田中 理恵

1987年6月11日、和歌山県岩出市生まれ。体操一家で育ち、6歳で体操を始める。2010年世界体操競技選手権大会では、ロンジン・エレガンス賞を日本女子で初めて受賞。また、2012年全日本選手権大会女子個人総合において初優勝。同年NHK杯体操女子個人総合においても優勝し、ロンドンオリンピック出場を決めた。兄の和仁、弟の佑典も五輪出場を決め、3兄弟揃っての五輪出場は日本体操史上初の快挙となった。ロンドンオリンピックでは団体の2大会連続決勝進出(8位入賞)に貢献したほか、個人総合で16位の成績を残す。2013年に現役を引退し、テレビやイベントなどに出演。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事を務める。日本体育大学 児童スポーツ教育学部 助教。

オトナのスポーツテスト2016に
田中理恵さんもゲスト参加します!

2015年の様子

成人男女が今の自分の体力を知るために体力測定に挑戦できる「オトナのスポーツテスト2016」が、11月19日(土)、日本体育大学 東京・世田谷キャンパスで開催されます。このイベントにゲストとして参加する日本体育大学出身かつ同大学児童スポーツ教育学部助教を務める田中理恵さんに、スポーツと健康の大切さについてうかがいました。

「オトナのスポーツテスト」とは

文部科学省による「新体力テスト実施要項(20~64歳対象)」に定められる6項目に、50メートル走を加えた計7項目の記録を測定し、参加者の体力年齢を判定するイベントです。

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自分自身に負けたくなかった現役時代


――2013年に現役を引退されましたが、これまでを振り返ってどのような競技人生だったと思われますか。

両親が体操選手という体操一家の家庭で育った私が体操に興味を持つのは、ある意味、自然なことでした。物心ついたときには家の中にトランポリンがあり、庭には鉄棒が! 両親にはうまく仕組まれたような気がしますが、遊び感覚で体操に慣れ親しんでいきました。

6歳で本格的に体操を始めてからは、放課後になると母が車で迎えにやってきて、夜の9時頃まで練習をするといった毎日。高校を卒業するまで兄妹3人で切磋琢磨しながら取り組んできましたが、やらされている感覚はまるでなく、むしろ自分自身に負けたくないという思いが強かったように感じます。

日本体育大学に入学して、自分の現在の立ち位置が分かってからは、これまで夢だったオリンピックの舞台が目標へと変わりました。これまで以上に毎日が体操のためだけにあるような厳しいトレーニングの日々は、肉体的にも精神的にも厳しいものがありましたが、これから自分がどういう人生を作っていくのか、どういう体操競技を作っていこうかと考えることは、とても楽しかったです。

体操競技は16~19歳あたりがピークと言われます。そんな中、私が25歳という年齢でオリンピックに出場することができたのは、やはり諦めることなく最後まで目標に向けて頑張ってきたから。その事実はこれからの私の人生において、支えになるものだと思っています。

――今後はどのような形で体操競技やスポーツと関わっていきたいとお考えですか。

私は現在、日体大の児童スポーツ教育学部で助教を務めているのですが、幼稚園などの教育の現場で実際に子どもたちと接する中で、体操競技そのものというよりも、体を動かすことの楽しさや大切さを子どもたちに伝えたいという気持ちを強く持っています。

最近はゲームなどに夢中になって、あまり外で遊ばない子供も増えていますが、実際に子どもたちと同じ目線に立って、一緒に体を動かせば絶対にスポーツの楽しさは伝わります。さらに子供たちの話を良く聞くと同時に、子供たちのさまざまな発見を促そうと心掛けています。そうすることで、自分の意見を主張しつつも、周りの人のアドバイスも素直に受け入れることができるような子どもたちを、スポーツを通じて増やしていくお手伝いができればと思っています。また、礼儀作法や支え合う気持ちなど、体操競技を通じて多くのことを学んだ人間のひとりとして、スポーツ界を支えていくような活動にも力を注いでいきたいと考えています。

“今の自分”を知るためのスポーツテストに


――日常生活の中で運動やスポーツを取り入れることの大切さについてどう思われますか。

最近はいわゆるスポーツジム以外にも、大人のバク転教室が流行っていたり、夜のフットサル場が賑わっていたり、大人が様々なスポーツを楽しめる場所、機会が増えています。若い頃に体を動かすことが好きだった方なら、挑戦することの楽しさ、達成感は覚えているはず。たとえスポーツが苦手な人でも、試合を観戦したり、誰かがスポーツに打ち込む姿を見て、何かを感じるだけでも有意義なものです。多くの方にとって、日頃からスポーツに触れる機会を増やすことは、健康面や精神面でよい刺激を与えるのではないでしょうか。

私自身、さすがに現役時代と同じようなトレーニングとはいきませんが、常に体を動かすことは意識しています。プールではひんぱんに泳いでいますし、ストレッチやホットヨガなども取り入れています。いつ何時でもバク転くらいはできる自分でいたいと思っているんです。

――田中さんもゲストとして参加される「オトナのスポーツテスト」について、どのようなイベントになることを期待されますか。

普段からジョギングなどスポーツに慣れ親しんでいるオトナがたくさんいる一方で、体を動かすことを避けている人もいます。いずれにしても「オトナのスポーツテスト」のようなイベントに参加することは、“今の自分”を知るよい機会になるのではないでしょうか。もちろん、中にはショックを受ける方もいるかも知れませんが、逆に「まだまだ行ける」と自信を持つきっかけになることもあるでしょう。どちらに転がっても、「これからがんばろう」と、日々を前向きに捉えるきっかけになるようなイベントになることを期待しています。ただし準備運動は入念に、無理だけはしないように頑張ってください!

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