大相撲夏場所 風賢央が新十両昇進 愛媛県出身力士では29年ぶり

ことし5月の大相撲夏場所に向けた番付編成会議が行われ、24歳の風賢央が愛媛県出身の力士では29年ぶりとなる新十両昇進を決めました。

日本相撲協会は27日、ことし5月に行われる次の夏場所に向けた番付編成会議を行い、阿武松部屋の阿武剋と、春日野部屋の塚原改め栃大海、それに押尾川部屋の風賢央の3人を、新たに十両に昇進させることを決めました。

風賢央は愛媛県西予市出身の24歳。中央大の相撲部出身で、おととしの春場所で初土俵を踏み、力強い押し相撲を持ち味に番付を上げ、西の幕下13枚目で迎えたことしの春場所は7戦全勝で優勝して、新十両昇進を決めました。愛媛県出身の力士が新たに十両に昇進するのは、元関脇 玉春日が平成7年の初場所後に昇進して以来、29年ぶりです。

阿武剋はモンゴル出身の23歳。強豪の日体大の相撲部出身で、おととしの学生横綱に輝いて去年の九州場所で幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏み、所要3場所で十両に昇進しました。

塚原改め栃大海は埼玉県越谷市出身の24歳。中学生の時に全国大会の個人戦で優勝し、埼玉栄高校を経て平成29年の九州場所で初土俵を踏んで、入門から6年余りでの十両昇進となりました。

風賢央「ここからが本当の勝負」

風賢央は27日、大阪市内の押尾川部屋の宿舎で記者会見し、地元から駆けつけた母親の住木るみさんとがっちりと握手を交わしました。

記者会見では「大学を卒業して遅く入っているので焦りもあった。やっとなれたという感じだ」とほっとした表情を見せました。

幕下上位ではね返されたあとに巻き返して昇進を決めた理由については「十両経験者など、強い人たちがいる中で自分がやっていけるのかという緊張や不安に打ち勝つことができず、負け越しが続いたので何も考えずに自分の相撲にだけ集中した」と話しました。

同学年には110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士がいて「尊富士も大学卒業という同じタイミングで入ってきていてもちろん悔しい。新たなスタートというか、ここからが本当の勝負だ。満足することなく、稽古をやり直していく」と今後への意欲を示しました。

師匠の押尾川親方は「瞬発力もあるし、馬力も器用なところもある。技術を磨いて、上の番付に居座り続ける力士になってほしい」と期待をかけていました。

阿武剋「もっと上を目指して頑張りたい」

阿武剋は27日、大阪 浪速区の大阪府立体育会館で記者会見し、「素直にうれしい。まだ実感がわかないが、これから頑張っていこうという気持ちだ」と喜びを話しました。

モンゴルの家族にも昇進を報告したということで、「お父さんがすごく喜んでくれて、涙を流していたみたいだ。そこまで応援してくれるのはありがたいし、頑張ってよかったと思う」と笑顔を見せました。

そして、大学の同級生の大の里が春場所で優勝を争ったことを踏まえて、「自分がそこに加わっていないのは悔しいし、仲間が活躍できているうれしさもある。そこに早く加われるように、もっと上を目指して頑張りたい」と意気込みを話しました。

塚原改め 栃大海「しこ名に恥じないように活躍したい」

大阪 浪速区の大阪府立体育会館で27日に会見した塚原改め栃大海は「何回もはね返されたが、やっと上がれてうれしい。同級生が先に上がってずっと悔しい気持ちを持っていたので、自分も負けないぞと奮い立たせて頑張ってきてよかった」と喜びを語りました。

同級生には春場所で110年ぶりとなる新入幕での優勝を果たした尊富士がいて「春場所の活躍は刺激になった。自分も優勝できるように、しっかり稽古を積んで頑張っていきたい」とライバル意識を燃やしていました。

新たなしこ名については「出身の埼玉には海がないが、海が好きで憧れていたのでうれしい。まだまだこれからだが、しこ名に恥じないように活躍していきたい」と話していました。

会見に同席した師匠で元関脇 栃乃和歌の春日野親方は「体と心が伴っていないと上がれないが、緊張を力に変えられるようになってきた。前に出る力強い力士、大きい力士になってほしい」と期待を寄せていました。

幕内経験者の千代丸が十両に復帰

このほか、幕内経験者の千代丸が、十両に復帰することが決まりました。

夏場所は、ことし5月12日に東京 両国の国技館で初日を迎えます。