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ネット君 最近、インターネット接続が遅く感じるんです。もっと速いサービスに乗り換えようと思っているんですが。

インター博士 いいんじゃないか。通信速度が速くて安価なサービスが増えているからな。

ネット君 そうですよね!通信速度が速いサービスが……。そもそも、通信速度って何ですかね?

インター博士 そこからか。

 ネットワークの分野で「速度」とは、データ転送レートを指すのが一般的だ。データ転送レートとは、単位時間当たりに送れるデータ量である。データ量をビット数で表した場合には、ビットレートやビット速度とも呼ばれる。

 データ転送レートの単位としては、ビット/秒あるいはビット毎秒が使われる。bit per secondの略語であるbpsで表されることが多い。bpsは1秒間に転送できるビット数。ある機器から別の機器へ1秒間に送ることができるデータの総量をビット数で表現したものといえる。

 ただ、一口にデータ転送レートと言っても2種類あるので注意が必要である。転送した総ビット数から算出する見かけのデータ転送レートと、実質的なデータ転送レートがあるからだ。前者は、転送したい正味のデータに、通信に必要なデータを加えた総データの通信速度、後者は正味のデータの通信速度といえるだろう(図1)。

図1●転送した総ビット数と実質のデータ転送レートは異なる
図1●転送した総ビット数と実質のデータ転送レートは異なる
データ転送レートには、転送した総ビット数から算出する見かけのデータ転送レートと、実質的なデータ転送レートがある。4B/5B符号化を使う100BASE-TXなどのファストイーサネットでは前者は125Mbps、後者は100Mbpsになる。
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 例えばイーサネットで使われる4B/5B符号化では、4ビットのデータをそれに対応する5ビットのデータに変換する。このため正味4ビットのデータを送るには5ビットのデータを送る必要がある。つまり、ビットの総数で算出したデータ転送レートの5分の4が、実質的なデータ転送レートになる。

 実質的なデータ転送レートが100Mbpsのファストイーサネットでは、転送した総ビット数で算出したデータ転送レートは125Mbpsになる。

ネット君 データ転送レートですか……。通信速度って、ケーブルを流れている電気信号の速さだと思っていました。

インター博士 信号の速度は一定だからな。

ネット君 じゃあ、なんで同じ銅線ケーブルでもbpsに差があるんですか?

 「通信速度=ケーブルを流れている電気信号の速さ」というイメージを持っている人は多いだろう。しかし、LANで使われる銅線ケーブルを通る電気信号の速度はおおよそ光速の9割前後でほぼ一定だ。また無線LANの通信で使われる電波は、光速に等しい速度である。前述のように通信速度とは、単位時間に信号が運ぶビットの数のことである。