※日経エンタテインメント! 2023年6月号の記事を再構成

結成15周年。ももいろクローバーZが歩んできた道のりは、女性アイドルグループの常識を覆す挑戦の連続だった。所属事務所初の女性アイドルグループとしてスタートし、路上や電気店の店頭でのライブで経験を積み重ねた上で、『NHK紅白歌合戦』出場や旧国立競技場をはじめとするスタジアムライブも実現。個別の活動も活発化させながら、グループとしても魅力的なライブを披露し続けている。なぜ彼女たちはももクロを“継続”し続けられるのか。まず返ってきたのは“ももクロらしい”答えだった。

(写真/中川容本)
(写真/中川容本)

――15周年、おめでとうございます。ももクロが15年間、活動を続けてこられた理由は、ずばりどこにあると思いますか?

百田 続けようと思っていなかったから、ですかね(笑)。

高城 先を見すぎてなかったから。

百田 先を見ると、人生について考えるじゃないですか。

玉井 みんながみんな、先のことを考えていなかったわけじゃないですよ(笑)。でも、「このタイミングで結婚して」とか人生設計をちゃんとしているメンバーがそろっていたら、続いていなかったかも。

――グループの行く先を、全員で語り合ったことはありますか?

玉井 (有安)杏果が卒業したときくらいかな。

百田 それぞれの選択肢を考えたときに「NO」と答える選択肢を、誰1人持ってないんですよ。例えば、今誰かが「辞めたい」と言ったとしても、他のみんなは受け入れると思うんです。でも、個人でやりたいことはグループにいながらできることばかりだから。

玉井 そう思う。私も、現時点で「辞めないとできないこと」はないと思っているんです。グループの活動をしながら、他の活動に挑戦する選択肢もあるということが、15年間で分かりました。

(写真/中川容本)

私はショートの玉井推し

――個別インタビューで聞いたそれぞれの「名場面」について、ここで振り返らせてください。高城さんは、有安さんの卒業公演で百田さんに続き「ずっとついてこい!」と発した場面でした。 記事「高城れに 考える間もなく叫んでいた“ずっとついてこい”宣言」参照

百田 覚えてます。私は「ずっとついてこいとは、言いませんが…」と迷っていたし、素直にカッコよかったです。

佐々木 迷っていたのは夏菜子ちゃんっぽいし、ハッキリ言ったのはれにちゃんっぽい。いろいろな場面で「今日は私が!」と補えるのは、グループのよさです。

――玉井さんは、「極楽門」でのショートカット初披露を。 記事「玉井詩織 ももクロへの“固定観念”、いい意味で覆したい」参照

佐々木 かわいかった。私は、玉井さんのショート推しなので(笑)。

百田 リハーサルで初めて見たとき「これが芸能人か!」と思いました(笑)。

――佐々木さんは東京ドーム公演の『ゴリラパンチ』。 記事「佐々木彩夏 みんなを驚かせたい、現状維持って難しいと思うから」参照

高城 杏果のイメージが強かった『ゴリラパンチ』を、あのタイミングで塗り替えられるのはあーりんしかいなかったし。いい意味でステージを自分のモノにしていたし、登場もカッコよかった。

――百田さんは、『ももいろパンチ』のランキング発表で甲高い声を出した場面でした。 記事「百田夏菜子 『今が一番楽しい』って20周年でも言っていたい」参照

佐々木 ハッキリ覚えてます。当時はそれこそ将来を描いていなかったので、『ももいろパンチ』がこれほど大事な曲になるとは思っていなかったけど…。でも、めくるめく1日になったなって。今でも、トーンの高い夏菜子ちゃんの声が聴こえてきます。

――一方、「メンバーで変わった人は?」という質問に対しては、本人以外の3人が佐々木さんを挙げていました。

佐々木 みんなは私のことをそう見てたのか(笑)。でも、自分でも思います。

玉井 変わったのは性格かな。ももクロへの加入してから、性格が一番変わったのがあーりんだと思う。でも、ももクロをやっていない未来を考えても、違う世界線でもアイドルをやってそう(笑)。

百田 私も、ももクロでなかったとしても、あーりんはアイドルをやっていると思う。

佐々木 たぶん、清楚系アイドルでしょ(笑)。

玉井 そうそう。そっちの道で、あーりんが思い描いているアイドル像を貫いていそう(笑)。

――本人以外、変わっていないと言われたのは高城さんです。

玉井 れにちゃんは、リーダーじゃなくなったときに変わったんだと思う。その後は、ずっとこのままです。

――結婚されたのに、ですか。

一同 (笑)。

玉井 「変わりなさい」と言われてるよ(笑)。

高城 (笑)。周囲の環境や関わる人たちが変わらないからだと思う。温かい環境に恵まれているので。あーりんが変わったという話に関しては、性格が変わったというより、素を出せるようになったと思うんです。豪快で頼もしく、面白いし、思いやりがあるのは、昔も今も変わっていません。

――ちなみに、玉井さんは変わりました?

一同 見た目、かな(笑)。

――百田さんは?

玉井 集合写真で後ろに下がらなくなった(笑)。

高城 横一列だし、逃げ場がないから(笑)。

佐々木 集合写真での変化はたしかにあるかも。あと、自分優先ではなくて、グループのためを思ってリーダーとして前に出ようと切り替えるスピードは、だいぶ速くなったと思う。ドラマとか、ソロの仕事でも「あきらめず頑張る」という姿勢をしっかり貫いているのはすごいです。

――グループ自体の変化については、どう思います?

佐々木 私たちは内側にいる人だから分からないよね。歌はちょっとうまくなったかなあ(笑)。

百田 結成初期はすべてが台本に書かれていて、テレビでも「ここでこれを言う」「ここでこれをはさむ」と決められたことをやっていたから、言われたことをこなそうとしてたよね。何も知らなかったし。でも今は、自由に立ち回れるようになりました。

玉井 ももクロを始めた頃は、やらなければいけないこと、達成しなければならないことが決まっていたけれど、今は自分たちで考えて、動けるようになりました。自分たちでベストな答えを見つけられるようになったのは、15年間での成長だと思います。

20周年でやりたいことは…

――百田さんはメンバー個々のソロライブ+全体のライブという5日連続公演をやりたいと話していました。みなさんなら、どんな会場でやりたいですか?

高城 昔、秋葉原UDXで5日連続公演をやったよね。

佐々木 やったやった、久しぶりに思い出した。私が考えるなら、どこだろう…。日替わりならどこでもいいか。でも連続と言うことは平日も入るから、仕事終わりの方も行きやすいように声出しができる都内の会場がいいよね。日本武道館もよさそう。

玉井 難しい、どこがいいかな…。

――百田さんが選んだのは…。

百田 東京キネマ倶楽部です。

一同 あ~。

高城 「ももクロ試練の七番勝負」や5thアルバムの記念ライブも東京キネマ倶楽部だったし、思い出がたくさんある。

――グループで次なる大きな節目は20周年。そのときは、どうなっていると思います?

高城 その時には、みんな30代になっているのかぁ。私は、振り袖を着たいな。

玉井  え~、れにちゃんは結婚してるから無理だよ(笑)。

佐々木 あなたは一番無理な人だから(笑)。

高城 でも、20周年だから「ももクロの成人式」になるし。

玉井 そうか。確かに私たちの成人式はやりたい。

佐々木 それなら20周年を記念して、海外でライブ&成人式をやるのはどう? 長めの前泊と後泊を取って、海外を満喫する(笑)。

一同 それ、いいね!

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