※日経エンタテインメント! 2023年11月号の記事を再構成

若年層が絶大に支持するアプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』が、サービス開始から3周年を迎えた2023年9月30日に大幅にアップデートされた。同作は海外でも好調で、21年12月にグローバル版(英語版)をリリース後、現在では600万ダウンロードを超えているという。

日本語版のアプリアイコン(右)はミクと一歌が並ぶがグローバル版(左)はミクのみ
日本語版のアプリアイコン(右)はミクと一歌が並ぶがグローバル版(左)はミクのみ

 『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、プロセカ)は、海外では約130の国と地域でプレーが可能で、こちらも好調だ。

 2021年12月にグローバル版(英語版)をリリース後、約3カ月で100万ダウンロードを突破。その後も伸び続け、現在では600万ダウンロードを超えている。韓国版と繁体字版などがリリースされているアジア地域でもほぼ同数がダウンロードされているという。

 世界でも成功している要因について『プロセカ』のプロデューサーの1人で、グローバル版の責任者であるセガの小菅慎吾氏は「欧米を中心に初音ミクの海外での知名度がすでに高かったのが大きかったと思います」と話す。初音ミクの生みの親であるクリプトン・フューチャー・メディアは、11年に初めて米国で海外公演を行って以降、定期的に欧米を中心に「HATSUNE M IKU EXPO」というコンサートツアーを催すなど、積極的に海外展開してきた。こうした活動が初音ミクをはじめとした、ジャパニーズカルチャーファンを育て、『プロセカ』もまずはその層を中心に火がついた。

 実は、リリース後しばらくは全くダウンロード数が伸びなかったという。事態打開のためアプリストア内の説明文を変更するなど試行錯誤したうち、効果の大きかった施策の1つが、アプリストアで表示されるアイコンを変更したこと。最初は日本と同様の初音ミクと星乃一歌が向き合っている画像だったが、初音ミク単独のアイコンに切り替えたのだ。「海外ではより初音ミクを押し出したほうがよいのではと考えての施策でした。その後、それまでの10倍くらいの規模感で伸び始め、最初は何が起こったか分からないほどでした(笑)」(小菅氏、以下同)。

アイコン変更でDL数が急伸

 もちろんその背景には、ゲームそのもののクオリティーの高さがある。グローバル版を立ち上げるに当たり、日本版とは別の開発チームを編成し、海外での実績があるメーカーに協力を仰いだ。日本版リリース後、1年3カ月後のスタートとなったが、アップデートやイベントの期間を短縮し、現在は1年遅れまで改善している。「海外のファンも日本版の動向をウォッチしています。どうしても先に情報を得ているので、新鮮さが薄れてしまいます。日本版との格差をできる限り少なくすること、グローバル版ならではの施策を用意するなど、海外のユーザーと向き合う運営が大切です」。

 海外で人気の高い『MIKU』という楽曲や、海外モチーフの衣装の一部をグローバル版で先行配信するなど、独自の施策も行う。現在グローバル版のダウンロード数のうち、約半分が米国。日本と同じく女性の比率が60%で、若年層に人気だという。「まだサービスを開始していない中国をはじめ、中東など世界中で『プロセカ』を遊べる環境を作りたいというのが現在の方針です」。

グローバル版のゲーム画面。グローバル版で先行配信された楽曲や衣装は、その後、国内版にも登場する
グローバル版のゲーム画面。グローバル版で先行配信された楽曲や衣装は、その後、国内版にも登場する
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