冬の訪れ告げる“雪虫” 道内各地で大量発生 なぜ?

冬の訪れを告げる「雪虫」が道内各地で大量発生しています。なぜことしはこれほど多いのでしょうか?。

「雪虫」は例年、この時期に発生する小さい虫の通称ですが、今週に入り、札幌市や小樽市など各地で大量発生している様子が目撃されていて、26日も札幌市の大通公園では大量の「雪虫」が宙を舞っている様子がみられました。
通りかかった人たちは、髪についた「雪虫」をはらったり、目や口に入らないよう顔を手で覆ったりしていました。
【大量の雪虫にまちの人は】
「雪虫」の大量発生について札幌市の大通公園で市民に聞きました。
札幌市の70代の女性は、
「吹雪のように飛んでいて口に入ることがあるので、飲み込んでも大丈夫なのか心配になっていました。これほど大量に発生するのは初めて見ました」。
札幌市の60代の男性は、
「特にきのうは量がすごくて、自転車で通う私の店のスタッフも、店内に入る前にはたいて落としていました。大変ですが自然相手なので、しかたないですね」。
千歳市の70代の男性は、
「千歳市では札幌ほど発生していませんが、ことしの夏は異常に暑かったのでその影響もあるのかなと思います。虫だけでなく、海でとれる魚も変わってきているので、気候の変化が心配ですね」。
横浜市から観光に訪れた60代の女性は、
「雪虫の存在をこれまで知らなかったので、ニュースで公園が真っ白になっているのを見てびっくりしました。せっかく北海道に来たので見ることができてよかったです」。
【思わぬ影響も】
小樽市の蘭島保育園は、ふだん午前中は子どもたちを外遊びに連れ出していますが、26日は朝から多くの「雪虫」が宙を舞っていたため、子どもたちの目や口に入るのを避けようと、外遊びを中止する対応を取りました。
3歳から5歳までのクラスの子どもたちは、園内で歌を歌ったり絵本の読み聞かせを聞いたりして過ごしていました。
子どもを送りに来た20代の母親は、
「少しでも外に出ると口に入って大変です。洗濯物を干す時も困っています」。
蘭島保育園の宇野ひとみ園長は、
「雪虫は毎年見ますが、これほど多いのは10年ぶりくらいで親御さんたちも驚いています。1日1回は子どもたちに外で遊んでもらいたいのですが今は少し我慢して、また虫が少なくなったら外で遊ばせたいです」。
このほか、札幌市内の小中学校でも「雪虫」が多く発生したときは▼屋外での体力作りイベントを中止したり、▼昼休み中にグラウンドを生徒に開放するのを取りやめたりするなど、対応を取っているところがあるということです。
【大量発生の原因は“夏の暑さ”】
「雪虫」の中では、白い糸状のロウをまとった「トドノネオオワタムシ」がよく知られていますが、アブラムシの生態に詳しい北海道大学の秋元信一名誉教授によりますと、ことし大量発生しているのは「ケヤキフシアブラムシ」で、夏の気温と大きく関係しているということです。
「ケヤキフシアブラムシ」は、夏から秋にかけて気温が高い状態が続くと繁殖が活発になるのが特徴で、ことしの猛暑や秋が比較的暖かかったことが原因で大幅に増え、大量発生につながったということです。
秋元名誉教授は、「ことしは猛暑により虫が子から親になる期間が短くなり、ねずみ算式に数が増えた。これほどの規模で大量発生するのはめずらしく、山あいだけでなくケヤキの木が多いまちの中心部でも発生しているのが特徴だ」と指摘し、「ケヤキは明治以降に道内に持ち込まれた木で、ケヤキフシアブラムシの天敵がいない道内で温暖化が進むと、来年、再来年とさらに増殖するおそれがある」と話しました。
その上で、「多くの人にとって健康に悪影響はないと思うが、人によってはアレルギー反応を起こす可能性もある。花粉と同じような方法で対策できるので、気になる人はマスクなどを着用することが効果的だ」と話していました。
この雪虫の発生、秋元名誉教授によりますと、ことしは来月上旬まで続きそうだということです。