楽天モバイルは2021年6月より、東京など首都圏内の10の郵便局内に「楽天モバイル 郵便局店」を期間限定でオープンしている。携帯電話大手3社と比べ実店舗が少ない楽天モバイルにとって、郵便局の活用は販売拠点を増やす上で重要な施策といえるが、実際の店舗内容を見ると課題も少なからず見受けられる。
日本郵政との提携を強化、郵便局内店舗を実現
2021年3月に日本郵政と資本・業務提携を締結した楽天グループ。当初は楽天グループが注力する物流分野を主体とした、資本を伴わない提携を進めていたのだが、それが突然、日本郵政による楽天への出資を伴う提携となったことに驚きの声が少なからず上がった。
この資本提携には、楽天グループが現在力を入れている「楽天モバイル」の携帯電話事業が大きく影響している。楽天グループは日本郵政との提携と同じタイミングで、中国の騰訊控股(テンセントホールディングス)の子会社や米Walmart(ウォルマート)などからの出資も受けているのだが、その使い道は楽天モバイルのネットワーク整備に充てられるという。
そうしたことから楽天グループと日本郵政の提携はモバイルの分野にも及ぶこととなり、その施策の1つとして挙げられていたのが、日本郵政傘下の日本郵便が持つ郵便局内のイベントスペースを活用し、楽天モバイルの申し込みカウンターを設置することである。実際楽天モバイルは、2021年6月からは東京や千葉県、埼玉県にある10の郵便局内に、「楽天モバイル 郵便局店」を設置したことを明らかにしている。
そして2021年7月1日、そのうちの1つである東京の本郷郵便局内に設置された楽天モバイル 郵便局店の様子が報道陣に公開された。楽天モバイル 郵便局店には大きく分けて、「リモートブース型」と「簡易店舗型」の2種類がある。このうち本郷郵便局内に設置されているのはリモートブース型の店舗である。
リモートブースは、大人1人が座れるくらいの小型ブースの店舗となっており、中にはマイクの付いたヘッドホンとタブレットを設置。顧客がヘッドホンを装着し、タブレットを通じてリモートで楽天モバイルのスタッフと対話しながらプラン内容の説明を受けたり、契約手続きをしたりする仕組みである。ただし、現在はトライアルの意味合いが強いことからスタッフが常駐しているという。