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 RE100は、企業が事業活動で消費する電力を再生可能エネルギー(再エネ、Renewable Energy)で100%賄うべく活動する国際的なイニシアチブ(企業連合)である。温暖化ガス(GHG)排出削減に先行して取り組む理念と目標を掲げ、実践する企業が参加している。2014年に設立され、イギリス・ロンドンに本部を置く非営利団体「The Climate Group」が同じく非営利団体のCDP(以前の呼称はCarbon Disclosure Project)と共に運営に当たっている。

RE100の概要
RE100の概要
(出所:日経クロステック)
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 2023年10月現在の参加企業は世界で400社強。日本企業は82社が参加している。参加企業は、例えば「2030年までに少なくとも電力の30%を再生可能エネルギーに切り替え、2050年までに100%を目指す」(日本企業として初めて参加したリコーの当時のもの)といった目標を掲げ、実現を目指して取り組む。

 世界では「年間消費電力量100GWh以上」の企業であることがRE100への参加要件になっている。日本の場合でも「年間消費電力量50GWh以上」(2020年9月3日までは「10GWh以上」)とされているため、実質的に大企業が対象である(図1、2)。

図1 RE100に参加するパナソニックの草津工場の太陽光パネル
図1 RE100に参加するパナソニックの草津工場の太陽光パネル
太陽光パネルと燃料電池によりエネルギーを供給する新施設「H2 KIBOU FIELD」を設けている。パナソニックは「2030年に自社の二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロ化」などの目標を掲げる。(写真:日経クロステック)
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図2 RE100に参加するキリングループのメルシャン藤沢工場
図2 RE100に参加するキリングループのメルシャン藤沢工場
2023年3月からオンサイトPPA、すなわち工場敷地内に発電事業者が太陽光パネルを設置し、得た電力を長期契約で購入する形態で再エネ電力の利用を増やした。(写真:キリンホールディングス)
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* 「RE100」Webサイト https://www.there100.org/re100-members * 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)Webサイト https://japan-clp.jp/climate/reoh

 RE100は、事業活動で企業が消費するエネルギーのうち電力を対象とする。二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガス排出量を算定・報告する際の手順を定めた「GHGプロトコル」でいえば「Scope(範囲)2」、すなわち電力導入・購入時における間接的排出に相当する。

* GHGプロトコル(環境省Webサイト) https://www.env.go.jp/council/06earth/y061-11/ref04.pdf

 企業の取り組みを支援するために、RE100は「技術要件(Technical Criteria)」を発行・改定している。技術要件では、再エネ電力にはどのようなものがあるか、再エネ電力を利用していると主張するための要件は何かなどを規定する。