神田明神の境内に立つ文化交流館「EDOCCO」。建物の設計・施工は鹿島。内装の設計・施工は乃村工芸社が手掛けた(写真:日経アーキテクチュア)
神田明神の境内に立つ文化交流館「EDOCCO」。建物の設計・施工は鹿島。内装の設計・施工は乃村工芸社が手掛けた(写真:日経アーキテクチュア)
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 「江戸総鎮守」として広く信仰を集めてきた神田明神(東京都千代田区)で、音楽ライブや寄席、プロレスなどの公演ができる施設が完成した。2018年12月15日に開業した文化交流館「EDOCCO(エドッコ)」だ。境内に新築した同施設は、地下1階・地上4階。鉄骨鉄筋コンクリート造で、建物の設計・施工は鹿島が手掛けた。

神田明神の境内案内図。EDOCCOは境内をより広く使える配置となっている(資料:神田明神)
神田明神の境内案内図。EDOCCOは境内をより広く使える配置となっている(資料:神田明神)
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 EDOCCOは、国内外の参拝客に日本文化を発信する役割も担っている。地下1階には、日本文化を体験できる空間を設けた。1階は物販や飲食のスペースを配置。電子マネーでの支払いにも対応する。2~3階は、約700人を収容できる多目的ホール「神田明神ホール」で、扉を開放すればホワイエとデッキを一体化した広い空間が利用できる。4階には貴賓室を用意。新元号を踏まえて部屋の名前を決定するという。

神田明神ホールの断面パース。ホワイエやデッキと一体で会場を利用できる開放的なつくりとなっている(資料:神田明神)
神田明神ホールの断面パース。ホワイエやデッキと一体で会場を利用できる開放的なつくりとなっている(資料:神田明神)
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神田明神ホールの内部。着席で約400人、スタンディングで約700人を収容できる。音楽イベントの開催などに配慮して、音響や防音に力を入れた設計になっている(写真:日経アーキテクチュア)
神田明神ホールの内部。着席で約400人、スタンディングで約700人を収容できる。音楽イベントの開催などに配慮して、音響や防音に力を入れた設計になっている(写真:日経アーキテクチュア)
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 2~3階の吹き抜けの柱・梁(はり)には、鹿島などが開発した耐火集成材「FRウッド」を採用した。FRウッドは燃え止まり層に難燃処理した、スギを用いた純木質耐火集成材。神社施設では初採用となる。境内から建物を望むと、ホワイエに掲げられた幅20mの西陣織の祭礼絵図など、アート作品がファサード越しに透けて見える。

EDOCCOの外観。館内に展示されたアート作品を、ファサード越しに鑑賞できる(写真:川澄・小林研二写真事務所/神田明神)
EDOCCOの外観。館内に展示されたアート作品を、ファサード越しに鑑賞できる(写真:川澄・小林研二写真事務所/神田明神)
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 イベントを開催することで、これまでより多くの来訪者が集まることを意識して、EDOCCOは境内を広く取れるような配置としている。鹿島建築設計本部建築設計統括グループの丸山琢チーフアーキテクトは、「建物が主張せず、境内にアートが染み出すような環境をつくった」と話す。