『日経エンタテインメント!』連載の『新・ももクロ61分3本勝負』は、ももいろクローバーZのメンバーと川上アキラマネージャーによる人気コラムです。日経エンタテインメント!特設サイトでは、その“延長戦”を掲載しています。今回、話を聞くのは川上マネージャー、そしてももクロのリーダー、百田夏菜子さんです。
新曲のMVはタケコプター気分
――日経エンタテインメント! 2022年3月号の連載(「初めてステージから見た『Overture』に感動しました」)では、2022年1月23日の「13周年記念コンサート~再び、その先へ~」、2月12日、13日に開催された「ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo~バレンタイン DE NIGHTだぁ~Z!2022」(バレイベ)、そして5月17日に発売される6枚目のアルバム『祝典』について、お話を聞いています。その記事の中でニューアルバムのイメージは、「先行して配信している『HAND』を聴くと分かるんじゃないか」という川上さんのお話がありました。バレイベでは、その『HAND』のミュージックビデオ(MV)も上映されましたね。
川上 あの曲は太田胃散さんのCM曲ということもあって、MVもCMの世界観を引き継いでいます。
百田 家の中のシーンは、CMを撮影したのと同じスタジオで撮影しました。
――太田胃散のCM「SONG」篇のプレスリリースを読むと「メンバーが家でくつろぎガールズトークをしているような世界観にこだわりました」と書かれていますね。
百田 みんながいるのは、玉さん(玉井詩織)の家なんですよ。
――どういうことですか。
百田 撮影しているときに「どこの家に集まってるの?」「玉さんちじゃない?」って盛り上がって、私たちが勝手に設定を決めました(笑)。裏設定ですね。
――屋外のシーンは?
百田 あれは都内のスタジオで2日に分けて撮影しました。
――昼のパートと夜のパートに分けてですか。
百田 飛んでいるパートと飛んでないパートです(笑)。飛んでいるパートはタケコプターをつけている気分で楽しかった。
3年ぶりの春の一大事では観光つきバスツアーも
――バレイベでは、2019年の富山県黒部市以来となる「ももクロ春の一大事」開催も告知されました。春の一大事は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、20年、21年と延期になっていましたが、4月23日、24日の開催に向けて動き出した形ですね。
川上 はい。今回は福島県の楢葉町、広野町、浪江町という3町とご一緒に動かせていただいています。J-VILLAGEという野外会場で、春の一大事の雰囲気、楽しさを出せれば。
――春の一大事はももクロの定例イベントの1つですが、2017年からは自治体とももクロがタッグを組んで、地元の公園などに会場をつくり、全国からももクロのファンが訪れるというライブになっています。
百田 そういう意味で春の一大事(春一)は、私たちのライブの中でもはっきりと色がついているライブじゃないですか。「ももクロのライブの中でも春一が好き」という方も多くて。やっぱりその土地ならではの特徴が出てきたりするので、今年こそ開催できたらいいなとは思っています。
川上 終演予定は17時で、JR郡山駅とのシャトルバスも用意しますので、東京近郊から日帰りできるように準備は進めています。ただその土地で楽しんでもらうのも春の一大事の良さだから、観光つきのツアーなども用意していこうと動いているところです。[※取材後、静岡県・浜松市からのツアープランや、観光付きバスコースなどが発表されている]
百田 ホント、そういうことができるといいよねえ。春の一大事は私たちの中では「大きめの修学旅行」って言われているんですよ。今、修学旅行ができずに思い出をつくれないという学生さんもいらっしゃいますけど、状況が落ち着いて、春の一大事という修学旅行が開催できたらいいなと思いますね。
ソロコンサートの映画館上映。最後の生演奏の設定とは?
――昨年の話になりますが、12月9日に全国50カ所の映画館で上映された「Talk With Me ~シンデレラタイム~」ディレクターズカット版についても聞かせてください。10月16日、17日にさいたまスーパーアリーナで開催された百田さんのソロコンサートを劇場用に再編集して上映した意図は?
百田 あのコンサートの演出は(『踊る大捜査線』シリーズなどの)本広克行監督にお願いしたので、じゃあ、映画館で見てもらったほうがいいんじゃないかって、ライブ当日も配信ではなくライブビューイングにしたんです。ただせっかく本広監督に演出してもらったんだから、本広監督に再編集してもらったディレクターズカット版も映画館で上映したらどうかなって。
――映画の上映が終わった後、生中継が始まって、百田さんがストリートピアノを弾くという演出がありました。あのアイデアは?
川上 もちろん百田さん発信です。ソロコンサートからつながる企画ですからね。
――ソロコンサートが終わったスクリーンには、人が行き交う公共施設らしき場所を映した映像が上映されていたのですが、そこに百田さんが現れて、置かれていたピアノを弾き始めるという展開でした。
百田 ライブのアンコールの衣装を着ているんですよ。ライブが終わった後、帰る途中にピアノを見つけてちょっと弾いてみた、という裏設定があったりするんです。
――なるほど。さっきまで映画館で上映されていたソロコンサートから続くエピソードという設定ですか。場所は百田さんの地元である浜松駅なんですよね。
百田 そうです。私が東京へ通うときに毎日見ていたヤマハのピアノなんです。その頃はピアノが弾けなかったから、毎日素通りしていたんですけど(笑)。でも、見ていて、めちゃめちゃシュールじゃなかったですか? 本当に駅を利用する人たちが通る中、ピアノを弾き始めたら電車の発車ベルが鳴るし、普通に駅員さんのアナウンスは入ってくるし。周りにいたスタッフさんは声が出せない中、肩をふるわせて笑ってました(笑)。でも、だからこそ収録じゃない、生の感じが伝わってよかったんじゃないかと。
川上 話を聞いたときはすごくいいアイデアをもらったなと思いましたね。JR東海さんとヤマハさんには全面協力していただきました。あそこで生放送をしたのは初めてだったそうです。
百田 目の前にはスズキの自動車が展示されているんですよ。すごくアットホームな感じがありました。スズキとヤマハに囲まれたところでお仕事ができるというのは、浜松人としてすごくうれしいなと思いました。
(写真/中川容邦)