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 台湾メディアテック(MediaTek)は、5Gスマートフォン向け1チップSoCの第2弾製品「Dimensity 800シリーズ」をCES 2020において発表した(ニュースリリース)。同社は第1弾製品の「Dimensity 1000シリーズ」を2019年11月に発表している(関連記事)。新製品はこれの下位製品に当たる。

今回の新製品。MediaTekの写真
今回の新製品。MediaTekの写真
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 第1弾のDimensity 1000はハイエンド(プレミア)5Gスマホ向けだが、新製品はプレミアミッドレンジ向けとする。その意味は、「フラグシップスマホの仕様や性能を、ミットレンジの価格で実現する」(同社)ことだという。新製品の仕様は、Dimensity 1000よりコア数が少ないなど、総じて「控えめ」となっている。

 例えば、Dimensity 800のCPUはDimensity 1000と同じ高性能コア4個と低電力コア4個の8コア構成だが、高性能コアに違いがある。Dimensity 1000が最大2.6GHz動作の「Arm Cortex-A77」だったのに対して、Dimensity 800では最大2.0GHz動作の「Arm Cortex-A76」になった。一方、低電力コアはどちらも最大2GHz動作の「Arm Cortex-A55」である。

 GPUは、ニュースリリースに4コア構成の「Dimension 1000-class GPU IP」とあるので、「Arm Mali-G77 MC4」と思われる。AI処理ユニットは「APU 3.0」で3種のコアを組み合わせることはDimension 1000と同じだが、Dimension 1000では6コア構成だったのに対して、Dimensity 800では4コア構成である。コアが少ない分、AI処理ユニットの性能が低い。Dimensity 1000は最大4.5TOPSだが、Dimensity 800は最大2.4TOPS。データ型としてFP16をサポートすることが今回発表された。

 ISP(Image Signal Processor)は同時に4つのカメラを利用可能で、最大64M画素の単眼や、32M画素と16M画素の2眼構成も可能と同社は説明する。モデムは2G~5Gまでに対応できるほか、5Gでは2つの周波数帯を組み合わせる2CC CA(2 Carrier Component Carrier Aggregation)をサポートする。利用できる周波数帯はSub 6GHzで、SA(Standalone)とNSA(Non Standalone)の両方の通信方式に対応できる。

 Dimensity 1000と同様にDimensity 800は7nm FinFETプロセスで製造する。Dimensity 800を搭載したスマートフォンは、2020年前半中に市場投入される予定という。