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 1カ月以上にわたり、カウントダウン形式で発表してきた「平成の10大建築」。総合第1位、“平成30年間を代表する建築”に選ばれたのは、仙台市青葉区の「せんだいメディアテーク」だ。

けやき並木越しに見たせんだいメディアテークの全景。総合設計制度を適用して斜線制限を緩和するため、1階は公開空地扱いとした。そのため、昼間は誰でも自由に出入りできる(写真:三島 叡)
けやき並木越しに見たせんだいメディアテークの全景。総合設計制度を適用して斜線制限を緩和するため、1階は公開空地扱いとした。そのため、昼間は誰でも自由に出入りできる(写真:三島 叡)
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 まずは、推薦者のコメントを見てみよう。

 「海草のような多機能チューブの柱によって、建築そのものを公園のごとくにしつらえた。総ガラス張りの公共施設に、元気な若者たちが集まり、情報発信する痛快な作品」(尾島俊雄・早稲田大学名誉教授)

 「建築における内と外の対立を世界で初めて “反転”という秘術で突破し、ここから台中国家歌劇院(2016年)というピークに至る」(藤森照信・東京大学名誉教授、建築家、建築史家)

南側の定禅寺通りから見た開業当時の外観。コンペ案では1階はピロティになっていたが、冬場のことを考えて室内とした(写真:三島 叡)
南側の定禅寺通りから見た開業当時の外観。コンペ案では1階はピロティになっていたが、冬場のことを考えて室内とした(写真:三島 叡)
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 「新しい時代の新たなアーキタイプとしてのメディアテークのアイデアが競われたコンペティションから生まれた。構造体である柱自体も透明化しようとする究極のドミノ像が示された」(古谷誠章・早稲田大学教授、ナスカ代表)

 「主体構造である13本の鉄骨独立シャフト(チューブ柱・主に鉄管トラス構造)と床組み構造である7枚の鉄骨フラットスラブ(鋼板サンドイッチ構造)で構成する、これまでにない構造形式」(印藤正裕・清水建設常務執行役員生産技術本部長)

階段室となっているチューブの内側。以下の写真は特記以外、2018年12月撮影(写真:日経アーキテクチュア)
階段室となっているチューブの内側。以下の写真は特記以外、2018年12月撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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