が寝そべっているかのような穏やかなスタイルから赤牛岳の名が付いたといわれる。人気の山やコースから大きくそれたところに位置するため山頂に立つのはたいへんで、烏帽子岳から槍ヶ岳へと続く裏銀座コース上の水晶小屋を起点にした場合でも往復7~8時間。途中で水晶岳を越えなければならず、水場や避難小屋もない。一方、黒部湖から登る場合は山頂まで10数時間。奥黒部ヒュッテから山頂までの6~7時間はほぼ登り一辺倒で、山頂からも最寄りの山小屋まで3時間ほどかかる。まるで修行僧のような登山を強いられるが、山頂から眺める薬師岳や黒部源流の山々は疲れを忘れさせるほどに絶品だ。

  • 常念岳

    標高 2857 m

    安曇野市の西端にそびえ、北アルプス(飛騨山脈)を構成する連山である常念山脈の主峰。東面の安曇野市や松本市からは日常的に目にする山で、市民にとってはランドマーク的な存在だ。高山蝶研究者としても知られ、旧豊科町(現安曇野市)の名誉町民第一号である山岳写真家・田淵行男が調査・研究のために通った山でもある。登山道は各方面から延びるが、メインコースである一ノ沢を登って山頂北部にある常念小屋に泊まるスケジュールにすれば、立山や燕岳、蝶ヶ岳、焼岳などとともに北アルプス最初の山としても好適な山だろう。なお、常念岳は一等三角点のある山として知られるものの、常念岳本峰に三角点はなく、東に1kmほど行った前常念岳(2662m)に点名「常念岳」の三角点が立つ。

  • 三俣蓮華岳

    標高 2841 m

    三俣の名のとおり、岐阜・長野・富山3県の県境にそびえる日本三百名山。烏帽子岳から槍ヶ岳に向かう裏銀座コース、そして近年、西銀座ダイヤモンドコースと呼ばれるようになった折立から太郎山、黒部五郎岳を経て槍ヶ岳に向かうコースの交点でもある。多くの登山者はそのまま槍ヶ岳をめざすことになるが、この山の南部にある双六小屋からは、槍・穂高連峰の岐阜県側登山基地である新穂高温泉や人気の百名山、笠ヶ岳方面に進むこともできる。三俣蓮華岳は高山植物の多い山としても知られ、南東面にあるカールには広大なお花畑が広がる。そこから双六小屋へと続く山腹の道も花がいっぱいだ。ただし、この道を歩くと双六岳の山頂を踏めないことになるので注意したい。

  • 黒部五郎岳

    標高 2839 m

    黒部五郎岳(くろべごろうだけ)は、富山県富山市と岐阜県高山市・飛騨市の境に位置する標高2839mの山である。北側に北ノ俣岳(2662m)があることから、中ノ俣岳の別名があり日本百名山・花の百名山に選定されている。稜線北側に雄大な圏谷地形・黒部五郎カールが広がり、花崗岩が点在する斜面は夏はお花畑、秋は紅葉に彩られ、池塘が点在する黒部五郎小舎周辺から見ると、さながら箱庭のような景観。雲ノ平周辺から見る扇を広げたような山容は、とりわけ優美である。有峰折立から太郎平に登り、太郎山・北ノ俣岳・黒部五郎岳・三俣蓮華岳・双六岳を経て西鎌尾根から槍ヶ岳をめざす縦走路は「西銀座ダイヤモンドコース」と呼ばれ、比較的危険箇所の少ない人気ルートでもある。

  • 針ノ木岳

    標高 2821 m

    黒部湖の東側、富山・長野県境にそびえる日本二百名山。後立山連峰の南端に位置し、白馬大雪渓、剱沢雪渓とともに日本三大雪渓のひとつに数えられる針ノ木大雪渓で知られる山だ。この山をめざす登山者のほとんどは、扇沢から針ノ木峠まで針ノ木大雪渓を登って山頂に立つコースをとる。雪渓歩きに不安のある人は軽アイゼンやストックを用意し、紅がらや幟で示されたルートを外れないようにしたい。軽アイゼンは、日本で初めて登山ガイド組合を作った百瀬慎太郎ゆかりの大沢小屋(雪渓口)と針ノ木小屋(針ノ木峠)で有料貸し出ししている。なお、針ノ木峠の東側にある蓮華岳はコマクサの群生地として有名。また、針ノ木岳~鳴沢岳~種池山荘~扇沢と歩く周遊コースも楽しい。

  • 五竜岳

    標高 2814 m

    長野県と富山県の県境に位置しながら、後立山連峰の山としては珍しく最高点が県境から大きくずれている。春には、山頂近くの岩場が菱紋のひとつである武田菱の形を成すことでも知られる。後立山連峰では屈指の巨体を誇り、山麓からの唯一の登山コースである遠見尾根では体力勝負を強いられるが、通過困難箇所は少なく、尾根から眺める五竜岳東面の岩場帯や鹿島槍ヶ岳北峰北壁の雄姿は感動的だ。一方で、五竜岳から白馬岳や鹿島槍ヶ岳に縦走する場合は、白馬岳への北上では不帰ノ嶮、鹿島槍ヶ岳への南下では八峰キレットという難所を越えなくてはならない。いずれも日本三大キレットのひとつであり(あとは北穂高岳の大キレット)、そうやすやすとは通過させてくれない。

  • 燕岳

    標高 2762 m

    日本海側の犬ヶ岳から乗鞍岳へと続く北アルプス(飛騨山脈)を構成する連山・連峰のひとつ、常念山脈の一座。長野県安曇野市と大町市の市境にそびえ、槍ヶ岳を経て上高地へと下る表銀座コースの出発点でもある。山頂部は花崗岩からなる独特の白い山体を持ち、点在するコマクサの群落が彩りを添えている。登山口は中房温泉で、ここから北アルプス三大急登・合戦尾根(他は烏帽子岳ブナ立尾根と剱岳早月尾根)の登りが始まる。標高差1300m弱、ひたすらの登りはなかなかこたえるが、ゆっくり着実に登れば何とかなる。途中の合戦小屋(休憩のみ)で販売されるスイカのうまさは、大汗を絞られた者にしかわからないだろう。山頂手前に立ち、遠く槍・穂高連峰を望む燕山荘では、喫茶室サンルームのケーキが大人気だ。

  • 唐松岳

    標高 2695 m

    長野県と富山県の県境・北アルプス後立山連峰の中央部に位置する山。標高は2,696m。山頂から東に八方尾根が伸び、その麓には国内規模の規模を誇る八方尾根スキー場がある。山頂へは、その八方尾根がメインコースとなる。スキー場のゴンドラやリフトを利用して、標高1,840m地点の八方池山荘へ。途中の八方池までは快適な稜線散策、その先は本格的な登山道になるが、難しい岩場はない。大展望の山頂から北に白馬岳、南に五竜岳があるが、そこに至るルートは岩稜帯が続き、特に白馬岳へは不帰ノ嶮を越える必要がある。可憐な高山植物は7月上旬〜8月中旬にかけて、紅葉は9月下旬〜10月中旬にかけて楽しめる。山頂南直下に唐松岳頂上山荘が建っている。

  • 蝶ヶ岳

    標高 2677 m

    梓川を挟んで槍・穂高連峰に対峙する花と展望の山。春先になると山頂の南東斜面に蝶の形をした雪形が現われることから蝶ヶ岳の名が付いた。なだらかで地味な姿の山だが、山頂一帯からの槍・穂高連峰の眺めは北アルプス随一だろう。おもな登山コースは6本あり、最も一般的なコースとして知られる安曇野市側からの三股ルート、そして穂高岳や槍ヶ岳登山の要所となる横尾、徳沢からの登山道がメインコースとなっている。シーズン中ならいずれのコースも通過困難箇所はなく、花の時期の山頂は多くの登山者で賑わう。最高点直下には蝶ヶ岳ヒュッテが立ち、ミヤマキンポウゲやオオサクラソウなどが咲くお花畑、サンショウウオの卵が見られる蝶ヶ池、展望スポットの蝶槍など見どころも多い。

  • 爺ヶ岳

    標高 2670 m

    朝日岳、白馬岳方面から針ノ木峠方面へと続く後立山連峰の南部に位置する。南峰、北峰、中央峰の3つの峰からなり、最高点は中央峰の2670m。三角点も中央峰にある。春には、種蒔きをするお爺さんの雪形が現われ、この雪形が山名の由来といわれる。北の稜線続きに人気の鹿島槍ヶ岳があるため、爺ヶ岳は通過ポイントと思われがちだが、広大なお花畑や山頂からのパノラマはすばらしく、この山だけをめざす登山も大いに価値がある。山頂北側の赤岩尾根からのアプローチも可能だが、通常は南面の扇沢から柏原新道を登って山頂をめざす。柏原新道を登りきった稜線上にはお花畑に囲まれた有人の種池小屋が立ち、周囲の山々をオレンジに染める朝焼け・夕焼けはみごとだ。

  • 餓鬼岳

    標高 2647 m

    長野県大町市にあり、北アルプスの一山脈である常念山脈の北端に位置する。北アルプスで大人気の山のひとつ、燕岳と稜線続きにあるものの、燕岳に登る登山者のほとんどは山頂往復のみか、槍ヶ岳に向けて表銀座コースを行くかのどちらかを選ぶため、忘れ去られてしまったかのような立場の山である。だが、山頂部の尖った姿はなかなか格好よく、砂礫地ではコマクサなどのお花畑もみごとだ。山頂直下には、燕岳の近代的な燕山荘とは対をなす昔ながらの山小屋、餓鬼岳山荘が立ち、混雑しない山小屋の居心地のよさを体験することができるだろう。山麓から山頂まで直行できる登山道は1本で、まる一日必要。燕岳側からは中房温泉と燕岳からそれぞれコースが延びるが、ケンズリの岩場は通行注意だ。

  • 烏帽子岳(北アルプス)

    標高 2628 m

    烏帽子岳は長野県大町市と富山県富山市にまたがり、北アルプス中部に位置する山。烏帽子状の岩塔を突き立てた特徴的な山容で、日本二百名山にも選定されている。山頂の北側にある四十八池は、無数の池塘が点在する。「烏帽子田んぼ」とも称され、ウサギギクやクルマユリなどの湿原植物が咲き誇る。大展望の山頂へは、高瀬ダムからブナ立尾根~烏帽子小屋を経由するコースと、北東の船窪小屋から不動岳や南沢岳などを経由するコースがある。前者は北アルプス三大急登とされるブナ立尾根の登りがあるが、危険箇所は少ない。稜線上の烏帽子小屋~前烏帽子岳間ではコマクサの群落も見られる。いっぽう後者はヤセ尾根や崩壊地の通過が多く、上級者向き。

  • 焼岳

    標高 2444 m

    上高地の入口、大正池の西側にそびえる日本百名山の一座。アルプスでは乗鞍岳、御嶽山、弥陀ヶ原などとともに数少ない活火山のひとつだ(南・中央アルプスに活火山はない)。大正時代の大爆発が大正池を形成したことはよく知られているが、その大正池も次第に土砂で埋まり、当時の面影はなくなりつつある。とはいえ、焼岳と大正池のツーショットはいまも上高地を代表する景観であることに間違いない。メインコースは中の湯温泉、上高地、中尾からの3コースで、いずれも前泊すれば日帰りができる。特に難所はないが、山頂周辺はいまも活発な火山活動が続き、最高峰の南峰と正賀池は立ち入り禁止だ。歩くことのできる北峰も有毒ガス発生の危険があるため、山頂は速やかに通り過ぎたい。

  • 鍬崎山

    標高 2089 m

    富山県富山市にある鍬崎山は、立山連峰の前衛峰的な存在の山。三角錐の山頂部が目印で、富山市内の多くの地域でその姿が確認できる。また、戦国時代の武将・富山城主の佐々成政が数百万両もの軍用金を埋めた山としても知られる。以前は夏道がなく残雪期に登られる山だったが、現在は尾根沿いの道が整備され無雪期でも登れる山となった。登山道は、立山山麓スキー場ゴンドラリフトの山頂駅から大品山経由で山頂へ向かうのが一般的。往復9時間近い行程なので、復路のゴンドラの時刻に注意したい。登山シーズンは年にもよるが6月上旬〜10月中旬で、ブナとダケカンバの天然林の新緑や紅葉の頃がおすすめだ。