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 大手クラウドベンダーは学習済みの汎用的な機械学習モデルに追加学習させるタイプの人工知能(AI)開発支援・実行サービスを提供している。いわば「追加学習型クラウドAIサービス」だ。このサービスを活用すれば、独自のモデルを少ない工数で比較的容易に開発できるという。実際にはどうなのか。今回はカルビーの事例を通して探る。

 「アルファベットと数字に限定した文字認識はさほど難しくないと考えていた。しかし精度を上げる工夫が必要だった」。こう話すのは、カルビーの関口洋一マーケティング本部デジタルマーケティング担当マネージャーだ。

カルビーの関口洋一マーケティング本部デジタルマーケティング担当マネージャー
カルビーの関口洋一マーケティング本部デジタルマーケティング担当マネージャー
(出所:カルビー)
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 カルビーはデジタルマーケティングの施策の1つ「カルビールビープログラム」で、米Microsoft(マイクロソフト)のAIクラウドサービス「Azure Cognitive Services」に含まれる汎用画像認識AIの「Computer Vision」と追加学習可能な画像認識AIの「Custom Vision」を利用している。ルビープログラムは顧客が購入したポテトチップスなどのパッケージを指定の方法で折りたたんで写真を撮り、専用アプリケーションを通じてカルビーに送ることでポイントがたまる仕組みだ。2020年9月に立ち上げたシステムでは、Custom Visionによってパッケージが折りたたまれていることを認識し、Computer Visionでパッケージに記載された商品コードとシリアルコードを読み取り応募を受け付ける。