富士通と富士通研究所は7月13日、取引先同士の関係や社員の関係など、ものごとの関連性を可視化するソフト「ビジネス情報ナビゲーター」を発表した。

 ビジネス情報ナビゲーターの特徴は、企業内のさまざまな情報システム群からデータを取り込んで比較・分析することで、「一見、関係なさそうに思えるものごと同士の、意外な関連性を発見できるようにする」(富士通研究所 ITメディア研究所知能システム研究部次世代Web基盤の片山佳則氏)ことにある。例えばプロジェクト・チーム編成時の人選や、社員の経歴や趣向に合わせた教育プログラムの編成などに利用できるという。

 ある金融機関は、顧客企業とその仕入先、販売先などの実データを使って、ビジネス情報ナビゲーターの機能を検証した。金融機関では一般的に、顧客企業の情報は、営業部門や融資部門などさまざまな部署やシステムに分散している。富士通の菅井正 金融ソリューションビジネスグループ金融ソリューション企画部担当課長は、「ナビゲーターを使うことで、これまで気付きにくかった顧客企業同士の関係を発見することができた。顧客企業と関連の深い企業にアプローチして取引を拡大したり、顧客企業同士の提携支援など、新しい営業活動に応用してもらえそうだ」と説明する(図1[拡大表示]、図2[拡大表示])。

 ビジネス情報ナビゲーターは、三つの機能を持つ。(1)企業内の複数のシステム群からデータを取り込む機能、(2)データ群を分析し、データ同士を関係づける機能、(3)関係を図示する機能だ。営業日報やメール、人事情報など種類が異なるデータから人名や顧客情報などを抽出。言葉遣いや表現の違いを吸収して関連をマッピングし、分析に必要なメタデータの作成する。メタデータの作成には、リコーと共同開発した技術「OKAR」を使用する。システムの種類や組織の違いによる細かい用語の違いなどに依存せず、メタデータを作成できるという。

高下 義弘=日経コンピュータ

図1●企業同士の取引関係
を可視化した例

図2●図1で示した関係をベースに
資金の動きに着目して可視化した例