【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4月11日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる11日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア軍 ウクライナ全域に大規模攻撃 インフラ施設に被害

ウクライナ空軍によりますと、11日、ロシア軍がウクライナ全域にわたって、42発のミサイルと40機の無人機による大規模な攻撃を行ったということです。

ミサイル攻撃のうち6発は、ロシア側が極超音速ミサイルだとする「キンジャール」だったということです。ウクライナ軍は、このうち18発のミサイルと39機の無人機を迎撃したということですが、ウクライナのメディアはキーウ州にある州内の最大の火力発電所が破壊されたと伝えています。

またウクライナ大統領府のクレバ副長官によりますと、東部ハルキウ州ではエネルギーのインフラ施設が被害を受け、20万戸以上で停電が起きているということです。

ゼレンスキー大統領は、SNSへの投稿で「ロシアのテロリストが重要なインフラ施設を標的にした」と非難しました。ロシア軍は最近、ウクライナ各地のエネルギー施設を標的にした攻撃を繰り返していて、特に、ロシア西部と国境を接するハルキウ州に対して攻撃を強めています。

また南部ミコライウ州でも11日、ミサイル攻撃があり、4人が死亡し、5人がけがをしたということです。

ベラルーシ大統領がプーチン大統領と会談へ

ロシアとベラルーシの大統領府は、ベラルーシのルカシェンコ大統領がロシアを訪問し、11日、プーチン大統領と会談すると発表しました。

両首脳は「脅威に対して共通の対応を協議する」などとしていて、対立する欧米諸国を念頭に同盟関係にある両国の結束を確認するものとみられます。

ウクライナ提唱 和平案ハイレベル協議 6月に開催 スイス発表

スイス政府は、ウクライナが提唱する和平案の実現を目指す各国の首脳などが参加するハイレベル協議をことし6月に開催すると発表し、今後ロシアも参加する和平プロセスに道筋をつけられるかどうかが焦点となります。

ウクライナは、ロシア軍の撤退や領土の回復など10項目からなる和平案を提唱していて、関係者によりますと、先月首都キーウで開いた各国の政府高官などを集めた非公式協議の際、ことし6月にもスイスで首脳級の協議を開くことを提案しました。

これについてスイス政府は10日、各国の首脳などが参加するハイレベル協議を、ことし6月に中部のビュルゲンシュトックで開催すると発表し、アムヘルト大統領は記者会見で「協議の目的は和平プロセスを開始する可能性と方法を見つけることだ」と述べました。

スイス外務省はおよそ120か国を招きたいとしていますが、現時点でロシアが参加する見通しは立っていないとしています。

一方、ロシアのラブロフ外相は9日、中国の王毅外相との会談後の記者会見で「ロシアの立場を考慮しない、いかなる国際的な努力も無駄だということを中国側と確認した」と述べていて、今後ロシアも参加する和平プロセスに道筋をつけられるかどうかが焦点となります。

ウクライナ側に立って戦うロシア人義勇兵組織が訓練公開

ロシアの軍事侵攻が続く中、ウクライナ側に立って戦い、3月にはロシアへの越境攻撃も行ったとされるロシア人義勇兵の組織「シベリア大隊」が、訓練の様子をメディアに公開し、今後もロシア側への越境攻撃も辞さない姿勢を示しました。

ウクライナでは10日、東部ハルキウ州のロシアとの国境に近い地域がロシア軍の砲撃を受け、14歳の少女を含む3人が死亡し2人がけがをしたと、地元の知事がSNSで明らかにしました。

こうした中、プーチン政権に対抗してウクライナ側に立って戦っているロシア人義勇兵の組織「シベリア大隊」が10日、キーウ州にある訓練場でNHKを含む一部のメディアに訓練の様子を公開しました。

シベリア大隊には、志願したロシア国籍の20代から60代の男性が参加しているということで、この日の訓練では防弾チョッキやヘルメットなどの装備をつけたおよそ30人の兵士が銃の取り扱いなどの指導を受けていました。

シベリア大隊は3月行われたロシアの大統領選挙にあわせ、ウクライナと国境を接するロシア西部のベルゴロド州に越境攻撃を仕掛け、自治体の庁舎を一時掌握したとしています。

作戦に参加したという30代の兵士は「作戦の狙いはロシア兵が予期していない場所に奇襲をかけること、そして東部や南部の前線からロシア軍の兵力を引き剥がすことだった」と話していました。

そのうえで「シベリア大隊の目的はプーチン政権を止めることだ。ロシア軍とはいつでも必要に応じて戦う。ウクライナ領内でもロシア領内でもだ」と述べ、今後もロシア側への越境攻撃も辞さない姿勢を示しました。