大谷翔平は2安打 移籍後初打点 ドジャースが開幕戦逆転勝利

大リーグ、ドジャースとパドレスの開幕戦が20日、韓国 ソウルで行われ2番指名打者で先発出場したドジャースの大谷翔平選手が、パドレスの開幕投手を務めたダルビッシュ有投手から移籍後、初ヒットを打ちました。試合はドジャースが5対2で勝ち、開幕戦を白星で飾りました。

開幕投手を務めたパドレスのダルビッシュ投手は3回と3分の2イニングを投げて1失点、自責点は0でした。また、パドレスの松井投手は3分の2イニングを投げて無失点の内容でした。

21日の第2戦はドジャースの山本由伸投手が先発登板する予定で、大リーグデビューを飾ります。

=試合概要= 大谷対ダルビッシュは公式戦初

●韓国で初の大リーグの公式戦はソウルの「コチョク(高尺)スカイドーム」で行われました。
●新天地で7年目のシーズンを迎えたドジャースの大谷選手は2番指名打者で先発出場し、パドレスのダルビッシュ投手は2年ぶり4回目の開幕投手として先発マウンドに上がりました。
●最初の対戦は1回ノーアウト一塁の場面で大谷選手は2ボール1ストライクからツーシームを打たされてショートゴロとなりました。去年のWBCで、日本を優勝に導いた立て役者の2人はこれが大リーグの公式戦で初めての対戦でした。
●2回目の対戦は3回、2アウトランナーなしの場面で迎え大谷選手は5球目のツーシームを鋭くライト前に引っ張ってダルビッシュ投手から移籍後、初ヒットをマークしました。さらに大谷選手は続くバッターの初球で二塁に盗塁も決め、日米通算で節目の100盗塁としました。
●5回の第3打席はサードゴロ。7回の第4打席はピッチャーゴロ。8回の第5打席はチームが2点を勝ち越した後の1アウト一塁二塁の場面でレフトへタイムリーヒットを打って移籍後、初打点をあげ、大谷選手のドジャース初戦は5打数2安打、1打点、1盗塁の成績でした。
●先発したパドレスのダルビッシュ投手は4回、エラーでランナーを出した後、犠牲フライを打たれて1点を失い、1対1の同点となった直後にマウンドを降りました。球数は72球で奪った三振は3つ、打たれたヒットが2本、フォアボールは3つで1失点、自責点は0でした。
●パドレスの松井裕樹投手は6回1アウトランナー無しの場面で大リーグで初めてとなるマウンドに上がり、三振1つを奪うなど3分の2イニングを投げて無失点の内容でした。

=各選手談話=

大谷「勝てたのが一番だ」

開幕戦を終えた大谷選手が取材に応じ「勝てたのが一番だと思う。終盤で逆転できるのが強いチームだと思うので、こういう試合が増えればおのずと勝ちが増えてくると思う」とみずからもタイムリーヒットで勝利に貢献した試合を振り返りました。

去年9月の右ひじの手術からリハビリをへて開幕戦を迎えたことについては「緊張感はあったが、ピッチャーのほうが緊張するのでそれに比べるとリラックスして入れたと思う。まず体調がいいことがいちばんで、最後まで試合に出られたということが、術後の経過としてよかったと思う」と安心した様子でした。また、韓国に来てからエキシビションマッチ2試合でノーヒットだったことについては「体が硬かったので構えから違和感がありそれでゾーンもずれていたと思う。きのうケアをしてきょうはよかった」と話していました。

注目されたダルビッシュ投手との初対戦については「1球1球気合いが入っていたと思う。2打席とも追い込まれて僕としては苦しい打席だったがなんとか1本出てよかった」と笑顔を見せていました。

第2戦に先発する山本由伸投手については「きょう勝ったので彼もリラックスして試合に入れると思う。早い回でまた援護できればいいと思う」と話していました。

ダルビッシュ「ヒットは強い打球でさすがだなと」

先発して4回途中1失点の内容だったダルビッシュ投手は「絶好調というわけではなかったが、粘りながら試合は作れたと思う。初めてくる国で、色々あったが楽しめた」と話しました。また、チームメートの松井投手が大リーグ初登板を果たしたことについては「ここまで人生の中でいろいろなことがあって、ここに立っているというのを見た時に少し泣きそうになってしまった。『メジャーリーガーデビューおめでとう、お疲れ様でした』と伝えた」と話していました。注目された大谷選手との初対戦については「一緒にトレーニングをしていた時期もあって、不思議な感じはしたがピッチクロックもありゆっくり楽しむことはできなかった。ヒットは強い打球でさすがだなと思った」と振り返りました。

“元「背番号11」の2人の初対決”

ダルビッシュ投手が大リーグ挑戦のためアメリカに渡ったあと、日本ハムの「背番号11」は2013年シーズンにプロ生活をスタートした大谷選手が引き継ぎました。のちに、ダルビッシュ投手は大谷選手が日本ハムと契約した時期に「何年後かにメジャーで待っている」と約束を交わしたことを自身のSNSで明かしています。そして、大谷選手が実際に大リーグに移籍しますが、別々のリーグだったこともありこの6シーズンの間は2人の対戦することはありませんでした。そうした中で今回、初めて対戦が実現したことについてダルビッシュ投手は試合前「私情ははさまない」としていましたが、試合後は「打たれたあとに自分の中で少しニコっとしてしまった。なんだかんだで情は入っていたんだと思った」と笑顔で話していました。

開幕シリーズ後、2チームの対戦は今シーズンあと11試合予定されています。

=試合経過=

15:00ごろ

ドジャース選手らが球場到着 大谷に大歓声

大リーグ、ドジャースとパドレスの開幕戦が行われるコチョクスカイドームには午後3時すぎにドジャースの選手たちが乗ったバスが到着しました。会場周辺には選手の姿をひと目見ようと多くのファンが集まり、バットを片手に持った大谷翔平選手がバスから降りて球場の入り口に向かうと大きな歓声があがりました。

16:54

大谷がグラウンドに姿見せる

大谷選手はチームメートとともにグランドに姿を見せ、ベンチ前でウォーミングアップを始めました。スタンドのファンから歓声が上がる中ストレッチやランニングでウォーミングアップを行いました。大谷選手はときおり笑顔を見せながらも終始真剣な表情で集中を高めている様子で、5分ほどでベンチ裏に引き上げました。

試合前 球場の外には行列 大谷ユニ姿のファンも

試合会場に中学1年の娘と訪れた40代の韓国人男性は「野球ファンとして韓国で大リーグの開幕戦が行われることがとても楽しみです。きょうは一生懸命応援します」と話していました。

また、札幌市から訪れた24歳の大学院生の女性は「大谷さんとダルビッシュさんの初めての対戦なのでどちらかだけを応援するわけにはいきません。2人とも頑張ってほしい」と話していました。

17:40すぎ

ダルビッシュは登板に備え調整

開幕投手を務めるパドレスのダルビッシュ投手はチームの全体練習終了後、午後5時40分すぎに1人でグラウンドに姿を見せました。集中した表情を崩さず外野でランニングをして体を動かし、登板に備えました。

《両チーム先発メンバー》

ドジャース(先攻)

※成績は昨シーズン
1(二)ベッツ    右.307 39本107打点 盗14
2(指)大谷翔平   左.304 44本95打点 盗20
3(一)フリーマン  左.331 29本102打点 盗23
4(捕)スミス    右.261 19本76打点 盗3
5(三)マンシー   左.212 36本105打点 盗1
6(左)T.ヘルナンデス右.258 26本93打点 盗7
7(中)アウトマン  左.248 23本70打点 盗16
8(右)ヘイワード  左.269 15本40打点 盗2
9(遊)ラックス   左 2023年大リーグ出場なし
(投)グラスナウ 右投 21試合 10勝7敗 防3.53

パドレス(後攻)

※成績は昨シーズン
1(二)ボガーツ   右.285 19本58打点 盗19
2(右)タティースJr. 右.257 1本25打点 盗29
3(一)クロネンワース左.229 10本48打点 盗6
4(指)マチャード  右.258 30本91打点 盗3
5(遊)キム・ハソン 右.260 17本60打点 盗38
6(左)プロファー  両.242 9本46打点 盗1
7(捕)キャンプサーノ右.319 7本30打点 盗0
8(三)ウェイド   左.255 0本2打点 盗4
9(中)メリル    左 2023年大リーグ出場なし
(投)ダルビッシュ有 右投 8勝10敗 防4.56

19:07

試合開始

大リーグ、ドジャースとパドレスの開幕戦が韓国 ソウルの「コチョク(高尺)スカイドーム」で始まりました。先攻はドジャース、パドレスが後攻です。パドレスの先発マウンドにはダルビッシュ有投手が上がり、2年ぶり4回目の開幕投手を務めています。

1回表 ダルビッシュ 大谷など抑え無失点

パドレスのダルビッシュ投手は1回、大谷選手を一塁ランナーに置いてから3番のフリーマン選手を見逃しの三振に打ち取り、4番のスミス選手は力強い速球でレフトフライに打ち取り大谷選手の進塁を許しませんでした。14球を投げて三振が1つ、フォアボールが1つ、ヒットを許さず上々の立ち上がりを見せました。

大谷 第1打席はショートゴロ

2番指名打者で先発出場した大谷選手は1回表、ノーアウトランナー1塁でこの試合最初の打席に入ってダルビッシュ投手と初めて対戦しました。大谷選手はツーボールワンストライクからショートゴロを打ち、一塁ランナーのベッツ選手がアウトになりました。大谷選手は俊足を生かして一塁ランナーとして残りました。
【大谷全球詳細】
1.ボール(ストレート154km)
2.ファウル(カットボール146.9km)
3.ボール(ツーシーム145.9キロ)
4.ショートゴロ(ツーシーム146.6km)

1回ウラ パドレス打線は三者凡退

ドジャースは昨シーズン10勝をあげたグラスナウ投手が開幕投手を務め、1回はパドレス打線を三者凡退に抑えました。

2回表 ダルビッシュ この回も無失点

ダルビッシュ投手は2回、先頭バッターにセンター前ヒットを打たれたあと続くバッターの打席の際にみずからのワイルドピッチでランナーに進塁を許してノーアウト二塁のピンチを招きました。ダルビッシュ投手はこのあと、6番のテオスカー・ヘルナンデス選手からスライダーで空振りの三振、7番のアウトマン選手はライトフライ、8番のヘイワード選手は初球の速球を打たせてサードフライに打ち取りこの回も無失点に抑えました。

3回表 ダルビッシュ 満塁のピンチも無失点

ダルビッシュ投手は3回、先頭バッターの9番 ラックス選手をファーストゴロ、続く1番のベッツ選手をレフトフライに打ち取りました。2アウトとなったあと大谷選手にヒットを許し、さらに3番・フリーマン選手と4番・スミス選手に連続でフォアボールを与えて2アウト満塁のピンチを招きましたが、5番・マンシー選手はキレのあるツーシームで空振りの三振を奪ってこの回も無失点で切り抜けました。三振を奪ったダルビッシュ投手は雄たけびをあげながらガッツポーズを見せました。

大谷 第2打席で移籍後初ヒット 直後に盗塁成功

大谷選手は3回、2アウトランナーなしで第2打席に立ちました。大谷選手はダルビッシュ投手に対し5球目のツーシームをライト前に運び、今シーズン初ヒットを打ちました。大谷選手は、続く3番フリーマン選手の初球に二塁への盗塁も成功させ、今シーズン初盗塁もマークしました。

【大谷全球詳細】
1.ファウル(ストレート153.6km)
2.ボール(スプリット146.5km)
3.ファウル(カットボール147.4km)
4.ボール(スイーパー135.9km)
5.ライト前ヒット(ツーシーム152.4km)

★3回ウラ パドレスが1点先制(D 0-1 P)

1アウトランナー三塁のチャンスで1番のボガーツ選手がセンター前ヒットを打って1点を先制しました。ボガーツ選手のヒットはこの試合、パドレスの初ヒットでした。

★4回表 ドジャース同点に(D 1-1 P)ダルビッシュ降板

1アウトランナー三塁のチャンスで8番のヘイワード選手が犠牲フライを打って1対1の同点としました。ダルビッシュ投手はここでマウンドを降りました。

【投手交代】
ダルビッシュ→
カズグローブ 左 54試合1勝2敗1S7H 防1.75

★4回ウラ パドレスが1点勝ち越し(D 1-2 P)

パドレスはノーアウト満塁のチャンスを作り、7番のキャンプサーノ選手はショートゴロのダブルプレーに倒れましたが、三塁ランナーが帰って1点を勝ち越しました。

5回表 パドレスは3人目の投手交代

【投手交代】
カズグローブ→
デロスサントス 右 70試合5勝2敗0S16H 防3.29

大谷 第3打席は強い当たりのサードゴロ

ドジャースは5回、先頭バッターの1番 ベッツ選手がセンター前ヒットで出塁し、大谷選手が第3打席に立ちました。パドレスのピッチャーは2人目の左腕のカズグローブ投手で、大谷選手は2球目のインコースのチェンジアップを打ちました。打球は強い当たりのゴロでしたが、パドレスのサードがダイビングキャッチでつかんで大谷選手はサードゴロに倒れました。この試合、大谷選手はここまで3打数1安打、1盗塁となっています。
【大谷全球詳細】
1.ボール(チェンジアップ148km)
2.サードゴロ(チェンジアップ147.5km)

6回表 パドレスは4人目で松井裕樹登板

【投手交代】
デロスサントス→
松井裕樹 左 59試合2勝3敗39S8H 防1.57
※日本での成績
松井投手は7番 左バッターのアウトマン選手に対しては4球目でピッチクロックの違反を取られフォアボールを許しました。続く8番の代打、キケ・ヘルナンデス選手に対してはすべて変化球で空振りの3球三振を奪い、大リーグで初の奪三振をマークしました。そして9番の左バッター、ラックス選手はストレートでレフトフライに抑え、この回を0点で切り抜けました。松井投手はベンチに下がると、ホッとした様子でチームメートとハイタッチをして笑顔を見せていました。松井投手は3分の2イニングを投げて球数は11球、フォアボール1つ、奪三振1つという内容でした。

6回ウラ ドジャース投手交代 元広島ブレイザーが登板

【投手交代】
グラスナウ→
ブレイザー 右 59試合3勝0敗2S11H 防3.02
(※広島での登録名はブレイシア)

7回表 大谷 第4打席はピッチャーゴロ

【投手交代】
松井裕樹→
ペラルタ 左 63試合4勝2敗4S18H 防2.83
大谷選手は7回、ワンアウトランナー無しの場面で第4打席に立ちました。パドレスのピッチャーは5人目の左腕、ペラルタ投手で大谷選手は3球目、低めのチェンジアップを打ってピッチャーゴロでした。この試合、大谷選手はここまで4打数1安打、1盗塁となっています。
【全球詳細】
1.ストライク(チェンジアップ139.5km)
2.ボール(ツーシーム151.4km)
3.ピッチャーゴロ(チェンジアップ138.8km)

7回ウラ ドジャースは3人目の投手交代

【投手交代】
ブレイザー→
ハドソン 右 3試合0勝0敗1S1H 防0.00

★8回表 ドジャース逆転 大谷初打点で5点目(D 5-2 P)

【パドレス 投手交代】
ペラルタ→
J.ブリトー 右 25試合9勝7敗1S1H 防4.28
ドジャースは、ノーアウト満塁のチャンスで8番のキケ・ヘルナンデス選手がレフトに犠牲フライを打って2対2の同点としました。
【パドレス 投手交代】
ブリトー→
A.モレホーン 左 8試合 0勝0敗 防7.00
パドレスはさらに7人目のモレホーン投手をマウンドに送りました。これでパドレスはベンチ入りしている左ピッチャーは全員登板したことになります。ドジャースは1アウト一塁二塁のチャンスで9番ラックス選手が打ったファーストへのゴロがエラーとなり、二塁ランナーが帰って1点を勝ち越しました。ドジャースは続くベッツ選手もレフト前にタイムリーヒットを打ってさらに1点を加え4対2としました。

第5打席 初球のツーシームをとらえレフト前へ

大谷選手は1アウト一塁二塁の場面で第5打席に立ち、7人目のリリーフ左腕、モレホーン投手の初球の158.1キロのツーシームをとらえてレフトへタイムリーヒットを打ちました。大谷選手はドジャースに移籍後、初打点をマークし、チームもリードを3点に広げました。
【全球詳細】
1.レフト前タイムリーヒット
(ツーシーム158.1km)

8回ウラ ドジャース 大谷に背番号を譲ったケリー登板

【ドジャース投手交代】
ハドソン→
ケリー 右 42試合2勝5敗1S113H 防4.12
4人目のジョー・ケリー投手は、大谷選手の移籍にともなって「背番号17」を譲ったことでも話題になりました。

9回表 パドレスは8人目の投手交代

【パドレス 投手交代】
モレホーン→
エストラーダ 右 12試合0勝0敗0S1H 防6.75

9回ウラ 抑えのフィリップスが三者凡退とし試合終了

【ドジャース投手交代】
ケリー→
フィリップス 右 62試合2勝4敗24S6H 防2.05
フィリップス投手はパドレスの攻撃を三者凡退に抑えて、5対2でドジャースが勝ちました。

22:12

=試合終了=

開幕戦を観戦した観客からは選手の活躍をたたえる声が聞かれました。夫婦で観戦した40代の韓国人の男性は「韓国で大谷選手を見られて感動しました。開幕戦は韓国と日本の関係が近づくきっかけになったと思います。次もよい試合を期待したい」と話していました。

家族で観戦した20代の日本人女性は「大谷選手とダルビッシュ投手が初めて対戦する瞬間にいあわせることができて感動しました。韓国の多くのファンたちが大谷選手のユニフォームを着ていて声援がすごかったです。選手たちには次も素晴らしいプレーをしてもらいたい」と話していました。

また韓国に住む40代の日本人男性は「大谷選手のタイムリー、ダルビッシュ投手の好投、松井投手の大リーグ初登板とすべてを見られて大満足です。次は山本投手の大リーグ登板を応援したい」と話していました。