ここ最近、ゲームに力を注ぐスマートフォンが増えている。市場停滞傾向の中にあって、「ゲーミング(ゲームをプレーすること)」関連の市場が伸びていることがその背景にあると考えられる。一方でスマートフォンならではの特性が、ゲーミングPC並みの盛り上がりを阻む要因にもなっている。

ハイエンドモデルで増えるゲームへの注力

 スマートフォンの人気コンテンツの1つとなって久しいゲーム。最近はゲームそのものだけでなく、ゲームプレーを支えるハードに関する注目も高まってきているようだ。

 2018年に台湾エイスーステック・コンピューター(ASUSTeK Computer、華碩電脳)がゲームプレーに特化したゲーミングスマートフォン「ROG Phone」を日本でも発売して注目された。その後も、中国シャオミ(Xiaomi、小米科技)が出資する中国ブラックシャーク・テクノロジー(Black Shark Technology、黑鲨科技)の「Black Shark2」をTAKUMI JAPANが日本で販売するなど、ゲーミングスマートフォンの数自体が増えている。

日本でも機種が増えつつあるゲーミングスマートフォンだが、海外では急速に機種数が増加。その先駆けとなったエイスーステック・コンピューターの「ROG Phone」の後継機種である「ROG Phone 2」が海外で販売されている。写真は2019年9月7日、「IFA 2019」の同社ブースにて筆者撮影
日本でも機種が増えつつあるゲーミングスマートフォンだが、海外では急速に機種数が増加。その先駆けとなったエイスーステック・コンピューターの「ROG Phone」の後継機種である「ROG Phone 2」が海外で販売されている。写真は2019年9月7日、「IFA 2019」の同社ブースにて筆者撮影
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 より注目すべき動きは、一般ユーザーをターゲットにしたスマートフォンであっても、ハイエンドモデルを中心としてゲームに強いことをアピールするメーカーの増加だ。各社は、高性能なチップセットや大容量のメモリーを搭載し、高性能を要求するゲームプレーに応える性能を売りにしている。さらに、ゲームプレー時に発生する熱を抑えパフォーマンスの低下を防ぐ、ゲームプレー中に着信などの通知をオフにする、ゲームプレーの動画配信をしやすくするなど、ゲームプレーを重視した機能・性能に力を注いでいる様子がうかがえる。

 またスマートフォン本体だけでなく、周辺機器でゲームの利用を拡大しようという動きも出てきている。それを象徴しているのが、2019年9月5日に発表したソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia 5」である。

 Xperia 5は、2019年の夏モデルとして日本でも投入された、21:9という比率のディスプレーを採用する「Xperia 1」のコンパクトモデルというべき存在だ。横にすると広い視野を確保できることを生かし、ゲームプレーに適していることをアピールするだけでなく、新たにソニー・インタラクティブエンタテインメントのコンシューマーゲーム機「PlayStation 4」向けのコントローラー「DUALSHOCK 4」を接続し、スマートフォンでも人気のゲーム「フォートナイト」(Fortnite)をプレーできるようにしたという。

 ソニーモバイルコミュニケーションズはこれまで、DUALSHOCK 4をXperiaシリーズのスマートフォンに接続し、PlayStation 4のゲームを遠隔でプレーする「リモートプレイ」に力を入れてきた。それだけに今回の措置はある意味、同社が方針転換を図り、PlayStation 4だけでなくスマートフォンでのゲームプレーにこだわる人を重視するようになった結果と見ることができよう。

Xperia 5は、DUALSHOCK 4を接続してフォートナイトをプレーできる仕組みを提供。21:9の広いディスプレーを生かし、スマートフォンのゲームミングへの注力を強めている。写真は2019年9月5日の「IFA 2019」ソニー プレスカンファレンスより(筆者撮影)
Xperia 5は、DUALSHOCK 4を接続してフォートナイトをプレーできる仕組みを提供。21:9の広いディスプレーを生かし、スマートフォンのゲームミングへの注力を強めている。写真は2019年9月5日の「IFA 2019」ソニー プレスカンファレンスより(筆者撮影)
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